増加に転じるか、農業人口
皆様ご承知のように、日本の農林業人口は減り続けてきました。高度成長の始まった1960年代のはじめ、 労働力調査によれば、農林業の就業者は1300万人近くいたのですが、その後、日本経済のなかで製造業が急速に発展し、更に流通業サービス業などの第三次産業の拡大という経済成長の趨勢の中で、減少の一途をたどり、バブル崩壊の1991年には390万人を切ることになりました。
その後日本経済の長期不振、いわゆる「失われた20数年」を経て、さらに減り続け、いまは200万人を切る水準です。
折しもトランプ政権の誕生で、アメリカはTPPを放り出して、今後は日米自由貿易協定を迫る姿勢です。USUR代表に決まったライトハイザー氏も日本の農業分野をターゲットにしていると言っているそうです。
食糧自給率39%(オリジナルカロリーベース)の日本で農業関係者の心配は尽きませんが、こうした問題を解決するには、長い目で見れば、やはり日本の農業の国際競争力強化が必須です。
そんなことを言っても、アメリカの巨大農場と競争して勝てるのか、ということにもなりますが、先日発表されたこの3月の労働力調査で、何か新しい動きが出てきたことの兆しではないかと思われるような数字の動きがみられます。
上の図は総務省の労働力調査の、この1年半ほどの動きをグラフにしたもので、青い柱は、就業者、茶色の柱が雇用者の動きす。示したのは前年の同じ月に比べて、それぞれ増えたか減ったかで、単位は万人です。
農業の就業者は、もともと自営業主と家族従業者が中心ですから、青い柱がほとんどマイナスになっているのは、一目して解りますように、離農、後継者不足で減少する農林業就業者の動きを示していると思われます。2016年の10月、11月に見られる増加は、前年の10月11月が異常に減少、その後回復したことの反映です。その後,その後就業者はまた減少に転じましたが、今年の2月3月にかけて3~4万人の増加になって、います。
一方、雇用者の方は、何となく増加基調を続けています。「自営業主・家族従業者+雇用者=就業者」ですから、この2月、3月について見れば、雇用者の増加が農林業従事者数の増加を引っ張ているという動きになっていることが解ります。
雇用者というは、平たく言えば、企業の従業員ですから、この動きは、家族経営の農業従事者は減少傾向ですが、農林業、特に農業の会社化(法人化)が進み、農林業の就業者が雇用者増という形で増加するという傾向が出ているということではないでしょうか。
農業はもう第1次産業ではなく、工場生産(第2次産業)や流通サービス(第3次産業)もひっくるめた第6次産業だ、などといわれて久しいのですが、それを実現する主たる担い手は、家族経営ではなく「農業企業」でしょう。
これからの日本の農林業は、高付加価値農林業を目指すのが必然的な流れでしょう。そうした傾向が、就業構造の統計に表れ始めた、と言っては早合点に過ぎるとのご意見もありましょうが、そう思いたいな、日本の農業は、既にその方向に向かっていることの表れであってくれればいいなと思いつつ、統計数字を眺めた次第です。
皆様ご承知のように、日本の農林業人口は減り続けてきました。高度成長の始まった1960年代のはじめ、 労働力調査によれば、農林業の就業者は1300万人近くいたのですが、その後、日本経済のなかで製造業が急速に発展し、更に流通業サービス業などの第三次産業の拡大という経済成長の趨勢の中で、減少の一途をたどり、バブル崩壊の1991年には390万人を切ることになりました。
その後日本経済の長期不振、いわゆる「失われた20数年」を経て、さらに減り続け、いまは200万人を切る水準です。
折しもトランプ政権の誕生で、アメリカはTPPを放り出して、今後は日米自由貿易協定を迫る姿勢です。USUR代表に決まったライトハイザー氏も日本の農業分野をターゲットにしていると言っているそうです。
食糧自給率39%(オリジナルカロリーベース)の日本で農業関係者の心配は尽きませんが、こうした問題を解決するには、長い目で見れば、やはり日本の農業の国際競争力強化が必須です。
そんなことを言っても、アメリカの巨大農場と競争して勝てるのか、ということにもなりますが、先日発表されたこの3月の労働力調査で、何か新しい動きが出てきたことの兆しではないかと思われるような数字の動きがみられます。
上の図は総務省の労働力調査の、この1年半ほどの動きをグラフにしたもので、青い柱は、就業者、茶色の柱が雇用者の動きす。示したのは前年の同じ月に比べて、それぞれ増えたか減ったかで、単位は万人です。
農業の就業者は、もともと自営業主と家族従業者が中心ですから、青い柱がほとんどマイナスになっているのは、一目して解りますように、離農、後継者不足で減少する農林業就業者の動きを示していると思われます。2016年の10月、11月に見られる増加は、前年の10月11月が異常に減少、その後回復したことの反映です。その後,その後就業者はまた減少に転じましたが、今年の2月3月にかけて3~4万人の増加になって、います。
一方、雇用者の方は、何となく増加基調を続けています。「自営業主・家族従業者+雇用者=就業者」ですから、この2月、3月について見れば、雇用者の増加が農林業従事者数の増加を引っ張ているという動きになっていることが解ります。
雇用者というは、平たく言えば、企業の従業員ですから、この動きは、家族経営の農業従事者は減少傾向ですが、農林業、特に農業の会社化(法人化)が進み、農林業の就業者が雇用者増という形で増加するという傾向が出ているということではないでしょうか。
農業はもう第1次産業ではなく、工場生産(第2次産業)や流通サービス(第3次産業)もひっくるめた第6次産業だ、などといわれて久しいのですが、それを実現する主たる担い手は、家族経営ではなく「農業企業」でしょう。
これからの日本の農林業は、高付加価値農林業を目指すのが必然的な流れでしょう。そうした傾向が、就業構造の統計に表れ始めた、と言っては早合点に過ぎるとのご意見もありましょうが、そう思いたいな、日本の農業は、既にその方向に向かっていることの表れであってくれればいいなと思いつつ、統計数字を眺めた次第です。