tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

新入社員入社まで1か月、初任給2題 その1

2019年03月02日 13時40分28秒 | 労働
新入社員入社まで1か月、初任給2題 その1

(日本経団連・東京経営者協会調べ)
 アベノミクスの働き方改革では、日本も同一労働同一賃金にして、学卒一括採用など止めて、欧米流の雇用制度にしたいようですが、企業も大学も学卒一括採用は止められないようです。

 特に、企業にとって、新規学卒で良い人材(素材)を確保しようという気持ちは、「企業は人間集団」と考える日本企業の本能的な欲求でしょう。
 そうした背景で見て来ますと「学卒初任給」というのは、賃金決定の中でも特別の意味を持つはずのものです。

 図は、経団連・東京経営者協会の調査による「新規学卒者決定初任給調査」の中から、平成不況になってからの「初任給を引き上げた企業の割合」を見たものです。
 平成不況になる前は、初任給は毎年なにがしか引き上げられるのもというのは企業の常識のようなものでした。

 ところで、初任給には「定期昇給分」はないのですから、初任給上昇はまさに「べースアップ」そのもので賃金全体を押し上げる可能性が大きいわけです。

そんなわけで、バブル崩壊の1991年(平成3年)以降少し様子が変わったようです。初任給水準は1995~1998年がピークで、その後は初任給も下がる年が多くなりました。

 その辺りの状況がこの「初任給を引き上げた企業の割合」でも見られます。
 2002年、バブル崩壊後の長期不況が響いて、初任給を引き上げた企業の割合は急減し、一桁にまで下がります(引き下げた企業の動きも調査されています)。

 その後、「いざなぎ越え」(好況感なき上昇)の時期に入り、「好況感なき」と言われている中でもそれでも半数近い企業が初任給を引き上げる状況まで回復しました。

しかし、リーマンショックで2009年からは、企業の9割は初任給据え置きか引き下げという状態を続けています。リーマンショックの深刻さが知られます。

 そして2014年以降は日銀の金融緩和政策で円安になった途端、初任給引き上げ企業の割合は50%水準にを回復します。
 その後、初任給水準は小幅ですが、上昇傾向をたどるようになっています。

 1か月後、新入社員になられる皆様の初任給も、昨年の初任給より高いという企業が多いのではないかと思います。
 初任給は、社会に役に立ち始めたことの証拠です。有効に遣いましょう。