人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

芥川賞受賞作・又吉直樹著『火花』を読む~高樹のぶ子さんの選評に同感!

2015年08月14日 07時01分10秒 | 日記

14日(金)。今まで「にほんブログ村」の「コンサート・演奏会感想」のランキングにだけ参加していたのですが、やっとのことで「人気ブログランキング」の「クラシック」への登録方法が分かったので、新たに参加することになりました このブログの左下にそれぞれのアイコンがありますので、指が暇で手持無沙汰な方はクリックしていただければ,お互いにメリットがあると思いますが,いかがでしょうか ちなみに「クラシック・ブログランキング」初日の順位は85位で,今朝見たら59位に上がっていました もっとも「にほんブログ村」ランキングの方は今でこそずっと第1位を維持していますが,最初は20位くらいでした ということで、わが家に来てから308日目を迎え,新しい仲間に挨拶するモコタロです 

 

          

           君は 蓄音機に耳を傾けていたビクターのニッパー君ですか?

 

  閑話休題  

 

今話題の又吉直樹著『火花』(「文芸春秋」9月号掲載)を読み終わりました 第153回平成27年上半期「芥川賞」受賞作のひとつです 筆者の又吉直樹は1980年大阪府生まれ、吉本興行所属の漫才コンビ「ピース」を組んで活躍している若手芸人です これまで、エッセイなどを書いていますが、小説はこれが初挑戦だそうです

 

          

 

主人公の「僕」は若手お笑い芸人で、漫才コンビ「スパークス」を組んで間もない ある日、熱海の花火大会で漫才コンビ「あほんだら」の神谷に出会う。彼は天才肌の芸人で、4歳下の「僕」はいつしか神谷を師匠と仰ぐようになる 「僕」は神谷から伝記を書くように依頼され、ネタ帳のように行動記録を取っていく。しかし、神谷は芸人としては優れていても、私生活上ではだらしなく、莫大な借金を重ねて破滅的な状況に置かれる

この作品は又吉直樹が自らの経験を基に、若手お笑い芸人の生活実態を描いた青春物語です お笑い芸人らしく、文章の随所に”ボケと”ツッコミ”の会話シーンを織り込み、読んでいて面白さを感じさせます また、「神谷」をはじめ、登場人物の描写に優れていて、彼らを好きになる気持ちにさせます。その意味では文章表現は優れていると言えるかも知れません しかし・・・・・・

この作品のタイトル『火花』の意味は分かりますね。「僕」が組んでいる漫才コンビ「スパークス」の「スパーク」は日本語で『火花』、コンビで複数だから「スパークス」なのです それに、先輩芸人の神谷に出会ったのが「花火」大会だったので、洒落で漢字の前後を入れ替えて引っかけたのでしょう

今回の芥川賞の選考委員は宮本輝、川上弘美、山田詠美、小川洋子、高樹のぶ子、堀江敏幸、村上龍、島田雅彦、奥泉光、という錚々たるメンバーです 私は本を読むときは大抵,巻末の「解説」を読んでから作品を読むのですが,『火花』を読むにあたっては,作品を読んでから選評を読むようにしました その結果,この作品に対する評価で私に最も近いと思ったのは高樹のぶ子さんの選評( ↓ )でした(ネタバレを防ぐため一部の文字を〇〇としています

「話題の『火花』の優れたところは他の選者に譲る。私が最後まで×を付けたのは、破天荒で世界をひっくり返す言葉で支えられた神谷の魅力が、後半、言葉とは無縁の〇〇手術に堕し、それと共に本作の魅力も萎んだせいだ。火花は途中で消えた。作者は終わり方を知らなかったのではないか

私が「しかし・・・・」と書いたのは、まさに高樹さんが指摘している「後半」に、もの凄く違和感を抱いたからです 「ここまで順調に書いてきて、最後にそれはないだろうスパークしそこなってないかい」というのが率直な感想です.それでも、小説に初挑戦で芥川賞を受賞したのは、数多くの先人の作品を読み込んで自分なりに吸収すると共に,それなりの資質と実力があったからでしょう。それは認めざるを得ません

コメント
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