tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

「2020年度プライマリーバランス回復」の公約はどうする?

2017年05月26日 14時37分45秒 | 政治
「2020年度プライマリーバランス回復」の公約はどうする?
 安倍政権はかつてより、2020年度を目指す財政の プライマリーバランスの回復を公約として掲げ、国際的にも約束してきています。
 2020年は東京オリンピックの年ですから覚えやすくていいのですが、現実には、どう考えても不可能でしょう。

 安倍さんは 黒を白と言いくるめるようなこともいろいろしていますが、プライマリーバランスに関する限り言い訳はできないでしょう。

 にも拘らず、今準備しているのは、目標の言い方を変えることのようです。
「財政赤字を減らすことが目標で、プライマリーバランスはその手段。目標達成への通過点しすぎない」ということにして、「通過するのが遅くなっても問題ない」ということのようです。

 しかし、本当に問題ないのでしょうか。国際的な約束の手前もあり、G7やG20で、過度な不均衡を指摘される可能性の高くなりますし、国際的に不誠実と思われれば、国際投機資本などの動きも予断を許しません。日米FTA交渉でもいろいろと不利でしょう。

 それだけではありません、金融正常化(金利引き上げ)に動くアメリカが、日本の金融緩和の継続を懸念する可能性も高く、スティグリッツ氏も「金融緩和から財政政策へのシフトする時期」と言っているようです。

 勿論、いつまでもゼロ・マイナス金利というわけにはいかないことは明らかですから、金利が上がった時、政府は国債の利払いをどうするのか、日銀は国際価格の低落をどうするのかといった問題が、いずれは発生する可能性も高いでしょう。

 折しも、財政審会長の榊原経団連会長から、プライマリーバランスの2020年度の回復は絶対に実現すべきとの意見書が出されました。「これは国際公約でもある」と指摘し、国際経済関係の中で仕事をしなければならない日本産業・企業の意識も見えます。

 出来ない事を出来ると言いくるめたり、あることをないと断言したり、重いはずの言葉を軽く弄ぶような政治が長続きすることはないでしょう。
 この所目に余る異常さが多発するような状態から、早く、主権者である国民と真摯に向き合うような政権運営に戻ることを願うばかりです。

 何せ、政府にカネを貸している最大のスポンサーは、個人金融資産1800兆円を持つ国民なのですから。 (国民:国債にまともな利息を払ってほしいよ・・・。)