ひとつの哀惜を
固執するものに出合う頻度が
間遠くなり
固執するものごとの濃度が
見る影もなく薄まって
僕は日に日に
”こだわり”を捨ててゆく
-僕ではない僕に近づいているのだ
或いは若しかしたら
-僕を喪失してゆくのか・・
精神を真っ直ぐに起ち上がらせていた
一本の支柱を見失うけれど
それでも
生きている今を支える
幾本かは健在で
それが
辛うじて僕を僕だと認識させる
僕は唯その実感で
ひとつの哀惜を胸に宿しただけなのか・・
横溢するイノチの時代には
捨てたものの何倍も拾った
哀しみや淋しさは
未来への活力となって還元された
今はただ
茜の色相を愛でて佇む
僕はただ
その美しさを文字化する語り部になり
胸を過る風景と
視線を横切る風景と
心に寄せる漣と音と・・
-嗚呼、世界は
-別の鼓動を打って、存在する
05/14 22:53 万甫