衆議院では、いわゆるカジノを含む「総合リゾート施設(IR)整備推進法案(カジノ解禁法案)が、昨11月30日、内閣委員会で野党の反対を他所に審議入りしました。
カジノ解禁法案には、賛否両論、国民世論も別れています。私は、ギャンブル依存症を増やす政策には反対です。増してや、国や地方の財源をギャンブル振興に求めるのは国家的な愚策だと思います。
ところが、自民党は、11月30日に審議入りしたカジノ解禁法案を明日12月2日には委員会採決しようとしています。こんな重要問題を含む法案を実質的に全く審議しないまま、委員会採決することは多数を頼んだ自民党の傲慢しか思えません。
こんな国会運営に危惧を抱いたコラムが朝日新聞に載りました。11月30日付け「天声人語」です。私も同感です。よろしかったら読んでみてください。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」。まもなく連載開始30年を迎える漫画『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する悪役ディオはしばしばこう叫ぶ。戦闘シーンで主人公たちを威圧する強烈な連呼だ
▼年金改革法案をめぐる先週の衆院厚労委員会の質疑を聞いて「無駄」の連呼を思い出した。「私が述べたことをまったくご理解いただいてないようでは、こんな議論を何時間やっても同じですよ」。発言したのは安倍晋三首相そのひとである
▼「質疑がかみ合っていない」「そもそも議論にならない」「年金が3割カットになるという言説は誤解と悪意に満ち、まったく不適当だ」「明らかにデマゴーグ」。表情からイライラが痛いほど伝わる
▼これらの発言から数時間ののちに委員会で採決が強行され、法案はきのう衆院を通過した。衆参で3分の2を制した与党には、もはや国会質疑そのものが時間の無駄としか思えなくなったのだろうか。異なる意見や価値観に向き合おうという姿勢がどうにも感じられない
▼いまから78年前、衆議院の委員会に「黙れ」の声が響いた。国家総動員法案を通そうとする陸軍の中佐が、議員のヤジを押さえつけた。軍部の専横、議会軽視を示す例としていまに語り継がれる。ときの実権を握った者が活発な議論を封じ込めようとすれば、国はたちまち傾く
▼貿易協定TPPといい、年金法案といい、現政権は国会審議を軽んじすぎる。「無駄無駄無駄無駄」。叫びはせずとも、首相の顔に書いてある。