昨日内閣府から2024年4~6月期のGDP統計の第一次速報が発表になりました。
報道では昨日紹介され、対前期比0.8%の増加で、年率にすれば3.1%の経済成長率になるという趣旨のものが多かったようです。
これは大変結構なことで、退陣を決めた岸田総理は、今後6年間の経済成長率が、年率1%を超えることを目指すという大変つつましい方針でしたから、それに比べれば大幅に高い数字です。
ちょっと余計なことを付け加えますと、前期比0.8%が年率3.1%になるという計算は、四半期の対前期実績が1年間(4四半期)続いた場合という計算で、1.008の4乗です。答えは3.24で、3.1になるのは1.0077ですから、0.77%を四捨五入して0.8%%ということでしょう。
ところで4-6月がプラスの0.8で年率3.1(以下数字はすべて実質値)というのは、まさに急速な経済回復といった感じです。その前の3四半期は、マイナスか、プラスでもわずか0.1%です。
政府もこれまでもそんな急速な経済回復が起きているとは言っていませんでしたが、何故そんな急速な経済回復が起きたのでしょうか。
ということで0.8%の成長を支えた要因を見て見ますと、その主役は家計の消費支出だという事が解ります。
四半期GDP主要項目の対前期増加率(実質%)
上の表を見ますと、家計最終消費が1.0%の増加です。家計消費支出はGDPの半分以上を占めていますからこれが主役ということは明らかです。
GDPを構成する主要なものは個人消費、企業の設備投資、政府支出、純輸出といったところですが、企業の設備投資は増減はあっても基本的に堅調、公的需要赤字財政でのバラマキやアメリカから防衛装備品を買っても今の計算方式ではGDPの増加になるというインチキ臭いこともあるので、要注意です。純輸出は(解り易いように)増加率でなくGDP成長率への寄与率になっています。
つまりは、これまでマイナスだった家計最終消費が前期比1%増になったことがプラス成長の主因です。
これは当然春闘の賃上げ、加えて6月のボーナスが増えたことによる家計の支出増が消費を押し上げたということですが、このブログで見ている家計調査では、収入の増えた割には消費は増えていないという実体もあります。このブログでは7月には実質賃金は実質マイナスに転じる可能性を心配しています。
3.1%の増加はいいのですが、最後に、いつも見てきていますように「対前年同期比」の表を載せておきます。
四半期GDPの対ぜ年同期増加率(実質%)
1年前に比べての増加、実質成長は、2023年の各期はプラスでしたが、残念ながら、24年に入って2四半期マイナスです。
上の表の4-6月期の対前期0.8%プラㇲは、直前の1-3月期が異常に落ち込んだことの回復だったようにも見えます。
家計調査の検討の際も指摘しましたが、消費不況からの脱出のためには、もう少し高い賃上げと、家計の消費性向の上昇が必要のようです。
そしてそのためには国民の政府に対する信頼感、日本経済社会の安定を多くの家計が感じられるような環境が必要のようです。