人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

コバケン+上原彩子+日本フィルでグリーグ「ピアノ協奏曲」を聴く~フェスタ・サマーミューザ

2015年08月08日 07時23分54秒 | 日記

8日(土).今朝方少し涼しかったですね 日中問題の熱い議論は現在小康状態だけど,問題は今日の日中はまた暑くなるんだろうか?ということ ということで,わが家に来てから302日目を迎え,セリーグ混戦の中,背番号310(サ・トウ)の阪神サトちゃんに喝を入れるモコタロです 

 

          

            2位になったり3位になったり いつ抜け出すんだい?

 

  閑話休題  

 

昨日,ミューザ川崎で日本フィルのコンサートを聴きました これは「フェスタ・サマーミューザ2015」の一環として開かれたコンサートです.プログラムは①グリーグ「ピアノ協奏曲イ短調」,②シベリウス「交響曲第2番」です.①のピアノ独奏は上原彩子,指揮は小林研一郎です

 

          

 

午後2時からのコンサートに先立って,午前11時半から同じ会場で公開リハーサルがありました そうです.今日も休暇を取っています.それが何か?

早くから並んだので2階センターブロック最前列の右通路側席を押さえました 楽員が入場しますが,ゲネプロなのでカジュアルなスタイルです.コンマスは女性です.コバケンが上下黒のラフな衣装で登場します コバケンなので何かひと言あるかな,と思っていたら,「今日はリハーサルにも関わらずこれ程多くの方々にお出でいただくとは思ってもいませんでした」と正直な感想を述べ,2曲目のシベリウス「交響曲第2番」の第1楽章のリハーサルに入りました.冒頭は弦楽器から入りますが,コバケンはすぐに演奏を止め,「もっと北欧の冷たい感じを出して」と注文を付けます.この楽章は演奏しては止め,注文を付けて再開するというスタイルで進めました.コバケンは,いつもは折れた部分をテープで巻いた古いタクトを使用していましたが,この日は”無傷”のタクトを使用していました

第2楽章ではティンパ二に対して,「もっと広がりのあるように」と注文を付け,コントラバスにはピチカートをもっと大きな音で出すように注文していました 日本フィルにとってミューザ川崎はホームグラウンドではないので,会場特性に合わせて音の大きさを変えることを求めたのだと思います

第3楽章と第4楽章は演奏を止めたり,演奏したまま注意を促したりしながらリハーサルを進めました.12時10分になってコバケンが,「これで前半は終了します」と宣言しましたが,ホルン奏者(多分楽団員の代表者)が「先生,アンコールは?」と尋ねたので,「アッそうか」と気が付いてアンコール曲のおさらいをしました リハーサルでアンコール曲を明かしてしまって良いのだろうか,と疑問に思いましたが,どうせ演奏するのだから良いのでしょう

10分間の休憩後,後半のグリーグ「ピアノ協奏曲イ短調」のリハーサルに入ります すでにステージ中央ではソリストの上原彩子が第1楽章冒頭の練習に入っています.後から小走りで入ってきたコバケンは指揮台に上がるや否や,タクトを振り上げました が,急に後ろを振り返って「ゴメンナサイ.上原彩子さんです」と言ってソリストを紹介しました.上原さんは苦笑して拍手に応えていました 第1楽章は途中で演奏を中断,コバケンが「ゴメンナサイ,時間がなくて全部は演奏しません.本番でお聴きください」と言って,その楽章のフィナーレに繋げました 第3楽章の前半でピアノとオケが若干ずれたので,やり直ししましたが,あとは途中で止めることなく最後まで進めました

 

          

 

さて,本番です.自席は2CB13列36番,2階の上段のど真ん中です.会場はほぼ満席に近い入り具合です オケのメンバーが入場します.左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,その後ろにコントラバスといったオーソドックスな編成をとります 上原彩子がブルーの鮮やかなドレスで登場,コバケンの合図で第1楽章に入ります.冒頭,ピアノとオケが同時に力強く入りますが,上原のピアノはダイナミズムに溢れ,しかも安定感があります 第2楽章は一転,抒情的な演奏に徹します.「大胆にして細心」という言葉がありますが,まさに上原彩子のためにある言葉のように思います 第3楽章ではピアノとオケとの対話が鮮やかです

最後の一音が鳴り終ると,会場一杯の拍手とブラボーがステージに押し寄せました 何回もカーテンコールがあり,上原彩子の健闘を讃えました.理屈抜きで本当に素晴らしい演奏でした 彼女はプライベートでは3人の娘の母親ですが,力強い演奏と堂々とした安定感は,母の強さでしょうか

休憩後はシベリウスの交響曲第2番です.今年はシベリウス生誕150周年ということで,日本でも周年記念コンサートがあちこちで開かれますが,7つある交響曲の中でもこの2番は最も頻繁に演奏される機会の多い人気曲です

リハーサル通り,第1楽章の演奏が終わり,第2楽章の弦楽器のピチカートに入ったころ,自席の後方の席で「ピッ,ピッ」という電子音が聞こえてきました.誰かがアラームでもかけっぱなしにしておいたのでしょう どうしてこう懲りないのでしょうか.弦のピチカートは聴きたいけれど,電子音のピッチカートは聴きたくもありません

第3楽章では,ホルンに支えられてオーボエが美しいメロディーを奏でますが,とてもニュアンス豊かな演奏でした 2本のフルートによる演奏も素晴らしかったです

フィナーレはヴァイオリン・セクションの出す音がキラキラ光り,管楽器群が咆哮,オケ総動員による感動的な熱演を展開しました

コバケンはいつものようにセクションごとにメンバーを立たせ,演奏を讃えます.そして,いつものように拍手を制し,語りかけます

「今日は,ミューザ川崎で,日本フィルの皆さんと一緒に演奏出来たことを光栄に思っています 日本フィルの演奏に対する皆さまのオーラが私たちにも伝わってまいりました.アンコールには,北欧を離れて,ドヴォルザークの『ユーモレスク』を演奏します 『ユーモレスク』というと,皆さまはユーモアのある曲だと思われるかも知れませんが,今日は『フェスタ・サマーミューザ』という特別のコンサートなので,人間の一生を表した音楽だという解釈で演奏します.【冒頭を演奏】このやさしい部分は生まれたての状態です.【次のテーマを演奏】この子が成長してセクシーになります.ヴァイオリンにポルタメントをかけました その後は人生で悲しいことや嬉しいことなどいろいろ経験しますが,最後は年をとって静かに過ごし,アーメンで閉じます.それではお楽しみください

そして,弦楽合奏によって『ユーモレスク~人間の一生版』をロマン豊かに演奏し,喝さいを浴びました こういう解釈による演奏も,コバケンのサービス精神の現れでしょう

このコンサートを聴いて,これまで日本フィルに対して抱いていた,地味で古いイメージが払しょくされました その原因は何なのかよく分かりませんが,あるいはメンバーがかなり入れ替わっているのではないか,それが新しいイメージの醸成に繋がっているのではないか,とも思いました ついでに言えば,最後に指揮者と楽員が揃って客席の方に向かって一礼するのは,礼儀を重んじる日本人に対して好印象を与えます そんなことも含めて,この日のコンサートは素晴らしかった

 

          

 

          

 

コメント (2)
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