「本多静六 一日一話」
PHP刊
朝の読書時間に、毎日読んでいる一冊。
キャッチコピーに「人生成功のヒント」と書かれています。
明治人として、近代日本の勃興の中で、ひたすら坂の上の雲を目指して生き抜いた本多静六(1866~1952)さんの名言集です。
本多さんは、江戸時代末期に埼玉県の農家に生まれ、苦学の末、東京山林学校(現在の東大農学部)に入学。
一度は落第するものの、再起し奮起。
首席で卒業。
その後、ミュンヘン大学に私費留学、博士号を取得。
明治25年に帰国し、東京農科大学助教授に就任。
日本発の林学博士となります。
日比谷公園や宮島などの国立公園の整備等を手掛け、「日本の公園の父」と呼ばれることになります。
ほぼ同時期を生きた、小職が尊敬する「能率の父」と呼ばれた上野陽一(1883~1957)氏と、自分としては重ねてしまいます。
こう見ると、貧しい中から努力とガンバリで東大教授まで上り詰めた努力家というイメージですが、
それ以上に本多さんが残した大きなものがあります。
それは、生涯370冊を超える著書と数々の名言。
晩年には、困った人たちの人生相談までやっていたそうです。
本多哲学の根幹は、「人生即努力。努力即幸福」というもの。
人生を生きる以上、その大前提を努力という2文字に帰結させます。
また、その積み重ねによる富の蓄積を投資に回す、そして余剰の富は社会のために寄付する・・・。
本多さん自身は、生涯きわめて清貧、質素な生活を送られています。
貧乏を重ねた学生時代から本多さんの努力は続きますが、転機となったのがドイツ留学時代。
担当の指導教授から
「どうして、あなたはそんなにビンボーなのだ。自分の信念を保持するためにも、学問の自由を守るためにも、お金は必要」という指導を受け開眼したとのことです。
「4分の1強制貯金法」という、収入の4分の1を無条件に貯金。
その貯まったお金を投資に回すというものです。
本多さんは、この生活を生涯続け莫大な富を手にすることになります。
本多名言集
「日々新たなる努力をせよ」
「幸福とは自己の努力によって、健全なる欲望が満たされ、精神・肉体ともに愉快を覚える状態を指し、むしかも、それが自己の健康と社会の希望に反しない場合をいう」
「生きるとは、三欲を満たすこと・・・食欲・性欲・自由欲」
「幸福は努力と修養から」
「上り坂に幸福感がある」
「足るを知る」
「三つの福を知る 惜福・分福・植福」
「君子と小人の間を行け」
「七転び八起きは気分転換の機会」
「出世は世間のお陰」
「素質の上に個性をつくる」
「成功への近道
1.常に心を快活にもつ 楽天主義
2.専心その業に励む 職業の道楽化
3.功は人に譲り、責は自ら負う
4.好機はこれを逸せぬこと
5.善を称し、悪を問わず
6.勤倹貯蓄 四分の一貯金の実行
7.人事を尽くして天命を待つ」
「どんな不幸せも死ぬよりはまし」
「ニコニコ顔が成功の基」
「運は気持ちで直せ」
「勤労と学習で天性を開発せよ」
「本を読み、山野を歩け」
「生涯を律する計画を立てよ」
「人に使われる雅量を持て」
「使うには、使われろ」
「失敗は人生の必須科目」
「人生即努力、努力即幸福」
本多哲学は、きわめてシンプルな言葉で表現されます。
その中に独特な人生の味があります。
毎日、その言葉に触れることにより、新たなインスピレーションをいただくことができます。