27日(木)。昨日は台風の影響か朝から夜まで涼しかったですね.久々にスーツで出勤しました 今日は休暇を取って人間ドックに行ってきます ということで,わが家に来てから321日目を迎え、おやつに不服を唱えるモコタロです
これ ぼくのおやつじゃないよ 兎用のおやつをちょうだい!
閑話休題
昨夕、初台の東京オペラシティ・リサイタルホールでエピス・クァルテットのコンサートを聴きました プログラムは①ハイドン「弦楽四重奏曲第81番ト長調」、②ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第12番変ホ長調」です
「エピス」というのはフランス語で香辛料のことだそうです.スパイスの効いた演奏を目指しているのでしょう 2010年に結成されたこの弦楽四重奏団のメンバーは全員が東京藝大の出身者です 第1ヴァイオリンは,群馬交響楽団や京都市交響楽団の首席客員奏者として活躍する須山暢大,第2ヴァイオリンは東京藝大音楽学部非常勤講師の村津瑠紀,ヴィオラは東京都交響楽団ヴィオラ奏者の村田恵子,チェロは東京交響楽団の首席チェリスト伊藤文嗣です
そもそもこのクァルテットを聴こうと思ったのは,チェロの伊藤文嗣が東京交響楽団の首席チェリストで,何度もオケの一員としての演奏に接してきたからです 見るたびに「若者,頑張ってるな!」と見守っています
エピス・クァルテットの演奏を聴くのは,JTアートホールで初めて聴いて以来今回が2回目です また,オペラシティのリサイタルホールで聴くのは,ハンブルク・トリオのブラームス演奏会を聴いて以来今回が2回目です 座席は自由席.右ブロック前から6列目の左通路側席を押さえました
4人が登場して,さっそく1曲目のハイドン「弦楽四重奏曲第81番ト長調作品77-1の演奏に入ります この曲はハイドンの最後の弦楽四重奏曲の一つですが,ロプコヴィッツ公爵に献呈されていることから”ロプコヴィッツ四重奏曲”とも呼ばれています.この公爵はベートーヴェンの最初の弦楽四重奏曲である作品18の6曲も献呈されているとのことです 第1楽章「アレグロ・モデラート」,第2楽章「アダージョ」,第3楽章「メヌエット プレスト」,第4楽章「フィナーレ プレスト」の4つの楽章から成ります
私はこの曲を聴くのは初めてですが,第1楽章の冒頭を聴いた第一印象は「まるで,ロッシーニのオペラのアリアを聴いているような親しみやすい軽快なメロディーだな」ということです.それは第2楽章に移っても同じ印象でした 全体を通して感じたのは,極めてシンプルな作りなのではないか,ということです ハイドンは晩年に至って一層,音楽を単純化していったのではないか,と思いました
4人は各楽章間でチューニングを入れましたが,この日は,雨が降ったり止んだりの湿度の高い気候だったことから,楽器に影響があったのでしょう.しかし,演奏は肩の力を抜いた素晴らしいアンサンブルでした
休憩後は,ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第12番変ホ長調作品127」です ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲の最初の曲です.ここ数日,イタリア弦楽四重奏団のCDで予習してきたので全体の流れは頭に入っています
4つの楽章から成りますが,この曲の白眉は第2楽章「アダージョ・マ・ノン・トロッポ・エ・モルト・カンタービレ」でしょう 冒頭,チェロ,ヴィオラ,第2ヴァイオリン,第1ヴァイオリンへと短い断片が受け継がれ”本題”に入って行きますが,ベートーヴェンの弦楽四重奏曲を聴く時に思うのは,アダージョ楽章が特に素晴らしい,ということです この曲のアダージョも”祈り”のような曲想が展開します
この日の演奏会を振り返ってみると,個人的にはハイドンの方が彼らに合っているのではないか,ベートーヴェンはちょっと荷が重すぎたかな,と思いました それでも,ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲に果敢に挑む若い彼らの姿勢には好感をが持てます.第3回目のコンサートも是非聴きたいと思います