司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

取締役の辞任と定款の添付の要否

2009-02-27 22:58:19 | 会社法(改正商法等)
 月刊登記情報2009年2月号に「実務家による商業・法人登記Q&A(3)」が掲載されており、「Q1 取締役の辞任と定款の添付の要否」があり、「定款の添付は不要」と論じられている。登記実務の取扱いを支持するものであるが、この点は、私がかねがね疑問に感じているところであるため、以下に私見を述べることとする。


 会社の登記における添付書面は、登記すべき事項の設定、変更又は消滅等を証するための書面である。会社の行為は、会社法が定める手続に則って行われるのが原則であり、原則どおりの場合には、所要の手続が履行されたことを証する書面を添付すればよいし、登記官は、会社法が定める原則に従って審査すればよい。

 しかし、会社法が定款の別段の定めを許容している場合に、その定める手続に則って行われた行為については、手続が履行されたことを証する書面のほか定款の添付が必要となる。定款の定めがなければ登記すべき事項につき無効又は取消しの原因が存することとなるからである(商業登記規則第61条第1項)。定款の添付がなければ、登記官は、会社法が定める原則に従って審査することになるから、原則と異なる手続で行われたことを証する書面を添付してされた登記の申請を受理すべきではない。登記官は、間違っても「定款で任期を伸長したのだろう」と「善解」すべきではない。これを認めるのであれば、定款の別段の定めが許容されているすべての場合に「善解」理論が働き、定款の添付など不要となってしまうからである。

 取締役が会社法が定める原則的な任期である2年以内に辞任したときは、確かに辞任届だけでよいであろう。可能性としては、定款で任期を短縮しており、実は任期満了していることもあり得るが、登記官は、会社法の原則に従って審査すればよいからである。しかし、定款で任期を4年に伸長している株式会社において、選任後3年を経過した取締役が辞任したという場合には、会社法が定める原則的な取扱いとは異なるわけであるから、定款の別段の定めに則っていることを証するために、定款の添付も要すると考えるべきである。

 上記Q&Aでは、「辞任届に『誰がいつ辞任するか』ということを本人自ら記載している」から「退任を証する書面(商業登記法54条4項)により証明すべき事実すべてを揃えたことになり、定款の添付は不要である」と論じられているが、上述のとおり、辞任届のみでは「証明すべき事実をすべて揃えた」ことにならないのは明らかである。

 また、「取締役が一方的に辞任する本問のケースでは、商業登記規則61条1項の問題ではない」と論じられている。確かに、取締役は、一方的意思表示により辞任することができるが、当該取締役が権利義務承継者である場合には、辞任することはできないから、辞任の登記をすることはできない。選任後3年を経過した取締役は、会社法の原則では、権利義務承継者と判断されることになるので、定款の別段の定めがなければ辞任の登記はもちろん受理されない。したがって、そのような登記の申請に際して、定款の添付がなければ、「定款の定めがなければ登記すべき事項につき無効又は取消しの原因が存することとなる申請」(商業登記規則第61条第1項)に該当するので、定款の添付を要すると考えるべきである。

 登記官は、定款の添付がなければ、定款の別段の定めはないものとして、会社法が定める原則どおりに審査すべきであり、定款の別段の定めがあるかもしれないからと「善解」して登記申請を受理すべきではないし、また「深読み」し過ぎて登記申請を受理しないなどということがあってはならないというべきである。選任後3年を経過した時点での取締役の辞任の場合は前者であり、選任後1年を経過した時点での取締役の辞任の場合は後者である。
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Yahoo!グループMLの利用中断について

2009-02-27 20:29:28 | いろいろ
 下記のとおりだそうです。


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   Yahoo!グループ 管理者の皆さまへのお知らせ(2009/2/27)

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いつもYahoo!グループをご利用いただき、誠にありがとうございます。

皆さまにより安定したサービスを提供するため、サーバーのメンテナンスを実
施いたします。
なお、今回は長時間のメンテナンスになる為、大変お手数おかけいたしますが、
管理者さまより各グループへ、メンテナンス当日はメール投稿ができない旨を
ご連絡いただけると、メンバーの皆さまも安心していただけるかと存じます。

大変ご迷惑をおかけいたしますが、なにとぞご理解いただきますよう、お願い
申しあげます。

●期間: 2009年3月6日(金)午後7時~2009年3月7日(土)午後11時
     ※作業状況により、メンテナンス時間が変更される場合があります。
●内容: Yahoo!グループのサーバー調整のため、メンテナンスを実施
●影響: Yahoo!グループのウェブサイト、およびすべてのメールの配信停止
    (モバイル版グループ含む)
    メンテナンス期間中は、メールの送受信も含めYahoo!グループのすべ
    てのサービスがご利用いただけません。
●ご注意:
・メッセージの受信方法で「ダイジェスト」およびカレンダーの「リマインダ
 ー」は、メンテナンス期間中は送信されませんのでご注意ください。
・メンテナンス期間中は、メールの配信が行われませんので大変お手数おかけ
 いたしますが、メンテナンス終了後に投稿をお願いいたします。

今後とも、Yahoo!グループをよろしくお願いいたします。
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「第二会社方式」の会社分割による中小企業の事業再生

2009-02-27 14:28:58 | 会社法(改正商法等)
我が国における産業活動の革新等を図るための産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案について by 経済産業省
http://www.meti.go.jp/press/20090203001/20090203001.html

③ 中小企業の事業再生支援の強化
○財務状況が悪化している中小企業者の将来性のある事業を、会社分割や事業譲渡により他の事業者に承継させ、その再生を図ることを支援するため、「中小企業承継事業再生計画」の認定制度を創設し、以下の措置を講じる。
 イ 許認可等の承継(営業上の許認可等を承継できる特例)
 ロ 課税の特例(事業譲渡等に伴う登録免許税、不動産取得税の軽減)
 ハ 金融支援(政金公庫の低利融資、信用保険法・投育会社法の特例)

 いわゆる「第二会社」を設立し、会社分割や事業譲渡により優良事業を承継させて、既存の会社は、特別清算等により清算するスキームである。

 法律の名称が「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法」に変更される。
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「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案」

2009-02-27 13:55:53 | 会社法(改正商法等)
「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案」の国会提出について by 金融庁
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/09.february/09022601.pdf

 企業結合規制の見直しが行われる。

① 株式の取得について、事前届出制を導入
② いわゆる叔父甥会社間の合併等同一企業グループ内の企業再編について、届出を免除
③ 届出の要否の基準額を、買収者については「企業グループの国内売上高の合計額200億円超」、被買収者については「会社及びその子会社の国内売上高の合計額50億円超」とする。
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