tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

風の絵葉書

2010-01-12 22:25:22 | プチ放浪 都会編

 読みたい多くの本を一度にネットで注文できる・・・大人買いができるようになった今でも、いまだに購入できずにいる本がある。
株式会社サンリオから1981年に出版された「WINDS 風の絵葉書(浅井慎平写真集)」だ。
当時の定価は1万円。古本価格は今でも7,550円。今もなお、高額すぎて購入のふんぎりがつかない。
大人の癖にと言われそうだが、貧乏性なのだ。この金額で36枚撮りのフィルム、ベルビア100が10本買えるなどと思い逡巡してしまう。

「風の絵葉書」は1970年代の浅井慎平氏の風景写真をまとめたものだ。
やや、ローキー調でアメリカ西海岸あたりの写真が続く。
http://www.fujifilmmuseum.com/pro_artist/artist/list/?id=18
ヴィム・ヴェンダースの描く、コントラストの強いロードムービーとは全くイメージの違う西海岸の風景が写し出されている。
彼は、ふわふわ浮ついた風景の底に見え隠れする、どんよりとした時代の不安を感じ取っていたのだろうか。
1970年代の当時の音楽に例えるなら、ポールモーリアが奏でた「恋はみずいろ」の世界。

♪青い空がお陽さまにとける♪

美しく、しかも、どことなく物悲しさを感じてしまう青い風景。
西部の荒野を渡る風ではなく、少女の髪を揺らすような風の光景。

当時、写真集「風の絵葉書」を購入するかわりに、浅井慎平氏がプロデュースしたジャマイカの波の音だけを録音したCDを購入した。
76年5月にジャマイカのモンテゴ・ベイで収録された「波-サーフブレイク・フロム・ジャマイカ」。
ただひたすら、波の音が繰り返されていた。
CDをダビングしたカセットテープの残りに、映画「カリブの暑い夜」のテーマ(見つめて欲しい フィル・コリンズ)を入れて聞いていた。
アメリカのビルボードにイージー・リスニング(Easy Listening)のHIT CHARTがあったころの話である。
浅井慎平氏は当時の日本のカルチャーの先駆的存在だったのだろう。環境音盤の古典。
湘南ドライブの最高のBGMだった。

 


気に入った写真や記事がありましたら応援のクリックよろしくお願いします。

にほんブログ村 小説ブログ ライトノベルへ
にほんブログ村

The Theme From''A Summer Place''-Percy Faith Orchestra