人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

HJリムでバッハ「平均律クラヴィーア曲集第1巻」を聴く~超個性のピアニスト

2014年12月13日 07時23分32秒 | 日記

13日(土)。わが家に来てから77日目を迎えた実はインド生まれ?のモコタロです 

 

          

                     額のしるしは・・・・おまえ 実はインド生まれだったのか?

 

  閑話休題  

 

昨夕、銀座のヤマハホールで韓国のピアニスト、HJリムのピアノ・リサイタルを聴きました プログラムはJ.S.バッハ「平均律クラヴィーア曲集第1巻」です。実はこの日、同じ時間帯に地下のW薬局主催の「忘年会」とフォーレ四重奏団のコンサート(トッパンホール)が重なっていたため忘年会を諦めていたところ、後からリムのリサイタルのニュースが入ってきたので、フォーレ四重奏団を諦めることにしたのです 何人かに代わりに行ってもらえないか声をかけ、最終的に、”ダメ元”ということでW薬局の忘年会に参加するN氏にチケットを譲りましたが、アルコールが入ったら100%行かないでしょうね 結局、フォーレ四重奏団のチケット代6,000円とHJリムのチケット代5,000円の合計11,000円でリムのリサイタルを聴くのだと自分に言い聞かせることにしました。もちろん私はリムのリサイタルにそれだけの価値を認めている訳ですが

 

          

 

 自席は1階D列4番。333人収容のヤマハホールですが、8割程度の寂しい入りです 私のいる4列目の左ブロックはほかに座っている人は誰もいません。すごくもったいない話です ステージ中央にはヤマハのグランドピアノCFXがスタンバイしています。ヤマハホールだからヤマハのピアノということではなく、HJリムはコンサートでもCD録音でもCFXを弾いているのです

今週はこの日のために毎朝、カナダのピアニスト、アンジェラ・ヒューイットのピアノによるCDで予習をしてきました 極めてオーソドックスな演奏です

 

          

 

バッハの「平均律クラヴィーア曲集」をクラヴィコードにせよ、チェンバロにせよ、ピアノにせよ、生で聴くのは今回が初めてです 「第1巻」はバッハがケーテンで過ごした最後の年、1722年にまとめられた24のプレリュードとフーガです その後ライプチヒ時代の1744年にまとめられた「第2巻」の24曲と合わせて48のプレリュードとフーガから成ります 調性上、第1番から2曲ずつの組み合わせになっていて、例えば、第1番はハ長調、第2番はハ短調というようになっています

HJリムがトレードマークの上下黒の衣装で登場、ピアノに向かいます。リムの弾く第1番冒頭のプレリュードを耳にした時の衝撃をどのように表現したらよいのでしょうか 「いったい、これは本当にバッハの平均律の第1番だろうか」という驚きで、茫然自失の状態になってしまいました もう、速いなんて甘っちょろいものではなく、ヒューイットの演奏で聴き慣れていたあの有名なメロディーがまったく聴こえてきません まるで、まったく違う音楽を聴いているようです その意味で、ヒューイットのCDでの予習は半分は役に立ち、半分は役に立たなかったと言えます。半分役に立ったのは、ヒューイットのオーソドックスな演奏と比較して、リムの演奏が余りにもケタ外れであることが分かったからです。半分役に立たなかったのは、同じ曲なのに、まったく違う音楽に聴こえたので”予習”にならなかったからです

 

          

 

このことは次の第2曲以降の演奏でも同じで、一言で言えば「唯我独尊」、英語で言えば「ゴーイング・マイ・ウェイ」です これがどーしようもないへたくそな演奏なら何をか言わんやですが、べら棒に上手いのですからどーしようもありません。しかし、彼女のような演奏スタイルは「ベートーヴェンはこうあらねばならない」「バッハはこう弾かなければいけない」といった聴き手にとっては”許せない存在”なのかも知れません。好きな人からは徹底的に好かれ、嫌いな人からは毛嫌いされる演奏スタイルです 彼女の独特の演奏スタイルは、マネをしようと思っても表面的になってしまい上手くいかないでしょう

第4~第5曲が終わったところで、リムは突然立ち上がり、一礼して舞台袖に引っ込んでしまいました プログラムに挟みこまれたフリップには「第12番ヘ短調BWV857演奏後、休憩(15分)を取らせていただきます」と書かれていたので、途中で急に気分でも悪くなったのか、と心配しましたが、間もなく笑顔で戻ってきて演奏を再開したので安心しました

その後も、今までのオーソドックスなバッハ演奏から解放された自由自在な演奏が展開され、われわれ聴衆はただただ唖然として耳を傾けるしかありませんでした

彼女の演奏を聴いていて思ったのは、ある意味、奇才グレン・グールドに似ているな、ということです 演奏スタイルは全く異なりますが、例えば、グールドはベートーヴェンを弾いても、ブラームスを弾いても、バッハを弾いても、何を弾いてもグールドです それと同じようにリムはベートーヴェンを弾いても、バッハを弾いても、チャイコフスキーを弾いても、何を弾いてもリムです 二人の共通点は『超個性』です

 

          

 

演奏終了後、アンコールを求める拍手 が続きましたが、この日のリムは疲れていたのか、とうとうアンコールなしでコンサートを終了しました あらかじめサイン会があることを知っていたので、列に並びました。先頭から3番目です。家から持ってきた「ラヴェル&スクリャービン」のCDにサインをもらいました。これでリムのサインは3つ目です

 

          

          

          

 

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