20日(木)。わが家に来てから314日目を迎え,久々のアップで登場のモコタロです
ぼくって 相変わらず アップに耐える顔だよね
閑話休題
昨日の日経「夕刊文化」欄のコラム「自由席」は「ベルリンフィル,昔のCD人気」という見出しで,「60年以上も昔のフルトヴェングラーが指揮したベルリンフィルのCDが,今のラトル指揮のCDと同じくらい売れる」というタワーレコードの店員の声を紹介しています 確かに,たまに新宿や渋谷のタワーレコードに行くと,フルトヴェングラーを始めとする過去の名盤コーナーがそれなりのスペースを陣取っています
記事は「楽員選挙で監督に就いたアバドの時代に民主化,ラトルで国際性を強め,ペトレンコに至っては楽員が監督を育てるくらいとの指摘もある」という最近の考えも紹介しています.自慢ではありませんが,まだ一度もペトレンコの指揮で聴いたことがありません
一度聴いてみたいものです
も一度,閑話休題
西加奈子/せきしろ「ダイオウイカは知らないでしょう」(文春文庫)を読み終わりました この本は小説家の西加奈子さんと文筆家のせきしろさんが,2009年1月から2010年7月まで,約1年半にわたり題詠短歌(お題を組み込んだ短歌)に挑戦し続けた記録です
西加奈子さんは1977年テヘラン生まれ,カイロと大阪で育ち,2007年「通天閣」で織田作之助賞を,2013年「ふくわらい」で河合隼雄物語賞を受賞しています
私はまだ「炎上する君」しか読んでいません
一方,せきしろさんは1970年北海道生まれ.2006年,初エッセイ集「去年ルノアールで」を上梓,喫茶店「ルノアール」に集う人々を観察しながら妄想を繰り広げる独特の文章で話題を呼んだとのことです
これは”抱腹絶叫”の本です ゲストから「お題」をいただいて,西加奈子さんとせきしろさんの二人が短歌に「お題」を読み込んで短歌を作り,それぞれの作品について,ゲストを交えていろいろと”解釈”を加えていくのですが,これが超面白いのです
もちろんそれは二人のキャラクターによるものなのですが,とくに西加奈子さんによる関西弁によるツッコミが光っています
この本ではいくつも傑作が紹介されているので,第1作を見てみます.お題は「初対面」です
〇久しぶり初めましてと重なってあたしわらうよわらうよみてて 西加奈子
〇初めて会ったのに初めてじゃないみたいという嘘を初めてつく カットフルーツの香りの中 せきしろ
これだけでも分かるように,西加奈子さんはキチンと短歌の法則(5・7・5・7・7)を守っているのに対し,せきしろさんは字余りもいいとこです 上の短歌について二人の会話が始まります.
西:短歌のことなんて右も左もわからんと,短歌詠み始めてしまったんやけど
せきしろ:大丈夫かなあ.そのスジの人から怒られたりしない?
西:せきしろさんもやるって言ったんやからね もう後にはひけへんよ.短歌上等!上手くなるから待ってろ,短歌!って意気込みで頑張ってみようよ
この会話だけで二人の性格が分かるような気がしませんか?
二人が短歌を初めて半年が経った頃,鎌倉に吟行(短歌のインスピレーションを得るための旅)に出ます.お題は「うなぎ」です
〇肉よりも親密なのはウナギだろ にょろにょろしよう 精をつけよう♡ 西加奈子
〇うなぎだあ! 近すぎちゃってどうしよう かわいくはないけどどうします? せきしろ
この後,二人の会話が続きますが,せきしろさんの話に西さんが反応して大笑いし,席を外すことになります.
西:あはははは(笑).ダメや.笑いすぎて腹が痛なってきた.・・・・ちょっとトイレ行ってくる.(と廊下へ.するとガラガラドシャーンと大きな物音が)
せきしろ:なんだ!どうした!?
西:(あわてて戻ってきて)壊しちゃった!精力つきすぎてトイレの扉,思いっきり引いたら戸が外れた!そんで・・・・(小声で)トイレに入った!隣のカップルの彼氏,座ってはった!大仏さんみたいな半眼で座ってはって,目が合った!どうしよう!
せきしろ:どうします?
西:早うここ出よう!
もう,短歌よりも面白いです タイトルの「ダイオウイカは知らないでしょう」ってどういう意味かを知りたい人は690円(+税)を出して本を買ってください