Uta.95「minusを」
老いてゆくとは、きっと
思い通りに事が運べなくなる現象を
否応なく強いられることなのだ
地位でも名誉でも
存在感の有無においても
思考の範囲でも密度でも
若しかしたら、重要度においても
自分が考えているよりは
遥かにマイナスを具現化するのだ
些かの忍耐力と
或る程度の耐性があると自負できる
まだ、今の間に
抵抗力が残されていると認識できる
まだ、今の間から
その事の悲哀を軽度にしたいと
憂愁の日々の痛みに備えたいと
襟を正すのだが
さりとて
その老いの現実は
まだ遥か先に有るように思えて
そう思いたくて、定かに直視できない
・・無粋の輩と同じ為体なのだ