tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

一帯一路、AIIB、中国の構想

2017年05月16日 12時45分10秒 | 国際経済
一帯一路、AIIB、中国の構想
 北京で14、15両日開催された「一帯一路」についての初めての国際会議が、昨日終了しました。29カ国の首脳をはじめ130カ国以上の国、さらに国連、IMFなどの国際機関からも参加、中国の一帯一路構想についての世界の関心の深さを示しました。

 習主席は「幅広い合意に達し、前向きの成果が得られた」と今後の活動についての積極的な姿勢を示したと報道されています。

 折しも、自由貿易のリーダーを自認してきたアメリカではトランプ大統領が、「アメリカ・ファースト」「保護主義容認」打ち出したところです。今度は、社会主義市場経済を標榜し、自由化とは一線を画してきた中国が、一帯一路では「あらゆる保護主義に反対する」とまさに攻守所を変えた形となりました。

 一帯一路構想で中国が打ち出しているような陸と海のシルクロード、ユーラシア大陸から南アジア、アフリカまで含む経済圏ということになりますと、これはまさに巨大です。

 中国には「愚公山を移す」という諺がありますが、いずれにしても長期の話です。今回の会議で議論されたような、インフラ建設を中心に、経済基盤の充実が図られれば、その効果は計り知れないでしょう。
 AIIBを増資し、勿論その程度では足りないでしょうから広く資金を調達し、相対的な経済発展を目指すとすれば、膨大な投資と、成功すれば巨大な経済圏の発展が可能になるでしょう。

 ところで、この巨大構想が成功するか否かの分かれ目は何でしょうか。
 見方はいろいろあると思います。しかし、長い目で見れば、中心となる国・組織が自国の利益を中心に行動するか、コストを払ってでも、全体の繁栄を図り、その上でその成果を共有するか、どちらの態度をとるかでしょう。

 現在の中国を見ますと、周辺を収奪し、自国の利益を図るのか、という危惧を持つ国も多でしょう。南沙諸島に見られる版図拡大、軍事利用へといった動きは、皆見ています。
 
 しかし、こうした試みは、いずれ失敗するようです。旧ソ連も崩壊しました。アメリカが自国中心に転換したのも、自国の利益を図るつもりが結局そのコスト高に耐えかねたからでしょう。

 古くは植民地崩壊から始まり、単なる「富の移転」による収益確保(収奪)は次第に許されなくなってきているのです。
 一帯一路もこうした地球市民の意識の進化の中で考えれば、この巨大な地域全体の経済の底上げが現実になって、初めて成功すると考えなければならないのでしょう。

 広い関心を得て、スムーズな出発の情景を見せた「一帯一路」構想です。今後のさらなるスムーズな発展を期待したいと思います。