能率技師のメモ帳 経済産業大臣登録中小企業診断士・特定社会保険労務士の備忘録

マネジメント理論、経営理論を世のため人のために役立てるために

どん底から生まれた宅急便 都築幹彦元社長・・・ヤマト運輸躍進の生き証人 いいお爺さまでした

2013年05月25日 | 本と雑誌

「どん底から生まれた宅急便」 

都築幹彦著

日本経済新聞出版社 1700円+税


著者の都築さんは、ヤマト運輸の元社長。

オーナー2代目の小倉昌男さんとともに「宅急便」のビジネスモデルを築き上げた中興の祖ともいえる人物。


同書は、都築さんの初の本。

経営学の名著、古典である小倉昌男著「経営学」と合わせ読むと、ヤマト運輸の表と裏両面からの探索が可能になります。

先日、都築さんとお話しする機会があったのですが、その際、「小倉さんの本は成功ストーリー、私の本は失敗を綴ったストーリー」と話されていました。

83歳を過ぎてもカクシャクとされているお姿には、まだまだオーラが漂っていました。


「ボクは、三代続く江戸っ子、青山の生まれだから、口が悪いよ」

「実は、この本はパソコンで書いたんだ。この年で、パソコンをきつかったよ」


いただいた名刺には、アマチュア・マジシャンズクラブの17代会長の肩書が・・・。

もう20年以上も手品を趣味として継続されているそうです。

そう話される笑顔には、日本の流通システムを一変させたビジネスパースンというよりは、ニッポンの良きお爺ちゃんといった感じでした。

自分もこういう爺さんになれたらなあ、と感じた次第です。


この本の中には、いくつも面白いページがあり、楽しく読むことができます。

小倉さんが営業部長で都築さんが営業課長であった時代の話、アニメ「魔女の宅急便」の秘話、汐留営業所長時代の話、ゴルフ宅急便、スキー宅急便開発秘話・・・。山あり谷ありのジェットコースターのヤマト運輸の発展・・・。


古い体質の大和運輸からの脱却、ビジネスモデル構築の苦悩、運輸省との対決、労働組合との関係性、セールスドライバーの育成・・・。

さまざまな壁や苦難を乗り越えていく著者の姿は感動を呼びます。

著者は、「利益より信頼」「密集度を高める」といったマネジメントのキーワードを挙げています。

一見、原理原則と反するように思える思想、方法論が、年間14億個の小口発送、利益700億円を産みだしたのです。


特に、小倉昌男さんの「経営学」を読まれた方は、ぜひお読みいただきたい一冊です。


◆目次

1.どん底のヤマト運輸

2.社運をかけた挑戦

3.なぜ郵政に挑戦したのか

4.運輸省の厚い壁を打ち破る

5.進化する宅急便

6.ヤマト運輸との出会い

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