17日(水)。わが家に来てから81日目を迎えた被疑者のモコタロです
刑事さん 穴を空けたのは俺じゃねえんだ 信じてくれ!
閑話休題
昨日の朝日朝刊に音楽評論家・三善清達氏(元NHK)の「音楽評論家・遠山一行さんを悼む」という追悼記事が載りました。10日に92歳で死去した遠山氏の柔和な性格を懐かしく回顧しています
遠山一行さんと言えば思い出すことがあります。4年前のことだったと思います。ある日の夕方、当ビル地下駐車場から内線電話があり、「今、トウヤマという人が車で来ていて駐車させるよう依頼された。事前に届け出がないが、駐車の許可を出してよいか」という問い合わせでした 当ビルの駐車場は基本的に月極め契約のみで、臨時に駐車したい場合は事前に日本記者クラブ等を通じて管理事務所あて届出用紙を提出し、許可を得ることになっています すぐに駐車場届出ファイルをチェックすると、事前の届け出がないことが分かりました。そこで、駐車場の係員には「駐車は断るように」と指示を出しました。トウヤマさんは諦めて隣のビルの有料駐車場に向かったようでした
ところが、後で判ったことですが、そのトウヤマさんとは遠山一行さんのことで、2010年度日本記者クラブ賞を受賞した毎日新聞社学芸部特別編集委員(当時。現在=桐朋学園大学学長)梅津時比古氏の受賞記念パーティーに出席するために来館したのでした。その時はトウヤマ=遠山一行という連想が出来ませんでした 事前にそのことを知っていれば、すぐにでも駐車の許可を出していたでしょう 遠山さん、あの時駐車を断ったのは私です。今さらですがお許しください
あらためて遠山一行さんのご冥福をお祈りいたします
も一度、閑話休題
一昨日に続き、昨夕トッパンホールでチェロのゴーティエ・カプソンとピアノのユジャ・ワンによる「チェロ・ソナタ」(第2夜)を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「モーツアルトの『魔笛』の主題による変奏曲」、②ブラームス「チェロ・ソナタ第1番ホ短調」、③同「同第2番ヘ長調」です
自席はM列20番、右ブロックの左から2つ目です。冷たい雨の中を集まった聴衆で会場はほぼ満席です 拍手の中、二人の登場です。ユジャ・ワンは前日の後半に着用したブルーのノースリーブ、大胆なスリット入りのドレスで登場です
さっそく1曲目のベートーヴェン「『魔笛』の主題による7つの変奏曲」に入ります。この曲は、モーツアルトの歌劇「魔笛」の第1幕後半で、パミーナとパパゲーノが愛を賛美して歌う二重唱『恋を知るほどの殿方には』を主題にとっています
冒頭、チェロが主題を奏でますが、雨のせいか音色が少し湿っぽいような気がします しかし、そこはカプソン。次第に調子を上げていきます この曲は、それほどピアノがガンガン鳴らされるケースはないので、チェロのメロディーを楽しむことが出来ます
2曲目はブラームスの「チェロ・ソナタ第1番ホ短調」です。この曲はブラームスが32歳の時(1865年)に作曲されました チェロの重低音の魅力を思う存分楽しめる曲です。カプソンのチェロが朗々と響き渡ります それにユジャ・ワンのピアノが付けていきますが、時によってピアノが前に出過ぎ、チェロの音を消してしまうことがママあります こういう時は「チェロ・ソナタ」なのか、「チェロの伴奏付ピアノ・ソナタ」なのか・・・と疑問に思ってしまいます。もちろん、ヴァイリン・ソナタを例にとれば、モーツアルトの時代が”ヴァイオリン伴奏付ピアノ・ソナタ”だったのに対し、ベートーヴェン以降はヴァイオリンとピアノが対等の関係になり”ヴァイオリンとピアノのためのソナタ”になったように、ピアノの存在が前面に出てきたことは言うまでもありません 全体的には若きブラームスの渋い魅力が堪能できました
休憩後は、ブラームスが53歳の時(1886年)に作曲したチェロ・ソナタ第2番ヘ長調です ユジャ・ワンはこの日も”お色直し”をして、黒のラメ入りの上下(ノースリーブのワンピ・ミニスカとでも言うのか?)の衣装で登場です
冒頭、こちらの方が若きブラームスが作曲したのではないか、と思うほど激しく情熱的な曲想が展開します この曲に至って、やっと二人の演奏のバランスが取れてきたように感じました
大きな拍手に、二人はマスネの「タイスの冥想曲」を静かに演奏し、再び喝采を浴びました カプソンはこの日のうちに帰国するためサイン会はない、とCD売り場の係員が言っていました。世界中を飛び回る演奏家はゆっくり観光などしている時間など無いのかも知れません