オードリー・タンさんの新刊本がSB新書から出されました。
新刊本と言ってもオードリーさんは著作を持たず、自身をオープンソース、プラットフォームにするという主義。
「語り」というカタチにして、近藤弥生子さんが執筆しています。
オードリーさんは、天才と言われる台湾政府のデジタル担当大臣。
IQは軽く200を超えていると言われています。
まだ誰も見たことのない「未来」の話をしよう
オードリー・タン語り 近藤弥生子執筆 SB新書 990円
オードリーさんは、「IT」と「デジタル」を使い分けています。
ITは機械と機械を繋げるもの、そしてデジタルとは人と人を繋ぐものということです。
国家レベルで、デジタル化が進んでいる台湾のデジタル担当大臣として、ソーシャル・イノベーションを起こしより良い国にしていくというパッションが感じられます。
台湾政府のデジタル化は、日本より相当先に進んでいます。
しかも、スピード感があります。
ニッポンのデジタル庁も頑張ってほしいものです。
目次
第1章 デジタルで世界はどう変わっていくのか?
第2章 これからの「社会」のカタチを考える
第3章 世界と私たちの未来
第4章 これからの未来を創るみなさんへ
コロナ対策でいち早くマスクの地図を作った天才と言われるオードリーさん。
より良い台湾にするために、国民の参加のための様々な仕組みやシステムをスピード感を持って進めていきます。
デジタルのある世界では、誰もがメティアの一員
台湾のデジタル民主主義
選択権を市民に委ねてこそ、民主的だと言える
3つのF・・・「FAST(速さ)」「FAIR(公平さ)」「FUN(楽しさ)」
目指すのは、ソーシャル・イノベーション。
「ソーシャル・イノベーション」というのは従来とは異なる創造的な解決法によって社会問題や課題を解決していこうという概念。
世界になかった概念を生み出す、ということです。
これを、すべての人が孤独に闘うのではなく、助け合えるよう「ソーシャル・イノベーション」を用いて支援するというのがポイントだと喝破します。
一人で出来る問題解決は限界がある・・・それをデジタルでみんなを繋いで解決するというスタンスです。
台湾で行われているハッカソン(ハック+マラソン)では、離島エリアの緊急医療、農地工場の汚染をなくす、台湾のお茶文化と環境保護を融合といった社会問題の解決を実現しています。
みんなのチカラを融合する・・・天才と言われるオードリーさんからのメッセージです。
さらに、5Gがあれば、都市という概念はなくなるし、ソーシャル・イノベーションは地方にこそ必要だと指摘します。
基本はオープン!
情報をオープンにすればするほど、政府と市民が近づくと語ります。
台湾という国の規模が、エストニアのようにデジタルにちょうど良いサイズなのかもしれません。
同書では、SDGsも取り上げられています。
「経済」「社会」「環境」のトリプル・ボトムラインの達成が必要だと指摘します。
GDPはSDGsの一つに過ぎない・・・経済が一時的に成長しなくともリカバリーは出来るが、環境を壊すと二度と元には戻らないと語ります。
面白かったのが最終章。
日本からの質問に対して、Q&A方式でオードリーさんが回答していきます。
Q 自分がすべきことをどのように見つけて行けばよいのかわかりません。
A(オードリーさんの回答)・・・「まだ鳴ることのできる鐘を鳴らそう!あなたの少しの心がけで、たくさんの人を幸せにできる」
Q 仲間を見つけたいと思った時、どうするのがおすすめですか?
A(オードリーさんの回答)・・・「歴史あるコミュニティではなく、できたばかりのコミュニティに参加するのも一つの方法です。」
Q 悲観的なニュースが多いと気持ちが殺伐としてきます。
A(オードリーさんの回答)・・・「ニュースが報じているのは結果で、それを変えるのはほぼ不可能です。一方で、問題が発生する前に防ぐ能力は、すべての人に備わっています」
Q このままずっと「社畜」でいそうですが、こんな自分ってどうなんでしょうか?
A(オードリーさんの回答)・・・「社畜であることに、何か問題ありますか?社畜という言葉があることこそが変化するためのチャンスなのです」
Q 会社や家族、介護で疲れ果てています。
A(オードリーさんの回答)・・・「自分を大切にすることは、他の人を大切にするための練習です。」
Q 今後の超高齢社会で、退職後はどのように過ごせばよいのでしょうか?
A(オードリーさんの回答)・・・「公共のために何かしてみるのは、いかがでしょうか?」
Q これからの世界を生きていくために、持っておきたい価値観はありますか?
A(オードリーさんの回答)・・・「社会が用意した脚本通りに振る舞わなくてもよい時代です。」
90分で読めるオードリー・タンさんの新刊本。
おすすめの一冊です。