29日(月)。わが家に来てから93日目を迎え追い詰められたモコタロです
ガラケーで写メしないでよ 暗いじゃん ぼく存在感うすいし
閑話休題
27日付日経夕刊「こころ」欄に「幸せを感じる方法 大竹文雄さんに聞く」という記事が載りました 大竹文雄さんは1961年生まれ。83年京都大学経済学部卒。専門は労働経済学。著書に「日本の不平等」(日経・経済図書文化賞)などがあります。大竹さんの話を超訳すると
「日本人は高齢者ほど不幸だと感じている。老年ほど幸せを感じる欧米とは対照的だ ところが、若い世代から見たら、彼らの生活水準は高いかもしれない。自分たちが低い水準で満足しているのに、豊かな人たちが不幸だと感じて文句を言っているように思えてくる。そうなると、世代間の対立が起きてくる それこそ不幸なことになる。デンマークの研究で、周りが豊かだと幸福を感じるという効果が分かっている。渋滞で前が見えないとき、隣の車線が動くと、いずれこちらもと、希望が出てくる。トンネル効果といって、『もうすぐ豊かになれるぞ』という感覚が幸福感を高める その感覚がないと、不満が募る。話題のベストセラー『21世紀の資本』で仏経済学者トマ・ピケティが論じているような社会では景気が良くなっても、上位1%の人しか所得が増えない。99%は変わらない。そうした感覚が共有されてしまうと、幸福感は上がらない 『日本の幸福度』調査では、他の人の生活水準を意識する人ほど不幸だ、というデータが出ている。向上心は高まるかも知れないが、幸福感は下がる。米国人は同じか、もっと下を見るのでハッピーになりやすい。だから、幸福であり続けるためには、できれば人と比較しない。比べても、そんなに高い目標は掲げない」
「サラリーマンの定年後の幸福度を調べたことがある。在職時から貯蓄や資産運用、人脈作り、健康維持を工夫していた人の幸福度は高い。そうでない人とはぜんぜん違った。長期展望を持つことが重要だ しかし、何でもうまくいくとは限らない。想定と違っても慌てない知恵も必要だ。すぐに効果が出るのが利他的な行動だ。寄付などにお金を使って他人を助けると、幸福感が高まる。他人の役に立ち、社会のためになっているという感覚が幸福感を高めてくれる。ひいてはお金が巡るようになって日本経済全体にもいい効果がある」
ある程度所得も貯蓄もある高齢者が幸せを感じていないというのは、日本独特の政治・経済・社会情勢があるのだと思います 問題は、お金があったとしても使わずに貯蓄に回しているという実態です。自分や家族にもしものことがあったらどうするか、と考えて消費を控えてしまうのです。消費税が上がり、さらに上がる予定があり、年金が減らされる傾向にあり、という実態を見れば無理もないと思う人も少なくないでしょう
一方、「若者は幸福か」と言えば、決して幸福ではないと思います。4年生大学を出ても正社員になれずアルバイトで糊口をしのいでいる娘を見ただけでもそう言えます。今まで滅多に選挙の投票に行ったことのない娘が、今回ばかりは余程現状に不満だったのか投票に行きました。私は今の政権の「非正規雇用者を増大させる政策を止めさせるべきだ」という主張ですが、娘は「どうせ正社員になれないんだから、せめてアルバイトでももっと労働条件を良くすることを考えてほしい」という主張でした 開票結果は周知の通り政権政党の圧勝でしたが、問題は史上最低の投票率でした 結局、現政権のイケイケドンドン政策に歯止めをかける1票にはなりませんでしたが、棄権することなく1票を投じたことは良かったと思っています
も一度、閑話休題
風邪で寝ている間に、深水黎一郎著「最後のトリック」(河出文庫)を読み終わりました 深水黎一郎は1963年、山形県生まれ。慶應義塾大学院卒のほか、ブルゴーニュ大学修士号、パリ大学DEAなどを取得しています。2007年『ウルチモ・トルッコ』で第36回メフィスト賞を受賞してデビューしました
スランプに陥ったミステリー作家のもとに香坂誠一なる人物から「『読者が犯人』というミステリー界では不可能なトリックのアイディアを2億円で買ってほしい」という手紙が届く 手紙には「香坂誠一の覚書」という、自分自身の幼い日々の思い出を綴った短文が同封されていた。作家は友人にどうしたものかと相談するが、「そんなの詐欺に決まっている」と一笑に伏される しかし、スランプに陥っていた作家は一大決心をする その決心とはどんなものか?香坂はなぜ2億円という額を提示してきたのか?最後まで読み終わった時、してやられたと思わされること必須です
ところで、この本の中に一か所だけクラシック音楽が登場します。それは作家が超心理学者・古瀬博士の研究室を訪ねた時のシーンです
「壁にはBの文字が、こちらは白い文字で書かれてある。
『ちなみにブースAとブースBの間の壁の厚さは4メートル。しかも両方のブースに特注の完全防音を施してあります もし片方のブースにシカゴ交響楽団と合唱団が全員入って、ベルリオーズの”テ・デウム”を演奏したとしても、もう片方のブースには、針1本落ちる音も聞こえないことでしょう』
私は笑った。博士がかなりコアなクラシック・ファンであることは、人伝に聞いていた。ベルリオーズの『テ・デウム』は、超巨大編成で有名な曲だし、シカゴ交響楽団はショルティ以来、フル・オーケストラのときのと迫力では定評のあるオーケストラである もっともブースの広さから見て、せいぜい中には弦楽四重奏団くらいしか入れないだろうが・・・・・」
作者の深水黎一郎氏はフランスの大学でも学んでいることから、フランス文学のみならず、フランスの作曲家による音楽にも精通しているのでしょう