首都圏を中心にマンション価格が高騰しています。
タワマンや駅近マンションは、1億円に届くほどの価格です。
でも、これからは、建物は老朽化し、そこに住む住民も高齢化していく・・・。
近い未来に、そのマンションは一体どうなるのか?
朝日新聞の取材班が集めてきた記事を一冊の本にまとめました。
朽ちるマンション 老いる住民
朝日新聞取材班著 朝日新書 810円+税
目次
第1章 管理会社「拒否」の衝撃
第2章 没交渉の住民
第3章 高齢化するマンション
第4章 コミュニティー再生
第5章 管理組合にせまる危機
マンションの老朽化により修繕積立費が上がっているそうです。
12年~15年で大規模修繕と言われています。
3度目の大規模修繕・・・築40年くらいのマンションの修繕費は従来の大規模修繕費用の2倍になることもあるそうです。
修繕積立費を上げると年金暮らしの高齢の住民から反対意見が出、管理組合の理事会も機能しなくなり、修繕も出来ず、「管理不全」になり、そしてスラム化への道を歩むことになります。
住民の高齢化も進み認知症の老人も増え、オートロックを開けられない老人、徘徊する老人、理事になる人たちも激減・・・。
さらには、クルマ離れの若者、高齢で車を手放す高齢者・・・機械式駐車場に空きが出始め、駐車料という財源が激減・・・。
今はカッコいいタワマンでも、40~50年後には大きな危機を迎えることになります。
同書では、新築最優先で進めてきた国の住宅政策のホコロビが出てきたと言います。
全国的に空き家が増えているにも関わらず、住宅に困っている人たちもいる・・・。
国や行政が一定の働きかけをしないと、このギャップも解消できないと指摘します。
今までは、賃貸から分譲マンション、そして郊外の一戸建てという「住宅スゴロク」があったようですが、今ではマンションを「終の住まい」にしようとする人が6割以上いるとのこと。
「マンションは管理を買え」と言われていますが、今や管理会社も管理組合も機能しづらくなってきました。
「管理不全」になると、マンションの市場価値は大暴落、マンションが老朽化するとマンションを出てホームレスへ転落することにもなります。
現在、マンションに住まれている方に一読いただきたい一冊です。
マンションは、終の住まいになりえないかもしれません。