tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

エスペランサ

2010-10-18 22:24:51 | 日記

 
 
 
 
 

(Entry 333~336/365) OLYMPUS PEN Lite E-PL1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm f3.5-5.6 L

サイパンには、知る人ぞ知るダイバーに超人気のダイビング・スポットがあり、サイパンの観光の目的はダイビングという人も多い。
旅行者がダイバー同士なら、それが初対面であったとしてもダイビングの話に花が咲き、すぐに友達になれる。
ところが、グアム・ハワイでは、多くの日本人観光客がカップルで押し寄せ、旅行者同士のコミュニケーションなどほとんどない。
したがって一人旅のダイバーにとって、グアム・ハワイのリゾートの滞在は、はなはだ居心地が悪いことになる。
そんなこともあって、グアムを経由するパラオへ足を踏み入れる気になれなかったのだが、「いつかはパラオ」という希望を捨てずにいた。
ようやく、その「希望」がかなったということ。
想像どおり、経由地グアムに向かうコンチネンタル エア・ミクロネシアのエコノミーシートには、大勢の若い日本人カップルが席を占めていた。
「エスペランサ」はチリの救出で使われていた「希望」という言葉だ。

その昔、飛行機のリクライニングシートは、食事中はリクライニングにしないと言うのがエチケットだったような気がする。
まだまだ、海外旅行が一般的じゃなかったころの話。当時は、エコノミーシートの座席間隔が現在のものよりもさらに狭く、前の座席の客がシートを倒すと後ろの席の人はテーブルが胸につきそうになってしまっていた。だから、みんなで協力してシートを起こして食事をしたものだった。それがエコノミーシートの乗客の暗黙のルールだった。
その一方で、リクライニングを倒したまま、背中を起こして食事するのは中国人の旅行者たちだった。彼らは、リクライニングを倒すのはその席の乗客の権利として譲らなかった。ものの捕らえ方、考え方には人種によって差がある・・・そんなことを、海外へ旅立つその飛行機で教えられる、そんな機会でもあった。

最近の飛行機の座席は、昔に比べて座席間が広くなったのだろう。ビジネスシートに乗りなれた自分勝手な中年のおっさんたちや、オヤジギャルたちは別の話として、エコノミーシートに席を占める日本の若いカップルたちが後ろを気にすることなく、リクライニングをいきなり倒すのが目に付く。後ろの席の乗客が、テーブルを出してお茶を飲んでいようがお構いなしにである。時代は変わったのだ。
多くの若者たちが、日本の観光地の延長として海外に出かけ、日本語でホテルに泊まり、みやげ物売り場で買い物をして帰ってくる。そんな時代だ。
そんな日本の若者たちの片隅で、体の大きなヨーロッピアンの旅行者たちが、窮屈そうにリクライニングを利用せずにシートを使っているのを見ると、ものの捕らえ方、考え方には年齢によっても差があると思わざるを得ない。日本人は大きく変わった。そして、この先も変わっていくのだろう。

「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」
ゴーギャン畢生の大作のタイトル。人はどこから来て、何を成し、そしてどこへ向かおうとするのか?

不幸なことに、人は自分自身を見詰めるようにできていない。
不完全な自分。自信満々で、自慢できる人間にはぼくはなれそうもない・・・。
実際に、自分の人生を振り返って、誇れることはほとんどない。
だが、少なくともぼくは生き延びて、次を生きようと願っている。
一握りの僅かな「エスペランサ」を胸に隠し持ちながら・・・。


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