8日(月)。わが家に来てから72日目を迎えた目立ちたがり屋のモコタロです
あまりヌイグルミを置かないでよ ぼくが目立たなくなるし
閑話休題
昨日、ミューザ川崎で「ミューザ川崎開館10周年記念演奏会~マーラー『交響曲第8番”千人の交響曲”』」を聴きました 独唱と合唱を伴う大管弦楽曲です。出演は、ソプラノⅠ(罪深き女)=エリン・ウォール、ソプラノⅡ(懺悔する女)=メラニー・ディーナー、ソプラノⅢ(栄光の聖母)=アニカ・ゲルハルズ、アルトⅠ(サマリアの女)=イヴォンヌ・ネーフ、アルトⅡ(エジプトのマリア)=ゲルヒルト・ロンベルガ―、テノール(マリア崇敬の博士)=ニコライ・シューコフ、バリトン(法悦の教父)=デトレフ・ロス、バス(冥想する教父)=リアン・リ。合唱は東響コーラス、東京少年少女合唱隊(団ではなく隊ですよ、奥さん!)、指揮は東響音楽監督ジョナサン・ノットです
マーラーの交響曲の中でもなかなか聴く機会のない大曲なので、この1週間、毎朝出勤前にレナード・バーンスタイン指揮ウィーン・フィルのCDで予習してきました CDだと朝から大きな音を出すわけにもいかないのが玉にきずですが
自席は2階の2CB3列2番、2階のセンター左ブロックの左から2つ目の席です。ミューザの2階席は非常に分かりずらいですね 迷った挙句、女性のアテンダントに案内してもらいました 会場は、合唱団が入るP席(ステージの後ろ側の2階席)を除いてほぼ満席です
最初に東京コーラスの皆さんが入場し席に着きます。パイプオルガン下のP席に男声陣が、その左右のブロックに女声陣が配置に着きます 次に白の衣装を身にまとった少年少女合唱隊が管楽器の後ろ側にスタンバイします。そしてオケの面々が登場し配置に着きます。左奥にコントラバス、前に第1ヴァイオリン、右にチェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置をとります ティンパ二、大太鼓、シンバル、4台のハープ、ピアノ、オルガン、マンドリンなどは右サイドにスタンバイします。正面2階ではパイプオルガン奏者が控えます
コンマスの大谷康子さんが登場、チューニングをしてソリストと指揮者を待ちます。拍手の中、ジョナサン・ノットとともに独唱の歌手陣が入場し少年少女合唱隊の後ろにスタンバイします。ざっと見渡すと、オケが約110人、男女混合合唱が約220人、少年少女合唱が約60人で、合計390人ほどの規模です
ノットの指揮でパイプオルガンの輝かしい響きとともに第1部・賛歌「来たれ、創造者たる聖霊よ」が開始されます 合唱が「来たれ、創造者たる聖霊よ」と高らかに歌い上げます。ここから30分間はノンストップのハイテンションが続きます マーラーはとんでもない音楽を作ったものです
交響曲第8番は「千人の交響曲」と呼ばれていますが、これはマーラーが名付けたのではなく、初演の興行主が宣伝のために名付けたものです しかし、この曲の初演が1910年9月にミュンヘンでマーラー自身の指揮で挙行された時は、管弦楽171人、歌手や合唱858人、合計1,029人が出演したと言いますから、冗談ではなく文字通り「千人の交響曲」だったわけです 今から100年以上も前に、1,000人以上の演奏者を乗せることができる大舞台を備えた会場があったこと自体が驚きです それでは一体、客席は何席あったのか、と知りたくなります
この曲は2部から成り、第1部はキリスト教の9世紀の賛歌「来たれ、創造者たる聖霊よ」、第2部は19世紀のゲーテの「ファウスト」第2部の最終場面を題材に取っています マーラー自身の言葉に寄れば、「これまでの交響曲はすべて、交響曲第8番の前奏曲に過ぎない。今まで作曲した中で最高の作品」だということです ベートーヴェン以降、作曲家達は彼の9つの交響曲を意識して作曲に当たってきました。マーラーだって例外ではありません。とくに合唱の入った曲ということでは「第9」を意識していたことでしょう マーラーは第2番「復活」、第3番、第4番で交響曲に人の声を加えました。いずれもベートーヴェンの「第9」を上回るまでには至っていないと考えたのでしょうか。ついに、80分を超える交響曲の全編に人の声が登場する「オラトリオ」的な交響曲を作曲したのです さて、マーラーは交響曲第8番でベートーヴェンの第9交響曲を超えることができたのでしょうか
30分のノンストップ・ハイテンション音楽が終わると、やっと一息という感じです モーツアルトの曲なら4楽章の交響曲が終わる時間です 第2部は、ファウストの魂が救済されて昇天する場面が描かれます。それぞれのソリストが活躍する場面が聴かれます ソリストは全員良かったのですが、とくに声量もあり歌も上手だったのはソプラノⅠ(贖罪の女)を歌ったカナダ生まれのエリン・ウォールです また、バス(冥想の神父)を歌った中国生まれのリアン・リも迫力がありました
女性のソリストは5人いるはずなのに1人足りない、と思っていたら、第2部後半に3階左サイドから歌声が聴こえてきました 最初はどこで歌っているのか分からなかったのですが、ノットが左後ろを振り返り、3階席の方を見上げながら指揮していたので気が付きました。栄光の聖母を歌うアニカ・ゲルハルズでした なかなかの美貌の持ち主なので彼女をステージ上で歌わせた方が良かったのに・・・と思いましたが、それでは彼女の代わりに誰を3階に上げるのかとなると大問題になるな、などと不埒な興行主のようなことを考えてしまいました
ジョナサン・ノットは80分を超える大曲を、緊張感を絶やすことなくテキパキとタクトを振りました ノットの指揮のもと東京交響楽団は渾身の演奏を展開しました 特筆すべきは東京コーラスの皆さん、そして東京少年少女合唱隊の皆さんです。あの長い交響曲をすべて暗譜で歌い通しました。なかなか迫力がありました 練習、大変だったでしょうね。あらためて拍手を送ります
今回はミューザ川崎開館10周年記念ということですが、10年前の開館記念コンサートも、5周年の時もこの「千人の交響曲」を演奏してきたとのこと 次は5年後の2019年の開館15周年記念コンサートになるはず。楽しみにしたいと思います