司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

配偶者の相続の放棄と配偶者短期居住権

2019-08-28 23:30:37 | 民法改正
 被相続人の配偶者が相続の放棄をした場合,当然に,初めから相続人とならなかったものとみなされる(民法第939条)。

 しかし,この場合も,配偶者の短期的な居住権を保護する必要性はなお存することから,配偶者短期居住権は成立すると解されている(改正後の民法第1037条第1項柱書ただし書の反対解釈,同項第2号)。

cf. 堂薗幹一郎ほか「一問一答 新しい相続法」(商事法務)37頁
堂薗幹一郎編著「概説 改正相続法」(金融財政事情研究会)30頁
潮見佳男編著「民法(相続関係)改正法の概要」(金融財政事情研究会)85頁,87頁

 若干,誤解もあるようなので。
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京都市証明郵送サービスセンターについて

2019-08-28 16:22:08 | いろいろ
京都市証明郵送サービスセンターについて
https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000254011.html

「京都市では,市民サービスの向上,事務の効率化を図るため,「京都市証明郵送サービスセンター」(略称:郵送センター)を新たに開設し,各区役所・支所における証明書の郵送請求事務を同センターに集約しました。
 これまで,証明書等の郵送請求については,本籍地や住民登録のある区役所・支所宛に請求いただく必要がありましたが,令和元年7月16日以降は,同センターにおいて一括して受付を行っております。」


 普通郵便による請求の場合,2~3週間ほどかかっているという噂である。

 お急ぎの場合,速達の利用をお奨めします。
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「会社法改正後の新しい株主総会実務―電子提供制度の創設等を踏まえて」

2019-08-28 14:08:26 | 会社法(改正商法等)
伊藤広樹編著「会社法改正後の新しい株主総会実務―電子提供制度の創設等を踏まえて」(中央経済社)
https://www.biz-book.jp/%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E6%B3%95%E6%94%B9%E6%AD%A3%E5%BE%8C%E3%81%AE%E6%96%B0%E3%81%97%E3%81%84%E6%A0%AA%E4%B8%BB%E7%B7%8F%E4%BC%9A%E5%AE%9F%E5%8B%99%E2%80%95%E9%9B%BB%E5%AD%90%E6%8F%90%E4%BE%9B%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%AE%E5%89%B5%E8%A8%AD%E7%AD%89%E3%82%92%E8%B8%8F%E3%81%BE%E3%81%88%E3%81%A6/isbn/978-4-502-31501-5

 先般の法制審議会で答申された会社法改正要綱のうち,「株主総会資料の電子提供制度」等の若干の改正論点に絞って解説されている。

 会社法改正法案は,10月4日頃に召集される秋の臨時国会に上程される見込みである。

cf. 法制審議会-会社法制(企業統治等関係)部会
http://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_00297.html
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「DES」のリスク説明義務をめぐり税理士に対し3億円の損害賠償命令(東京高裁判決)

2019-08-28 09:43:39 | 会社法(改正商法等)
 東京地裁平成28年 5月30日判決の控訴審判決で,令和元年8月21日,東京高裁は,原判決を支持,請求を棄却したそうだ。
 
 DESによる債務消滅益の課税リスクを説明しなかったというものである。 

cf. 平成29年9月25日付け「DES」のリスク説明義務をめぐり税理士に対し3億円の損害賠償命令
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「実務精選120 離婚・親子・相続事件判例解説」

2019-08-28 09:26:26 | 民法改正
加藤新太郎・前田陽一・本山敦編集「実務精選120 離婚・親子・相続事件判例解説」(第一法規)
https://www.daiichihoki.co.jp/store/products/detail/103590.html

 家族法分野における「大人の判例百選」(「はしがき」より)。
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相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合に,民法910条に基づき支払われるべき価額の算定の基礎となる遺産の価額(最高裁判決)

2019-08-28 01:40:22 | 民法改正
最高裁令和元年8月27日第3小法廷判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88889

【判示事項】
相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において,他の共同相続人が既に当該遺産の分割をしていたときは,民法910条に基づき支払われるべき価額の算定の基礎となる遺産の価額は,当該分割の対象とされた積極財産の価額である

「同条に基づき支払われるべき価額は,当該分割等の対象とされた遺産の価額を基礎として算定するのが,当事者間の衡平の観点から相当である。そして,遺産の分割は,遺産のうち積極財産のみを対象とするものであって,消極財産である相続債務は,認知された者を含む各共同相続人に当然に承継され,遺産の分割の対象とならないものである。」


「消極財産である相続債務は,認知された者を含む各共同相続人に当然に承継され,遺産の分割の対象とならない」は,当然である。

「協議に際して相続債務の負担に関する合意がされ,相続債務の一部がBによって弁済されている」という事情から,相続の開始後認知によって相続人となった者が負担すべき相続財務の支払の調整が図られ,最終的には価額の支払請求債権と調整されることになるのであろうが。


cf. 最高裁平成28年12月26日第2小法廷判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85705

【判示事項】
1 民法910条に基づき価額の支払を請求する場合における遺産の価額算定の基準時
2 民法910条に基づく価額の支払債務が履行遅滞となる時期

【裁判要旨】
1 相続の開始後認知によって相続人となった者が他の共同相続人に対して民法910条に基づき価額の支払を請求する場合における遺産の価額算定の基準時は,価額の支払を請求した時である。
2 民法910条に基づく他の共同相続人の価額の支払債務は,履行の請求を受けた時に遅滞に陥る。


民法
 (相続の開始後に認知された者の価額の支払請求権)
第910条 相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。
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