司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

期間の計算

2009-09-13 18:21:52 | 民法改正
民法(債権法)改正検討委員会編「詳解 債権法改正の基本方針Ⅰ序論・総則」(商事法務)
http://www.shojihomu.co.jp/newbooks/1686.html

 早速読み始めたのであるが,「期間の計算」の箇所で不可解な部分がある。

 上記書籍391頁の「3 日(週,月,年)によって期間を定め,一定の時点から過去に遡って期間を計算する場合について」の解説中,「例としては,法令により株主総会の15日前までに,会社は株主に通知を発送する義務を負っている場合で・・・」とある。おそらく招集通知のことのはずであるが,原則2週間前であるし,その他の通知にしても,法令上「15日前」が登場するケースはない。「中2週間」を要することから,「15日前」と記載しているのかとも思われるが,「株主総会が6月25日10時開始であるとすると・・・6月9日24時までに,会社は株主に通知を発送する義務を負うことになる。」とあるから,明らかな誤解である。

 株式会社に関して,何かの「法令」に,「15日前」までの通知のケースがありますかね。
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期限の利益喪失の主張を信義則違反とした最高裁判決

2009-09-13 16:22:44 | 消費者問題
平成21年9月11日最高裁第2小法廷判決
「貸金業者において,特約に基づき借主が期限の利益を喪失した旨主張することが,信義則に反し許されないとされた事例 」
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37983&hanreiKbn=01

 シティズ事件(原審大阪高裁)の上告審で,上告棄却である。

「上告人は,被上告人が期限の利益を喪失していないと誤信していることを知りながら,この誤信を解くことなく,第5回目の支払期日の翌日以降約6年にわたり,被上告人が経過利息と誤信して支払った利息制限法所定の利息の制限利率を超える年29.8%の割合による金員等を受領し続けたにもかかわらず,被上告人から過払金の返還を求められるや,被上告人は第5回目の支払期日における支払が遅れたことにより既に期限の利益を喪失しており,その後に発生したのはすべて利息ではなく遅延損害金であったから,利息の制限利率ではなく遅延損害金の制限利率によって過払金の元本への充当計算をすべきであると主張するものであって,このような上告人の期限の利益喪失の主張は,誤信を招くような上告人の対応のために,期限の利益を喪失していないものと信じて支払を継続してきた被上告人の信頼を裏切るものであり,信義則に反し許されないものというべきである。」


 ただし,同日出された原審高松高裁の上告審判決は,破棄差戻しである。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37982&hanreiKbn=01
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