気がつけば、今年も残りは2週間。今朝、出がけに見た空は暗く雲に覆われていた。山の方では雪が降っているらしい。
バス停までの道すがら、スズカケノキに残った枯葉は、小雨に濡れて寒そうにゆれていた。
冬至も間近となれば、目の覚めるような京都の紅葉は、フィナーレを迎えて雪景色へと変化していくのだろうか。雪に埋もれた紅葉もまた美しいものだ。
12月のはじめに訪れた本土寺も、鮮やかな紅葉をを見せてくれた。
秋の日に、こうして野山の木々を鮮やかに見せるのは、色素とよばれる植物の”代謝分子”によるものだ。
春先から秋に至るまで、目にする木々の緑色の葉は、葉緑素(クロロフィル) という、赤色の光を吸収する色素。
一方、秋に見る紅葉の色は「アントシアニン」や「カロテノイド」と呼ばれる、青、青緑、緑の光を吸収する比較的小さな代謝分子による。
この「アントシアニン」や「カロテノイド」が秋になると代謝される理由についてはいくつかの説があり、どれが正しいのかはまだわかっていないようだ。
その主な説としては、以下の2つがあるという。
・「日焼け止め」のため
秋になれば、植物は葉の葉緑素を分解して糖分を幹や果実に集めようとするため、紫外線によるダメージが大きくなってしまう。アントシアニンや他の色素は紫外線によって生じる活性酸素に対する抗酸化剤として合成され、冬を迎えるまで葉が光合成を続けられるように「日焼け止め」として働いているというもの。
・「害虫対策」のため
本当か?と思うのが、この「害虫対策」のためと言う新説。一般に植物は、害虫に対して毒となる物質 (抗生物質) を合成することで、食害や産卵に対抗している。
木々の葉っぱに紅葉をもたらすアントシアニンにも、その作用があるとする記述がネットには多いのだが、実際にはアントシアニンの抗酸化作用は広く知られている一方で、抗生物質としての防虫効果を実証した研究報告は見当たらない。健康食品としてアントシアニンを大量に含む健康食品を大量摂取しても、人体に健康上の影響がないことから、恐らく、アントシアニンには抗生物質作用は微弱なのだろう。しかしながら、新説でアントシアニンが「害虫対策」として有効とするのは、害虫から認識できるモノをたくさん合成することで、”植物自身の健康さをアピールし、健康ゆえに高い免疫性があることを害虫に対して警告している”というもの。
・・・にわかには信じがたい。むしろ、若草色の新芽を好んで食べる虫たちに対し、”葉っぱを赤く染めることで「これは食い物じゃありません」と訴えている”とした方が納得しやすいのだが・・・。さて、真実はどうなのだろう。広葉樹たちに聞いてみるしかないのだろうか。あるいは、虫たちに。。
木々が紅葉するのは、東アジアとアメリカである。これに対し、ヨーロッパでは黄色に変色する・・・らしい。この原因として、フィンランドの研究者たちが学説を唱えている。
http://www.sciencedaily.com/releases/2009/08/090813142150.htm
”Why More Autumn Leaves Are Red In America And Yellow In Europe: New Theory”
Prof. Simcha Lev-Yadun of the Department of Science Education- Biology at the University of Haifa-Oranim and Prof. Jarmo Holopainen of the University of Kuopio and published in the Journal New Phytologist
この説でも、木々の紅葉、つまり、アントシアニンの合成は「害虫対策」のためということを前提に論旨を進めている。この学説の具体的な説明は次の機会にしようと思っている。ところで、虫たちは、人間と同じように、やはり、赤と緑を見分ける色覚があるんだろうなあ・・・。人間以外の哺乳類は失った能力だ。不思議だなあ・・・。
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