人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

橋本武著「解説 徒然草」を読む~よき友、わろき友の基準は?

2014年12月28日 08時42分28秒 | 日記

28日(日)。わが家に来てから92日目を迎えたモコタロです 

 

          

                     きのうご主人さまは風邪ひいて1日中寝ていたなあ

 

  閑話休題  

 

橋本武著「解説 徒然草」(ちくま学芸文庫)を読み終わりました 著者の橋本武さんは中高一貫名門校の灘校で国語の教師を務め、「銀の匙」1冊を3年間かけて読む国語の授業により、灘校を東大合格率ナンバーワンに導いた人です

「つれづれなるままに・・・」で始まる序段から「八つになりし年・・・」で始まる最後の第243段までの中から70の随筆を選んで、通釈と解説を加えています

 

          

 

「徒然草」といえば高校の古典の授業で習い、また”浪人時代”に大学受験のためさんざん勉強しました したがって、いくつかの段は懐かしさとともに読みました。例えば「仁和寺にある法師」で始まる第52段(石清水詣で)や、「これも仁和寺の法師」で始まる第53段(足鼎かづき)などは仁和寺のお坊さんの失敗談を取り上げて人生の教訓としていますが、話としても面白く楽しんで勉強したように思います

現代とだいぶ時代が違うなあと思うのは「友とするにわろき者七つあり」で始まる第117段(わろき友よき友)です。次のような内容です

「友とするにわろき者七つあり。一つには高くやんごとなき人。二つには若き人。三つには病なく身強き人。四つには酒を好む人。五つにはたけく勇める兵。六つにはそらごとをする人。七つには欲ふかき人。よき友三つあり。一つには者くるる友。二つには医師(くすし)。三つには知恵ある友」

つまり、「友達としてはならない人は7つある。弟1には高貴な人。第2には若い人。第3には病気知らずの頑丈な人。第4には酒を好む人。第5には勇猛な武士。第6にはウソをつく人。第7には欲の深い人。よい友には3種がある。第1には物をくれる友。第2には医師。第3には知恵のある友」というものです

橋本さんは「よき友」のうち「物くるる友」の解説に次のように書いています

「”物”そのものよりも”くるる”気持ちが嬉しく、人生が楽しく豊かに感じられる。これを言うことのできる人間は、気軽に物を与えることのできる人間にちがいない。その与えることは何も言わずに、けろりとした表情で、”物くるる友”と言える兼好に、私は全幅の親近感をいだかずにはいられない」

これを一つ取ってみても、灘校のエリートたちはこういう素晴らしい感性の持ち主にじっくりと一つのテキストを習っていたのだな、と感心してしまいます。

 

  も一度、閑話休題  

 

「徒然草」ということで言えば、25日(木)の日経朝刊第1面のコラム『春秋』がアベノミクスの”3本の矢”を取り上げる中で「徒然草」の一説を紹介しています

「『徒然草』にこんな話がある。矢を2本持って的に向かう弟子を師匠が戒める。後の矢をあてにすると、始めの矢がおろそかになる。ただ、この一矢で決すると思えと。的確な経済運営は、名人でも難しい。まして、アベノミクスは道半ばで、足踏みしている。頼みの矢ばかりが増えても肝心の的に当たらなければ意味がない」

「徒然草」→「アベノミクス」のつながりで言えば、26日の朝日・金融情報欄のコラム「経済気象台」は冴えていました。超訳すると

「確かに、2年前に安倍政権が誕生してから、円安、株高を背景に日本経済は活況を呈している。しかし、この結果を生んだのは、明らかに『第1の矢』である、日銀の異次元金融緩和である。首相自らの専管事項である第2、第3の矢の政策とは言いがたい。首相の意図と反して、国民に問いたいとしたアベノミクスの中身は結局、『クロダノミクス』の成果だけでしかない」

私が”冴えている”としたのは、この主張が「国民の大多数が言いたいことを代弁してくれた」ということもありますが、むしろ「クロダノミクス」という言葉の使い方です。つまり、筆者は「アベノミクス=日銀の黒田総裁の大胆な金融緩和策に頼っていた=『黒田頼み』の政策=クロダノミクス」とシャレ倒していることです このコラムの最後に「この欄は、第一線で活躍している経済人、学者など社外筆者の執筆によるものです」と書かれています。朝日の社内にはこれだけのことが書ける記者がいないということでしょうか

 

コメント
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