ふらんすに行きたしと思えども、ふらんすはあまりに遠し・・・
せめては新しき背広を着て、街に出でてみん・・・
詩人萩原朔太郎が歌った「旅上」。
人は、やはり旅が大好きです。
今週の日経ビジネス誌の特集は「出直し観光立国 訪日客6000万人の罠」。
この国の観光について、スポットを当てています。
コロナ禍で、インバウンドの観光客が激減・・・コロナ前は観光公害、オーバーツーリズムなど観光立国の課題が山積しました。
アフターコロナの観光立国について、丁寧な取材を重ねた日経ビジネス誌の特集です。
Contents
Part1 各地に活気が戻った夏 開国前夜、その宿題
Part2 数から脱却し質で客を魅了せよ
Part3 観光長者シンガポールに学ぶ 小国ゆえに磨き上げた未来志向の企画力
Part4 沖縄が映す日本観光の弱点 観光立国へ残る課題 唯一無二の価値育め
コロナ前の2019年、日本国内の旅行消費額(観光庁)は、29.2兆円。
この内訳は日本人客が23.8兆円、訪日客が5.4兆円。
456万人の雇用を産み出し、5.3兆円の税収があったとのこと。
コロナ禍の中、内需回復のため政府がGoToキャンペーンを無理やり展開した理由がよく分かります。
また、インバウンドについては、日本は世界で12位、アジアで3位。
ランキングでいくと、1位フランスから、スペイン、米国、中国、イタリア、トルコ、メキシコ、タイ、ドイツ、英国、オーストリア、日本と続きます。
コロナ前は、3000万人超の外国人が日本を訪れていたんですね。
それがコロナにより一挙に消失・・・旅館、ホテル、航空会社、鉄道会社などの経営を圧迫しました。
この特集では、「数」から脱却し「質」で客を魅了すべしと指摘します。
ミッション1 客単価を引き上げろ!
ミッション2 滞在日数を引き延ばせ!
ミッション3 魅力を深堀せよ
「売上=客数×客単価」の公式を分解して、「質」の向上が必須としています。
この特集で一番面白かったのが、シンガポールの観光「質」の向上。
以前は、小さくてびっくりするマーライオンやマリーナベイサンズくらいしかシンガポール観光のイメージはありませんでしたが、今では国をあげて旅行エンターテイメントを演出しています。
日本よりはるかに小さく、もともとの観光資源も少ない小国の観光の振興を取り上げています。
そのポイントは、次の5つ。
1 消費意欲の高い「MICE」客誘致へ巨額投資
2 外資ホテル誘致だけでなく地場の高級ホテルも育成
3 乗り継ぎ客取り込みで消費拡大
4 長期的な都市開発計画に観光の視点、滞在日数増へ
5 ナイトエコノミーも充実 1日中消費を喚起
これらを政府主導、官民共同で「質」重視のビジョンを策定して推し進めてきたとのこと。
すごい実行力です。
LOOK WEST!
日本は、今、シンガポールの観光戦略を学ばなければならないと思います。
アフターコロナ、ニッポンの観光立国の成功を祈るばかりです。