映画のオープニングで
「才能ある子供たちとの出会いが、私たちにこの映画を作らせた」
との監督からのメッセージが流れる。
正に才能!相手との間合い、動き、技のタイミング、すべてにおいて本物の武道家が持つ動きをする美少女“ジージャー”。
体力的な面でどうしてもハンディがある少女にとって、相手の技の起こりばなを叩くのは武道の理にかなっている。柔よく剛を制す。
相手の力を利用すれば、か弱い女性でも大の男どもを相手にすることができる。
完璧なカウンターの連続。彼女は何者?と思ったら96年のバンコク・ユース・テコンドー大会で金メダルを獲得した現役のテコンドーの選手だった。
彼女は『七人のマッハ!!!!!!!』のオーディションを受けた時に、監督に才能を見出され、4年間の特訓を経てこの映画に出演。
加えて、命知らずのアクションに挑んでいく姿。映画のストーリーよりも、彼女のリアル人生の方がよりドラマチックに思えてしまうのはぼくだけだろうか・・・
しばらく前に宅配送られて来た2枚のDVD。なかなかそれを観る時間が作れないでいた。おまけに、DVDは予約してからだいぶ時間がたってから届くので、届いた頃には何故この映画を観たいと思ったのかなどとうに忘れてしまっている。
だが、そのおかげで、なんの先入観も無くDVDを鑑賞することができた。
超人的アクションを繰り広げるキュートなヒロイン。監督は、このあり得ない超人美少女にリアリティを付与するため、突出した能力や特技を発揮する精神障害者という設定をした。この設定がゆえに、この映画の評価としてフェミニストたちの眉を顰めさせることになるのだが、フェミニストじゃないぼくにとっては許容可能な範囲。無敵に強い美少女よりも、この設定の方がハラハラドキドキで感情移入がたやすい。
さらに障害者と言えば、息も付かせぬ格闘シーンが続く中でハンディキャップのある少年も出てくる。この少年もまた、めちゃくちゃに才能があふれている。・・・まったく先の読めないトリッキーな動き。
相手の動きが読めないから、ヒロインは攻撃の糸口さえつかめない。しかし、実は彼女もまた意外な方法で、この最強キャラをやっつけてしまうのだ。
そもそも、彼女が否応なく血塗られた格闘へ引き込まれていくのは、彼女の両親の悪行によるものだ。父は日本から来たヤクザ、そして母は犯罪組織を取り仕切るボスの右腕。まさに両親の業から導かれる運命。そして、運命は容易く変えられるものではない。
だが彼女は、ひたすら戦い続けることで新しい人生を切り開いていく。
彼女にとって、人生で必要なものは母親、親友、そしてチョコレートだけだった。しかし、運命が否応も無く彼女の一番大切なものを奪っていく。「チョコレート」は最後に彼女に残されたもの。
クライマックスでは、高所に加え、狭い足場というおよそ格闘には不向きな場所で、スタントなしにすごいアクションを展開する。彼女の挑戦する命知らずなアクションに、どこか物悲しさを感じてしまうのは何故なんだろう。
・・・「チョコレート」は、間違いなく観た後で何かを語りたくなるアクション映画で、続編がどうしても気になってしまう。
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