シバの女王 (La Reine de Saba)は、1967年、フランスのミシェル・ローランが歌ってヒットしたシャンソンだ。
翌年、レーモン・ルフェーヴェル楽団や、ポール・モーリア楽団の演奏でイージー・リスニング・ミュージックとして日本でも大ヒットした。
また、菅原洋一により見出されたアルゼンチン出身の歌手グラシェラ・スサーナ(GRACIELA SUSANA)が、1972年に、なかにし礼の訳詩で歌いリバイバル・ヒット。
サバ(シバ)の女王は旧約聖書に登場するサバ王国の支配者。
エルサレムのソロモン王の偉大さを聞きつけ、家来を引き連れて訪問。ソロモン王の器量を確かめるために難かしい謎解きを吹っかけるが、ソロモンは即意妙答する。
「地から湧くのでも天から降るのでもない水は何でしょう?」
「その頭を嵐が駆け抜け、それは、身も世もなく泣きわめく。自由な者はそれを褒め、貧しき者はそれを恥じ、死せる者はそれを尊ぶ。鳥は喜び、魚は嘆く・・・」
「女が息子にこう言います。お前の父は、私の父、お前の祖父は私の父です。お前は私の息子で、私はお前の姉です・・・」
ソロモン王の機知に感服したシバの女王は、莫大な献上品を贈って彼の知性を讃え友誼を結ぶ。
今から3千年も昔に、大国のソロモン王と砂漠から来た魅惑的な女王があいまみえ、両国の友好関係を結ぶ。ついで一夜をともにする。
例えて言うなら、古代に卑弥呼がはるばると海を渡って中国の魏を訪問。時の支配者に治世の悩みを相談したということか。
シバの女王は数週間の滞在の後、再び、祖国に向って長い帰路に着く。
たった一晩で彼女は未婚の母となるのだが、帰りの道中で彼女の胸の内はいかがなものだったのだろう。
さて、先に書いたグラシェラ・スサーナが歌うなかにし礼の訳詩の「サバの女王」は、シバの女王の観点から書かれている。
♪あなたゆえ狂おしく 乱れた私の心よ♪
ただし、原曲ミシェル・ローランのシャンソンの歌詞は、ソロモン王のシバの女王に対する気持ちが歌われている。
♪Oui! Qu'elle revienne. Oui! Qu'elle m'entraine. Cette folie qui avait bouleverse ma vie.♪
でも、今よりもさらに不安定な時代に、国の指導者が数週間かけて大国を訪ねて相談をするなんてことが本当にできたのだろうか?
道中に危険はなかったのだろうか?また留守中の政治は?
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