2024年11月27日朝4時(現地時間)、9月から続いていが続いていたイスラエルとヒズボラの間の戦闘の停戦が合意されました。
60日以内にイスラエルはレバノン領内から撤退、ヒズボラは戦闘地域から戦闘員と武器を引き揚げ、戦闘地域はレバノンの管理に移すことになったのです。
アメリカのバイデン大統領の努力をはじめ、フランスの協力、イスラエルと対立するレバノン、そしてイランも、合意の意思を表示、バイデン大統領は「これは恒久的な停戦を目指すもの」と付け加えたとのことです。
「戦争は人の心の中で始まる」とは、ユネスコ憲章の前文にある言葉ですが、「人の心の中で」の「人」というのは〈一国の〉リーダーを指すのでしょう。
そして同時に、戦争をやめさせ、やめるのも「リーダーの心」にあるようです。
イスラエルの後ろ盾と言われる、アメリカのバイデン大統領は、その強い意志と影響力を行使し、イスラエルのネタニヤフ首相の「襲撃を受けたからには、相手を殲滅するまで戦いはやめない」という異常な敵愾心の抑制に成功、停戦を成功させたのです。
戦争が終われば、そこで文明の破壊と人間の殺戮は止まるのです。そしてこの戦争で失われた多くの命の追悼、生活の場所を追われた一般の人々の正常な生活に戻るのです。
しかし、いまだに、イスラエルはパレスチナ、ハマスとの闘争を続け、ロシアはウクライナへの侵攻をやめる気配はありません。人類に残された問題まだまだあるのです。
人類社会は、数限りない戦争を体験し、多くの人々が惨禍にさらされ、破壊と殺戮の中で苦しんできました。その経験は、人類に、平穏な生活の大切さと、人類の文化文明の発展の大切さを多くの人類に理解させてきているはずです。
今回のバイデン大統領の決断と努力、その決断を支えた人々、そしてそれを良しとして受け入れた人々は基本的に、人類の一員として正しい判断をしたのです。
何故なら、人間は元々その本能として生存欲求を持ち、その上に立って社会を作り、その社会の進歩、向上、発展を求めるという性格を持っているからです。しかるに、戦争は結局、破壊と殺戮という人間本来の性格とは正反対の現実しか齎さないからです。
これまで、地球上で、戦争が繰り返され、それが破壊と殺戮という人類社会の退行を生んできたのは、人類社会の一部のリーダーの心に、邪な欲望が生れ、その実現のための手段として、人の手による破壊と殺戮を利用するという恐ろしき妄念・邪念が生まれたことによるのでしょう。
もともと人間の心には、倫理的でない要素もあるのでしょう。そうした人間の心に内在する部分の発露が、歴史的には、征服や殺戮という「争いの文化」として広がることになりました。しかし、人間は同時にあくなき向上心も持ち、それが、より高等な「競いの文化」を築き上げ、人類世界の進歩の原動力になったという事でしょう。
「競いの文化(オリンピック)」は古代ギリシャの時代から「争いの文化(戦争)」に優先すると考えられていました。
今、人類は早期に「争いの文化」を人類社会から消去し、「競いの文化」こそ人類に相応しい文化とする地球社会を作るべく最大限の努力をする必要があるように思うところです。