2日(日)。昨日,マンションの管理組合の理事会が開かれ,理事長として出席しました 前から懸案になっていた長期管理費滞納者2名に対する対応について検討しましたが,さきの定時総会の決定を踏まえ訴訟を起こすことを決定しました.理事長本人が裁判を起こすのと弁護士に委任するのと2通りの方法がありますが,私は訴訟手続きをやっている暇などないので,弁護士に委任することにしました はっきり言って,理事長はボランティアです.払うべき費用を払わない人たちにきちんと払ってもらうために裁判で訴えるのに自分の貴重な時間を使うことなど考えられません.次回の理事会に弁護士を呼んで今後の具体的な訴訟手続きについて話を聞くことにしました それにしても,同じ建物の中に住んでいる住民を裁判に訴えなければならないというのは同じ住民として厳しいものがあります 出来れば裁判に入る前に払うべきお金を払ってもらいたいと思う今日この頃です ということで,わが家に来てから296日目を迎え,自分用のおやつを要求するモコタロです
人間のおやつはいらないから ぼくのおやつをちょうだい!
閑話休題
31日(金)午後7時からトッパンホールで日下紗矢子ヴァイオリン・リサイタル「ヴァイオリンの地平2 古典」を聴きました プログラムは①モーツアルト「ヴァイオリン・ソナタK.303」、②ベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ第4番イ短調」、③パガニーニ「24のカプリース」より第9番ホ長調、第24番イ短調,④モーツアルト「ピアノとヴァイオリンのためのソナタK.526」,⑤シューベルト「ロンド・ロ短調」で、ピアノ伴奏はマーティン・ヘルムヘンです
自席はF13番,前から6列目のど真ん中です.私はこういう席が嫌いです 通路から真ん中まで入っていかなければならないからです.でも,比較的良い席はここしか取れなかったのです 会場は文字通り満席です
日下紗矢子は2000年のパガニーニ国際コンクールをはじめ世界的なコンクールで入賞している実力者です 2008年からベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団の第1コンサートマスターを務め,2013年からは読売日響のコンマスも務めています ピアノを担当するマーティン・ヘルムヘンは1982年ベルリン生まれ.2001年クララ・ハスキル国際コンクールで優勝しています
日下紗矢子が濃紺をベースにしたシックなシースルー・ドレスでヘルムヘンとともに登場,さっそく1曲目のモーツアルト「ピアノとヴァイオリンのためのソナタ・ハ長調K.303の演奏に入ります この曲はモーツアルトが22歳の時の作品です.当時のヴァイオリン・ソナタというのは,あくまでもヴァイオリンの伴奏付ピアノ・ソナタという性格の音楽でしたが,この作品を聴く限りは,ヴァイオリンがピアノと同じ位置に立って演奏していることが分かります まさに「ピアノとヴァイオリンのためのソナタ」と言えます.通常「ソナタ」というと3楽章構成の曲が多いのですが,この曲は2楽章形式です
二人の演奏を聴いていて思ったのは,若干ヘルムヘンのピアノが前面に出過ぎるのではないか,ということです 時にヴァイオリンの音を完全に消しています.ドイツ出身のヘルムヘンは,ECにおけるメルケル首相のような強気の立場で振舞っているとまでは言いませんが,もう少し自己を押さえても良いのではないかと思います
2曲目はベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ第4番イ短調」です ベートーヴェンの時代になると,ヴァイオリンとピアノは同等の立場で演奏するように書かれています
第1楽章冒頭から,迫真の演奏です この曲ではヘルムヘンの”強き”の演奏が良い方に向かいました 日下紗矢子との間で丁々発止の演奏を展開します ベートーヴェンはこうでなくっちゃ,という前進あるのみの演奏でした
さて,圧巻だったのは次のパガニーニ「24のカプリース」から第9番ホ長調と第24番イ短調です もちろん日下のソロで弾かれますが,とくに,後にラフマニノフが主題に用いたことで知られる第24番イ短調では,ヴァイオリンの演奏におけるあらゆる技巧を駆使した超絶技巧変奏曲をものの見事に弾き切りました
後半の1曲目はモーツアルト「ピアノとヴァイオリンのためのソナタ・イ長調K.526」です.私はこの曲が好きで,ヒラリー・ハーンのヴァイオリン,ナタリー・シューのピアノの演奏を時々聴いています.明るく楽しい曲です
この曲に至るとまったくヴァイオリンとピアノが文字通り対等の関係にあります.第1楽章の冒頭を聴くと,やはりヘルムヘンのピアノが雄弁ですが.日下は軽快にモーツアルトの愉悦の世界を表出します
最後はシューベルト「ロンド・ロ短調」です.シューベルトの曲の中では珍しくヴァイオリンの技巧的な扱いが要求される曲です タ短調特有の”暗い情熱”とでも言うような曲想ですが,二人は根性を入れて演奏しました
鳴り止まない拍手に,シューベルトの「アヴェ・マリア」をしみじみと演奏し,拍手喝さいを浴びました