人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

西加奈子著「漁港の肉子ちゃん」を読む~一人の少女の成長物語

2015年08月25日 07時02分21秒 | 日記

25日(火)。「中国不安 動揺続く 日経平均895円安 NY株一時1000ドル超下落」(日経朝刊トップ),「NY株一時1000ドル安 その後買戻し やまぬ世界株安」(朝日朝刊トップ).今に始まったことではありませんが、中国が世界中に迷惑をかけていますね 3度にわたる急激な元切り下げ、大幅な経済減速、各地での爆発事故と、これが世界第2位の経済大国でしょうか? はっきり言って信用できないんですよね,あの国は そのあおりを受けて、昨日の日経平均の終値は18,540.68円と、半年ぶりの安値水準まで落ち込みました 元に戻るには半年かかるということでしょうか?こうなったら、短歌でも作って笑うしかないですね そこで一句

           中国は 世界に不安 まき散らす どこまで下がる 日経平均

ということで、わが家に来てから319日目を迎え、自宅にいながら世界に目を向けるモコタロです 

 

                  

          中国って 中くらいの国ってこと? 白ウサちゃん  おせーて!

 

  閑話休題  

 

西加奈子著「漁港の肉子ちゃん」(幻冬舎文庫)を読み終わりました 西加奈子は1977年,テヘラン生まれ.カイロと大阪で育つ.2004年に「あおい」でデビューし,2007年「通天閣」で織田作之助賞を,13年に「ふくわらい」で河合隼雄物語賞を,15年「サラバ!」で第152回直木賞を受賞しています

 

          

 

この本は朝日だったか日経だったかの書評で紹介されていて,面白そうだと思って買った本です

肉子ちゃんというのは,北の漁港にある小さな焼肉屋「うをがし」で働く,丸々と太っていて不細工で,それでいてめっぽう明るい38歳の女性,菊子のことです その体型から肉子ちゃんと呼ばれています 美しく可愛い少女キクりんは本名が喜久子で,肉子ちゃんとは親子関係にあります.字が違うとは言え親娘で名前が同じなのはなぜでしょうか?その秘密は最後に明かされます

肉子ちゃんは男に騙されて借金を負わされれても,もくもくと働いて返済します.そして,また別の男に引っかかって騙されてしまいます そんな単純な肉子を小さい時から見ているキクりんは肉子ちゃんはバカなのではないか,と思っています しかし,親娘なのに似ても似つかない風貌と体型にキクりんはいつしか,肉子ちゃんの本当の子どもではないのではないかと気が付いています それでも無償の愛を与えてくれる肉子ちゃんと一緒にいることに感謝するのです

「あとがき」で西さんが書いているように,この作品は編集者とともに石巻市周辺の港を旅したときの様子をもとにして書いたものです その時に女川の港で一軒の焼肉屋を見つけた.そこに太っていて肉の塊りみたいな女性が働いていたら面白いのでは・・・と思って書いたのだそうです その後,小説のモデルとなった石巻が3.11東日本大震災で被害を蒙ったのでした

その後,2013年に女川町の「うをがし」のモデルになった焼肉屋の常連だった地元の住人から連絡があり,その店には生前肉子ちゃんを彷彿とさせるおかみさんが実際に存在していたが,津波に呑まれたことを教えられます 西さんは再度,女川を訪れ,おかみさんのご主人や町の人の話を聞き,人間は死んでも確かに「漁港の肉子ちゃん」という作品は残るのだということを理解します

ラスト・シーンを読んだら,この小説が一人の少女の成長物語だったのだ,と思いました。心温まる物語です。自信をもってお薦めします

 

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