人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

クァルテット・エクセルシオでモーツアルト「弦楽四重奏曲K.465”不協和音”」,メンデルスゾーン「同・ヘ短調」,ドヴォルザーク「同 ヘ長調”アメリカ”」を聴く

2017年03月04日 07時56分37秒 | 日記

4日(土).わが家に来てから今日で886日目を迎え,学校法人「森友学園」への国有地売却問題で,政府が売却価格を当初非公開にしていた理由を「先方(学園)から『(地下ごみの存在が知られれば)生徒を集めることに風評被害が出るので公開を控えて欲しい』と要請があった」と説明したというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

          地下ごみの風評よりも 教育方針への風評の方を気にすべきなんじゃないのかな?

 

  閑話休題  

 

昨日,夕食に「チキンステーキ」と「生野菜とアドガドとサーモンのサラダ」を作りました 「チキンステーキ」を食べた娘が「これ どこのお店で買ってきたの?」と聞くので「自分で作ったんだけど」と答えたら「お店で売っているものかと思った」と言われました.どうやらトマトケチャップを使ったタレが絶妙だったようです

 

       

 

  も一度,閑話休題  

 

昨夜,東京文化会館小ホールでクァルテット・エクセルシオのコンサートを聴きました これは「2017都民芸術フェスティバル」参加公演です.プログラムは①モーツアルト「弦楽四重奏曲ハ長調K.465”不協和音”」,②メンデルスゾーン「同 ヘ短調 作品80」,③ドヴォルザーク「同 ヘ長調 作品96”アメリカ”」です メンバーはヴァイオリン=西野ゆか,山田百子,ヴィオラ=吉田有紀子,チェロ=大友肇です

開場時間の6時半少し前に文化会館のロビーで列に並んだのですが,すぐ脇をサスペンダー爺さんがいそいそとトイレの方に行きました 「またこの爺さんといっしょかよ,勘弁して欲しいなぁ」とガックリきました.が,会場に入りしばらく最前列の席を見ていたのですが,とうとう開演時間になっても爺さんは現れませんでした そこで,ハタと気が付いたのですが,大ホールで6時半からパリ・オペラ座バレエ団の公演があったのでそっちに行ったのかも知れない と お陰で小ホールの方は心地よく聴くことが出来る反面,大ホールの方はスター気取りの爺さんが開演直前に入場して,周囲から白い目で見られることになるのだろうな バレエだから双眼鏡を覗くんだろうな 床に落として またヒンシュクを買うんだろうな 大ホールの聴衆の皆さん,本当にお気の毒です

 

       

 

自席はO列47番,センター右ブロック右から3つ目です.会場は9割方埋まっているでしょうか

ステージに登場した女性陣はデザインは異なるものの色はパープル系で統一しています

1曲目はモーツアルト「弦楽四重奏曲第19番ハ長調K.465”不協和音”」です モーツアルトはハイドンを作曲の師と仰いでいましたが,ハイドンの「ロシア四重奏曲」から感銘を受けて6曲からなる弦楽四重奏曲(いわゆる『ハイドン・セット』)を作曲しました その第6曲に当たるのがこのK.465です.この曲が「不協和音」と呼ばれるのは,第1楽章冒頭の序奏部が当時の和声法の常識から外れた不協和音だったことに起因します 第1楽章「アダージョーアレグロ」,第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」,第3楽章「メヌエット,アレグロ」,第4楽章「アレグロ・モルト」から成ります

序奏部は混沌とした響きが続きますが,雲の間から急に太陽が覗いたような明るい音楽が奏でられます エクの演奏はこの辺りの表現が鮮やかです この冒頭部分を聴くと,以前読んだドイツ文学者・小塩節氏の「ブレンナー峠を越えて」を思い出します モーツアルトは人生の3分の1を旅で過ごしましたが,故郷ザルツブルクからイタリアに行くときは馬車に揺られながらブレンナー峠を越えた.オーストリア側のどんよりした気候から,峠を越えただけで,そこは太陽が燦々と輝くイタリアである ー この話から,ひょっとしてモーツアルトは「ブレンナー峠越え」をこの作品の冒頭に音楽で表したのではないか,と想像します

モーツアルトに限らず,エクセルシオを聴くたびに思うのは,チェロの大友肇氏がどっしりと構えて要になっているな,ということです

2曲目は今回どうしても生演奏で聴きたかったメンデルスゾーンの「弦楽四重奏曲第6番ヘ短調」です 彼は38歳の若さで死去しましたが,この作品はその2年前に作曲されました.その同じ年に姉のファニーに先立たれていますが,彼にとっては最愛の姉の死は耐え難いものがあったらしく,この曲には”運命としての死”が内包されているかのようです 第1楽章「アレグロ・アッサイ」,第2楽章「アレグロ・アッサイ」,第3楽章「アダージョ」,第4楽章「アレグロ・モルト」から成ります

第1楽章が激しい慟哭のような曲想で開始されます.聴いている方が悲痛になります この緊張感は半端ではありません.第2楽章も同様です.この2つの楽章に限らず,エクセルシオの4人は,メンデルスゾーンのデモ―二ッシュな側面を見事に表出しました 例えるならば,切れ味鋭い銘刀政宗で藁の束を一刀両断するような緊張感に満ちた演奏でした 初めて生で聴くメンデルスゾーンの作品がエクセルシオで良かったとつくづく思います

 

       

 

休憩後は,ドヴォルザーク「弦楽四重奏曲第12番ヘ長調”アメリカ”」です ドヴォルザークは1892年から3年間,ニューヨークのナショナル音楽院の院長として迎えられましたが,どうやらホームシックにかかり,生まれ故郷のボヘミアを思って交響曲第9番”新世界より”,チェロ協奏曲,弦楽四重奏曲第12番を作曲しました 言うまでもなく「新世界=アメリカ」ですが,不思議なのは,同じような動機で書かれたのに,交響曲第9番が「新世界より」と「より」が付いているのに,弦楽四重奏曲第12番は「アメリカより」ではなく「アメリカ」と呼ばれていることです どうでもいいことかもしれませんが,気になっています

第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」,第2楽章「レント」,第3楽章「モルト・ヴィヴァーチェ」,第4楽章「ヴィヴァーチェ・マ・ノン・トロッポ」から成ります

第1楽章に入ります.もちろん第1ヴァイオリンの西野ゆかが主導しますが,この曲では俄然ヴィオラの吉田有紀子の実力が発揮されます それといつもは目立たない第2ヴァイオリンの山田百子もソロで活躍します 逆に言うと,ドヴォルザークは4つの楽器がそれぞれ目立って活躍できるように作曲したのだと思います 4人のアンサンブルは完璧です

会場いっぱいの拍手に,オーストラリアの作曲家グレインジャーの「岸辺のモリー」を軽快に演奏し,コンサートを締めくくりました

3曲とも満足のいく演奏でしたが,とくにメンデルスゾーンの作品を聴けたのは最大の喜びでした エクセルシオには今後,定期的にメンデルスゾーンの作品を取り上げて欲しいと思います

 

       

コメント (2)
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