tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

関税積上げより大事な仕事があるのでは?

2024年11月27日 17時18分51秒 | 国際関係

トランプさんは大統領就任前から「私はこうします」と政策方針を一杯だし、もう大統領をやっているようです。

特に、MAGA(アメリカを再び偉大に)のスローガンは、アメリカ経済を再び世界一立派にという経済政策が中心のようです。

その中でも真っ先に手を打つのでしょう関税の話が次々出てきます。

やっぱり一番気にしているのは貿易赤字で、アメリカは世界中から物を買って各国の役に立ってやっているのに、彼らはアメリカから物を買わない。おかげでアメリカの貿易はいつも赤字だ。といった気持ちは強いようです。

以前から、アメリカは日本の車を沢山買っているが日本はアメ車を買わないといいます。日本人が乗りたくなるような車がないからといっても解ってくれないようです。

今は、問題の相手国は中国で、現政権も安価な中国製電気自動車(EV)には100%の関税、その他EV関係の部品・原材料、半導体関連にも高率の関税を決めていますが、トランプさんは、さらに一律10%の関税を上乗せするといっています。

今回は、メキシコ、カナダからの輸入品に(薬物の輸入が止まるまで)25%の関税をかけると言い出しています。

メキシコには、トヨタ、日産、ホンダなど日本の自動車産業も工場を持ち、対米輸出の拠点にもなっています。

勿論日本の自動車産業はアメリカにも工場を持っていますが車種によってはより人件費の安い所で生産という選択もあります。

トランプさんは、もともと企業経営者ですから、赤字が気になるようで、まずアメリカの貿易赤字を消すために、アメリカ産石油を掘りまくれなど発言したりしますが、これは気候変動政策への逆行という事で心配されるところです。

ところで「アメリカを再び偉大な国に」というのは、先ず、赤字国を黒字国に転換するという事でいいのでしょうか。

確かに、1960年代にはアメリカは黒字国で「バターも大砲も」と言われ世界に君臨出来たのですが70年代に入ったころには経常赤字が慢性化して(ベトナム戦争のため)ドルの金兌換をやめ、変動相場制を世界に採用させることになったのです。

その後、レーガン大統領は、対日赤字を消そうと日本に円高を要求しました。日本経済は衰退しましたが、アメリカは黒字にはなりませんでした。前回のトランプ政権は、中国に人民元高を迫りましたが、中国は「ノー」で、関税戦争になりました。

しかし、イーロンマスク氏のテスラは売れてマスクさんはアメリカ一の億万長者になっています。世界一の新興企業もGAFAのように沢山あります。

それでも、今の状態は昔と違って、アメリカの技術水準や生産力が世界でも圧倒的という時代ではなくなっているのです。テスラも上海に工場を作っていますが、結構苦戦しているようです。この問題は、関税を動かすだけで相殺・解消できるほど単純ではないでしょう。

今、アメリカの分断が言われますが、アメリカの素晴らしい先進国部分と、今や途上国にも似て来た部分の『合衆国』が嘗ての「偉大さ」を取り戻すことは容易ではないでしょう。

若し、今のアメリかが「アメリカの栄光」を取り戻せるとすれば、それは、今の世界が最も望んでいる事、「世界の平和に役立つ」という全く「新しい形」で、アメリカの優れた「外交力」を駆使し、世界の共感と共に、その実現に邁進することではないでしょうか。


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