BEFORE SUNRISE
ウィーンの街に一晩の予定で立ち寄った貧乏旅行中のアメリカ人青年ジェシー(イーサン・ホーク) と、彼と列車で出会ったフランス人の女学生セリーヌ(ジュリー・デルピー)。2人は、ジェシーの乗る翌朝の帰国便まで、ウィーンの街をあてどもなく歩いて過ごすことに。いろんな話題をしゃべり続ける二人の会話と黄昏ていく美しい街の風景で綴られる14時間だけの恋の物語。原題のBefore Sunriseは、迫ってくる別れるまでの時間を表す。別れ際に、連絡先の交換もせず、6ヵ月後のここでまた会おうって別れる。別れの朝の白々と空けた空が切ない。・・・別れがたい。朝の散歩、公園での膝枕、プラットホームでの会話。平気だと思っていた心が揺れ、堰を切ったように感情があふれでる。2人は、激しく抱き合いキスをする。
偶然に出会い、別れる間際に、同じ日、同じ場所で再会を約束するという設定は、「哀愁(1940)」(ヴィヴィアン・リーとロバート・テイラー)にもある。しかし、なんと言っても、この映画の魅力は2人の会話。
Jesse: There's these breeds of monkeys、 right、 and all they do is have sex、 all the time、 you know? And they turn out to be the least violent、 the most peaceful、 the most happy、 you know? So maybe fooling around isn't so bad.
Celine: Are you talking about monkeys?
Jesse: Yes I'm talking about monkeys.
Celine: Ah、 I thought so...
ジェシー:この種のサルが、いいかい?そいつらのすることはいつもセックスだよね。そして、そいつらは最も平和的で攻撃性が低くそして最も幸福な種に変わっていくよね。だから、馬鹿げた事をしまくるのはそんなに悪いことじゃないかも。
セリーヌ:サルの話をしてるの?
ジェシー:そう、サルの話。
セリーヌ:そうじゃないかと思った・・・。(筆者訳)
ラストの二人は対照的な表情を見せる。ジェシーは彼女は来てくれるだろうか?あるいは自分はその時も会いたいと思うのだろうか? 一方、セリーヌは静かに微笑み、そして現実の世界に帰って行く。もう会うこともないだろう・・・。
実は、この映画、続編があってその題名は「Before Sunset」。結末は推して知るべし。