人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

疲れすぎて眠れぬ夜のために~内田樹さんの本から

2011年05月22日 17時56分01秒 | 日記
22日(日)その2.最近読んだ本は①誉田哲也「月光」②万城目学「プリンセス・トヨトミ」③内田樹「疲れすぎて眠れぬ夜のために」④角田光代「八日目の蝉」で,いま佐藤正午の「象を洗う」を読んでいます.今日は内田樹(うちだ・たつる)「疲れすぎて眠れぬ夜のために」を取り上げます.

著者の内田さんは神戸女学院大学文学部教授で,専門はフランス現代思想,武道論,映画論などです.この本は今から8年前の2003年5月に単行本として出版され,その後文庫本化されたエッセー集です.

読んでいて「なるほど」と思うところが少なくないのですが,その一つに「フランス人の愛想の悪さ」があります.
「フランスに行ってびっくりすることの一つは,ふつうの小売店の売り子さんたちの態度があまりに悪いことです あまりのことに”なんでこんなにフランスの人たちというのは愛想悪いんですか”って訊いたら,フランスの友人が”サービスというのは奴隷が主人に向かってすることだっていう意識があるからだ”という説明をしてくれました.”目上の人に向かって,権力関係の中で自分が下位にあるので,止む無くするのがサービスというふうに考えているから,対等な人間だとか,あるいは自分が上だと思っていたい人は,出来るだけ愛想悪くするように努力しているんだ”と.」

このくだりを読んで,20数年前のことを思い出しました.ドゴール空港でノドが乾いたので立食の売店でオレンジ・ジュースを注文したのですが,売り子が2人いるのにこちらを見向きもしないでぺチャぺチャおしゃべりをしているのです 何回か英語で話しかけたのですが,だめでした.フランス人はプライドが高いからフランス語で話さないと相手にしてくれない,と聞いていたのでその時は諦めました.内田さんの見解によると,それだけではないようです

「ビジネスとレイバーの違い」というのもおもしろいです.
「気付いていない人が多いのですが,ビジネスの愉しさは,お金が儲かることではなく,何か新しいことをすると,その結果がすぐに出る,その反応の速さにあります.ビジネスは自分自身が変化したり工夫したりしたことの結果がすぐに評価される.自分自身の仕事のクオリティがとりあえずすぐに検算できる世界です.レイバーはそれとは違います.2つとも仕事と訳されますが,この2つは違うものです.今の若い人たちの多くは「仕事」というと「レイバー」しか知りません.暮らしていける最低限のレイバーだけして,お金を稼いで後は好きなことをして暮らしたい.それなら,働くのは時間の空費であり,苦役でしょう.そんなものなら嫌いで当然です.マニュアルがきちんと決まっているアルバイトの場合は,10年間やっても多分それを通じて社会的なスキルが身につくとか,人間的な成長を遂げるということは期待できないでしょう.ビジネスとレイバーの違いはどこにあるのでしょう.それは「リスク」と「責任」ということにかかわってきます.ビジネスにおいては,リスクを取る人間が決定を下します.デシジョン・メイキングはリスク・テイキングと表裏一体です.リスクを取ることと引き換えに決定権を受け取り,それが成功したら報酬が得られる.失敗したら責任を取らされる.単純な話です」

これなども,なるほどと思います そうは言うものの,自分の好きなことや得意とすることが,そのまま仕事に直結している人は数えるほどしかいないのではないか,とも思います.ほとんどの人が,本当にやりたいことは別にあるけれども,能力の限界,生活のため,といった理由で,どこかで自分自身に”折り合いをつけて”仕事をしているのだと思います.ただ,仕事に限らず,社会的なスキルを身につけ,人間的な成長を目指すことは大事なことだと思いますが.

この本のタイトルは「疲れすぎて眠れぬ夜のために」ですが,じっくりと読んでいくと「疲れすぎて眠れぬ夜に」なってしまいます.テキトーにすっ飛ばして読みましょう




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しあわせの雨傘~カトリーヌ・ドヌーブ再び

2011年05月22日 16時12分04秒 | 日記
22日(日).飯田橋ギンレイ・ホールでフランス映画「しあわせの雨傘」を観てきました.主演は60年代に一世を風靡した「シェルブールの雨傘」のヒロイン:カトリーヌ・ドヌーブです.

傘工場を経営する夫のロベールが,経営悪化による組合のストライキのショックで心臓発作を起こし,急きょ経営も何も知らないブルジョワ主婦の妻スザンナが工場を経営することになります.夫の強権的なやり方に対し従業員の声を聞いて経営する方針が受け,経営は順調に行きます.ところが,夫の健康が回復し再び社長に返り咲きを狙います結局スザンナは国会議員に立候補して当選して自分のしあわせをつかみます.時代設定は1970年代の後半で,ちょうど女性の社会進出がさかんに主張されたころの話です.

それにしても,ドヌーブはいつまでも若くて美しいです.と書いたところで「シェルブールの雨傘」を1度も見ていないことにハタと気がつきました.最後に彼女が歌を歌うシーンがあって,すごく上手なのですが,それもそのはず「シェルブールの雨傘」はミュージカル仕立ての映画でしたね.

映画が終わって,巣鴨まで戻り,西友で買いものをして外に出ると何と雨が降っていました.天気予報では確かに午後雨が降ると言っていたのに,バッグに折りたたみ傘を入れるのを忘れていたのです しばらく店先で雨宿りしました.その時,暇にまかせて考えたクイズがこれです・・・「折りたたみ傘を英語で何というか?」

そういえば今思い出しました.映画館に行く前に時間があったので近くの「ベローチェ」でコーヒーを飲んだのですが,BGMに「シェルブールの雨傘」のテーマ音楽が流れてきたのです 偶然とは言え驚きました.

横殴りの雨がなかなか止みません.つくづく思いました「シェルブールのでなくてもいいから,雨傘が欲しい

さて,先ほどのクイズ「折りたたみ傘を英語で何というか?」の答え.「ハンブレラ」です.アンブレラの半分の大きさですから








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