9日(火)。わが家に来てから73日目を迎えたガガーリンを尊敬するモコタロです
ぼくもガガーリンのように 太く短く生きよう!
閑話休題
昨日午後6時から当ビル10階ホールで日本記者クラブ主催の試写会「ガガーリン 世界を変えた108分」を観ました
今から53年前の1961年4月12日、ソ連の宇宙船ボストーク1号に乗ったユーリー・ガガーリンは一人宇宙へ飛び立ちました。ボストーク1号は地球の周回軌道に入ると大気圏を1周し、108分の旅を終えて地球に帰還、史上初の宇宙飛行に成功しました この映画は、1934年に貧しい農村に生まれ、どん底から世界の英雄になるまでのガガーリンの半生を描いたもので、彼の生誕80年を記念して作られた映画です
舞台は米ソの”東西冷戦”さなかのソ連です。人類初の宇宙飛行士を選ぶために3,000人以上の空軍パイロットの中からたったの20人が選抜されます 人類未踏の命がけのミッションを達成するため厳しい訓練が続き、最終候補としてガガーリンとゲルマンの二人が生き残りますが、最後に精神的にも肉体的にも強靭なガガーリンが残ります
映画では、ガガーリンの貧しい子供時代や厳しい訓練の過程が回想されながら、史上初の有人宇宙飛行のロケット発射の瞬間、打ち上げられた後のガガーリンの孤独な自己との戦い、そして宇宙から地球へ無事帰還するシーンまでが描かれます
タイトルの108分だとピンと来ないのですが、1時間48分と言い直してみると、ガガーリンはそれだけの時間に命を懸けたのかとあらためて驚きます。彼は国家的な期待の重圧の中で、当時の最新テクノロジーを信じて、あとは運を天に任せたのでしょう 「おまえ、やれ」と言われても、おいそれと出来るものではありません。過酷な訓練に耐えぬき、3,000人以上の候補者の中から選ばれたという自信と、未知の世界に一人で挑む勇気があったことも間違いないでしょう
ソ連の英雄、人類史上にその名を遺したガガーリンは1968年3月、操縦していたミグ15戦闘機がモスクワ郊外のキルジャチ付近を飛行中に墜落し死亡しました。34歳の若さでした。正確な原因は不明のままとのことですが、意味深長です
当時彼がボストーク1号から地球を見た時に語ったとされる「地球は青かった」という名言は、どうも正確ではないようです。映画では、その発言シーンはありません
さて、この映画で使われているクラシック音楽は何か?さすがはロシア映画です。チャイコフスキーです ガガーリンが仲間たちと馬ソリに乗って走るシーン(下の写真)で流れているのは、チャイコフスキー最後のバレエ組曲「くるみ割り人形」の「トレパーク」です 跳ねるような踊るような陽気な音楽です。しかし、チャイコフスキーはこの曲を書いて1年8か月後にはコレラで死去してしまいます
充実したプログラムを読んでいて面白いと思ったのは、宇宙ライター林公代さんによる「有人宇宙飛行の歴史~すべてはガガーリンから始まった」の中に書かれたエピソードです
「興味深いのは、世界の宇宙飛行士達が、今も英雄ガガーリンの行動を踏襲する儀式を行い、ゲン担ぎをしていることだ たとえば発射前日に映画「砂漠の白い太陽」を見ること、また発射台に向かうバスを途中でおりて、タイヤに向かって立ち小便をすることも『儀式』の一つだ。ガガーリンは『生きる伝説』なのだ」
ガガーリンとその後継者達だから許されることです。日本でやったら軽犯罪法違反で捕まります 1969年7月20日(日本時間21日)にアポロ11号で月面に着陸し、人類で初めて月面に降り立ったアームストロング船長とオルドリン飛行士も、ガガーリンのゲン担ぎをやったのでしょうか。あるいは月で・・・
この映画は2013年 ロシア制作 ロシア語 113分 カラーで、12月20日から都心では新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町で上映されます