tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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景気循環論を考える:景気は循環するのか・・・

2019年03月29日 17時32分07秒 | 経済
景気循環論を考える:景気は循環するのか・・・
 経済を齧った方なら、どなたも景気循環論をご存じと思います。わたくしもその端くれで、景気循環はあると言ったらいいのか、ないと言ったらいいのか考えたりします。
 
この所、アベノミクスが戦後最長の好況になるかどうかが話題になっていますが、これを景気循環論で説明しようという主張はあまり聞かれないようです。
 「満ちれば欠ける」というのは自然現象の中では通常のことで、人の世で起きる事にもよく使われますから、人為の結果である社会現象、経済現象にも循環はあるといっても、あながち否定することは出来ないようにも思います。

 このブログでも取り上げる「景気動向指数」等でも、長さの長短はあっても好不況は必ず繰り返されています。
 現実の景気の動きは複雑でも、そうした動きは基本的に、キチン循環、ジュグラー循環、クズネッツ循環、コンドラチエフ循環などの組み合わせで考えれば、それなりの説明がつくというのが伝統的な循環論なのでしょうか。

 しかし、現実にはこうした経済活動の在り方の齎す循環変動のほかに、天変地変や、政治や国際関係(含む種々の抗争・戦争)といった全くイレギュラーな事象によっても景気は影響を受けます。そしてこのところはこの影響の方が大きいようにも見受けられます。

 結論から言えば、上記のような循環論は、客観条件が定常な時に経済活動が在庫や(キチン)設備投資(ジュグラー)、技術革新(コンドラチエフ)などがある程度の期間で繰り返されるという経験則に立つもので、こうした循環期間も経済社会のあり方で変わりますし、さらに、特発的な経済外事象の影響が出ることも多く、そのうえ、不況をなくそうとする経済政策が進歩していますので、現実は必ずしも循環的でない変動をするということではないでしょうか。

 卑近な例を見れば、プラザ合意の円高とか、リーマンショックとか、黒田バズーカといったことで経済も景気も動きます。
 今の景気も、米中経済協議がうまく纏まれば腰折れしないで続く可能性も大きいでしょう。

 現実を見ますと、昔からcounter-cycrical(反循環的)などと言われる経済政策が、今日では多様な発展をし、景気の循環(cycle)を出来るだけなくそうというのが経済政策の目標でもあるわけです。

 一方では、そういう経済政策を発展させながら、他方では、国際関係の意地の張り合いや、国内の政争の思惑から景気の維持に失敗するようなこともあるようで、やっぱり景気には山も谷もあるということになるようです。
 ということで、景気は循環しているのが現実ですが、循環の理由は、伝統的な理論とはかなり違ったものになってきているように思われます。