不動産登記や商業登記の申請をする際に,人名に使われている文字が登記上使うことができる文字であるのか,悩むことがあるであろう。
「現在,日本人の氏に使える漢字は5万5271字(戸籍統一文字),日本人の名に使える漢字は2998字(常用漢字+人名用漢字)が定められています。それとは別に,日本に住む外国人の氏名に使える漢字は,法務省によって1万3287字(入国管理局正字)が定められています。たとえば「髙」は,日本人の氏・外国人の氏・外国人の名には使えますが,日本人の名には使えない,という不思議な状態になっています。戸籍や住民票においては,3種類の異なる「正字」が併存している」(後掲・安岡)
cf. 安岡孝一「人名用漢字・異体字の歴史とは?【法律・戸籍制度における「正字」の変遷】」 by 日本医事新報社
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=3860
なるほど,
1.戸籍統一文字・・・日本人の氏に使える漢字
2.常用漢字+人名用漢字・・・日本人の名に使える漢字
3.入国管理局正字・・・日本に住む外国人の氏名に使える(日本に住む外国人が住民票や在留カード等の氏名に使える)漢字 ※「出入国管理庁正字」と称するべきか。
ということである。
「新字体」と「旧字体」については,
「一般に今使われている「国」のように画数の少ない簡略化された漢字のことは「新字体」,昔使われていた「國」のように画数の多い難しい漢字のことは「旧字体」と称されます。昭和24(1949)年,それまで使われていた難しい字体をやめて,簡単な字体を使うようにと,内閣が国民に告示したのが「当用漢字字体表」です。「当用」というのは,「当面用いる」という意味で,実は漢字自体の使用をやめさせるということも視野に入れての名称でした。その「当用漢字字体表」の中で,簡略な字体に改められていた漢字が「新字体」です。新字体は昭和56(1981)年,内閣告示の「常用漢字表」にそのまま引き継がれました。今度は「常用」ですので,「常に用いる」漢字として制定されました。そして現代でも新字体が「正しい漢字」(ここでは教育上,一般的にという意味で)として使用されるに至った訳です。」(後掲・銭谷)
cf. 銭谷真人「「国」と「國」のように,昔と今とで形がちがう漢字があるのはなぜですか」by ことば研究館
https://kotobaken.jp/qa/yokuaru/qa-55/#:~:text=%E4%B8%80%E8%88%AC%E3%81%AB%E4%BB%8A%E4%BD%BF%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%A6,%E7%94%A8%E6%BC%A2%E5%AD%97%E5%AD%97%E4%BD%93%E8%A1%A8%E3%80%8D%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82
そして,「刘」と「劉」についての歴史は,こちら。
cf. 安岡孝一「人名用漢字の新字旧字 第104回 「刘」と「劉」」
https://dictionary.sanseido-publ.co.jp/column/%E7%AC%AC104%E5%9B%9E-%E3%80%8C%E5%88%98%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%80%8C%E5%8A%89%E3%80%8D
「刘」の字は,日本では使われない簡体字のように思われがちであるが,従来から「劉」のいわゆる略字(「新字体」の位置付け)として用いられており,戸籍統一文字に含まれている(常用漢字及び人名用漢字には含まれていない。)。
cf. 戸籍統一文字情報検索システム
https://houmukyoku.moj.go.jp/KOSEKIMOJIDB/M01.html
※ 文字番号は,022410 である。
また,入国管理局正字(出入国管理庁正字)にも含まれている。
cf. 出入国管理庁正字検索システム
http://lapse-immi.moj.go.jp:50122/NKS/search.pl?select=&mode=code_search&sel_code=0&str_code=5218
外国人の方の氏について,登記上「刘」の字を使うことができないとする登記所があると仄聞するが,戸籍統一文字に含まれていて,日本人の氏として登記することができるのであれば,外国人の氏としても登記することができなければおかしいのではないか。
入国管理局正字(出入国管理庁正字)の全てについて,外国人の人名として登記上使用することが困難であるとしても,外国人の人名に用いられている文字が「戸籍統一文字」(日本人の氏に使える漢字)又は「常用漢字+人名用漢字」(日本人の名に使える漢字)である場合には,登記上使用することができるという取扱いをすべきである。
そういう取扱いであると理解していたのであるが・・・。
なお,中国在住の中国人の「刘」さんについて,中国の公証人が作成した邦訳により「劉」と登記がされた場合に,当該「刘」さんが日本に在留することとなり,入国管理の手続をすると,外国人住民票においては「刘」と記録されるので,登記上更正の登記をせざるを得ないという問題が生ずるという話も聞く。
「現在,日本人の氏に使える漢字は5万5271字(戸籍統一文字),日本人の名に使える漢字は2998字(常用漢字+人名用漢字)が定められています。それとは別に,日本に住む外国人の氏名に使える漢字は,法務省によって1万3287字(入国管理局正字)が定められています。たとえば「髙」は,日本人の氏・外国人の氏・外国人の名には使えますが,日本人の名には使えない,という不思議な状態になっています。戸籍や住民票においては,3種類の異なる「正字」が併存している」(後掲・安岡)
cf. 安岡孝一「人名用漢字・異体字の歴史とは?【法律・戸籍制度における「正字」の変遷】」 by 日本医事新報社
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=3860
なるほど,
1.戸籍統一文字・・・日本人の氏に使える漢字
2.常用漢字+人名用漢字・・・日本人の名に使える漢字
3.入国管理局正字・・・日本に住む外国人の氏名に使える(日本に住む外国人が住民票や在留カード等の氏名に使える)漢字 ※「出入国管理庁正字」と称するべきか。
ということである。
「新字体」と「旧字体」については,
「一般に今使われている「国」のように画数の少ない簡略化された漢字のことは「新字体」,昔使われていた「國」のように画数の多い難しい漢字のことは「旧字体」と称されます。昭和24(1949)年,それまで使われていた難しい字体をやめて,簡単な字体を使うようにと,内閣が国民に告示したのが「当用漢字字体表」です。「当用」というのは,「当面用いる」という意味で,実は漢字自体の使用をやめさせるということも視野に入れての名称でした。その「当用漢字字体表」の中で,簡略な字体に改められていた漢字が「新字体」です。新字体は昭和56(1981)年,内閣告示の「常用漢字表」にそのまま引き継がれました。今度は「常用」ですので,「常に用いる」漢字として制定されました。そして現代でも新字体が「正しい漢字」(ここでは教育上,一般的にという意味で)として使用されるに至った訳です。」(後掲・銭谷)
cf. 銭谷真人「「国」と「國」のように,昔と今とで形がちがう漢字があるのはなぜですか」by ことば研究館
https://kotobaken.jp/qa/yokuaru/qa-55/#:~:text=%E4%B8%80%E8%88%AC%E3%81%AB%E4%BB%8A%E4%BD%BF%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%A6,%E7%94%A8%E6%BC%A2%E5%AD%97%E5%AD%97%E4%BD%93%E8%A1%A8%E3%80%8D%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82
そして,「刘」と「劉」についての歴史は,こちら。
cf. 安岡孝一「人名用漢字の新字旧字 第104回 「刘」と「劉」」
https://dictionary.sanseido-publ.co.jp/column/%E7%AC%AC104%E5%9B%9E-%E3%80%8C%E5%88%98%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%80%8C%E5%8A%89%E3%80%8D
「刘」の字は,日本では使われない簡体字のように思われがちであるが,従来から「劉」のいわゆる略字(「新字体」の位置付け)として用いられており,戸籍統一文字に含まれている(常用漢字及び人名用漢字には含まれていない。)。
cf. 戸籍統一文字情報検索システム
https://houmukyoku.moj.go.jp/KOSEKIMOJIDB/M01.html
※ 文字番号は,022410 である。
また,入国管理局正字(出入国管理庁正字)にも含まれている。
cf. 出入国管理庁正字検索システム
http://lapse-immi.moj.go.jp:50122/NKS/search.pl?select=&mode=code_search&sel_code=0&str_code=5218
外国人の方の氏について,登記上「刘」の字を使うことができないとする登記所があると仄聞するが,戸籍統一文字に含まれていて,日本人の氏として登記することができるのであれば,外国人の氏としても登記することができなければおかしいのではないか。
入国管理局正字(出入国管理庁正字)の全てについて,外国人の人名として登記上使用することが困難であるとしても,外国人の人名に用いられている文字が「戸籍統一文字」(日本人の氏に使える漢字)又は「常用漢字+人名用漢字」(日本人の名に使える漢字)である場合には,登記上使用することができるという取扱いをすべきである。
そういう取扱いであると理解していたのであるが・・・。
なお,中国在住の中国人の「刘」さんについて,中国の公証人が作成した邦訳により「劉」と登記がされた場合に,当該「刘」さんが日本に在留することとなり,入国管理の手続をすると,外国人住民票においては「刘」と記録されるので,登記上更正の登記をせざるを得ないという問題が生ずるという話も聞く。
表示登記はよく「劉」のまま完了しているのを見かけます。
しかしその後保存登記を入れる際には「劉」は登記できず「刘」に訂正されてしまいます。