人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

パーヴォ・ヤルヴィ ✕ ロジェ・ムラロ ✕ シンシア・ミラー ✕ NHK交響楽団でメシアン「トゥランガリラ交響曲」を聴く ~ 第1917回N響定期(Bプロ)

2019年06月21日 07時20分56秒 | 日記

21日(金)その2。 昨夕、サントリーホールでNHK交響楽団の第1917回定期演奏会(Bプロ)を聴きました プログラムはメシアン「トゥランガリラ交響曲」です 演奏はピアノ=ロジェ・ムラロ、オンド・マルトノ=シンシア・ミラー、指揮=パーヴォ・ヤルヴィです

ピアノ独奏のロジェ・ムラロは1959年リヨン生まれ。パリ国立高等音楽院でオリヴィエ・メシアンの夫人、イヴォンヌ・ロリオのクラスに入学しメシアンと出会い、作曲者本人から激賞され、メシアン弾きの第一人者として活躍するようになりました 一方、オンド・マルトノ独奏のシンシア・ミラーはイギリス出身の女性奏者ですが、世界各地のオケでメシアンのこの曲の独奏を担っています

「トゥランガリラ交響曲」は、オリヴィエ・メシアン(1908-1992)がクーセヴィツキ-財団の委嘱によりボストン交響楽団のために1946年から1948年にかけて作曲し、1949年12月2日にレナード・バーンスタイン指揮ボストン交響楽団による演奏で初演されました 委嘱者のクーセヴィツキ-はメシアンに「望むだけの楽器を使って、望むだけの長さの作品を」書くように言ったということで、通常の楽器編成に、ピアノ、チェレスタ、オンド・マルトノ、タムタム、シンバル、大太鼓などが加わった大編成オーケストラとなり、演奏時間も80分に及ぶ大曲になりました なお、トゥランガリラとはサンスクリットで「愛の歌」というような意味です

この曲は第1楽章「導入部」、第2楽章「愛の歌 第1」、第3楽章「トゥランガリラ 第1」、第4楽章「愛の歌 第2」、第5楽章「星たちの血の喜び」、第6楽章「愛の眠りの園」、第7楽章「トゥランガリラ 第2」、第8楽章「愛の展開」、第9楽章「トゥランガリラ 第3」、第10曲「終曲」の全10楽章から成ります

 

     

 

弦楽器は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、その後ろにコントラバスという編成ですが、指揮者のすぐ左にピアノが、その後方にチェレスタとジュ・ドゥ・タンブル(グロッケンシュピールの仏語)が、反対の右側にはオンド・マルトノがスタンバイします オケの後方には打楽器群が左右に広がっています コンマスはミュンヘン・フィルのコンマスを務めるロレンツ・ナストゥリカ・ヘルシュコヴィチです

最初に正直に告白しておくと、私がこの曲を聴くのは生まれて初めてです CDは4000枚、LPは1500枚持っているというのに・・・・モーツアルトはCDとLP合わせて1000枚近く持っているというのに・・・・ベートーヴェン交響曲全集はフルトヴェングラー、クレンペラー、チェリビダッケ、セル、ワルター、スイトナー、ブロムシュテット、ケーゲル、コンビチュニー、クリュイタンス、ヘルシェン・・・・と10数種類も揃っているというのに・・・・メシアンは1枚も持っていません この片寄りようはどうでしょう ある曲が気に入ると、異なる演奏家のLPやCDを集めたくなる収集癖のせいです ”CDの百科事典”と言われるNAXOSのCDが売り出された時には、新発売のCDを片っ端から買い集め、カタログに掲載のCDを赤線で消していったものです 同じ曲で別の指揮者のCDを買わないで、NAXOSのCDだけをあのまま買い続けていれば、これほどの偏りは生じなかったと思います 今となっては後の祭りです

したがって早い話が、予習なしのぶっつけ本番で80分に及ぶこの曲を聴くことになったわけです 事前に「プログラム・ノート」を懸命に読み込むのはもちろんのこと、演奏中も「今どこを演奏しているのか」を確認しながらオケの発する音に耳を傾けることになります 特に、オンド・マルトノはスピーカーの前に拡声マイクが付けられているにも関わらず、音が良く聞こえないので、演奏者の指の動きを見ながら、いま鳴っている音がオンド・マルトノの音であることを確認することになります 自席が演奏者の左手の動きが見える位置なので良かったです

演奏を聴いていて、「プログラム・ノート」に書かれていた「この交響曲には4つの循環主題がある。トロンボーンの提示する重々しい『彫像の主題』、クラリネットの奏でる優しい『花の主題』、弦楽器あるいはオンド・マルトノが歌う恍惚とした『愛の主題』、そして、さまざまな響きの母体となる和音の連続である『和音の主題』。これらのモチーフが中心である」ということは、おぼろげながら分かりました

メシアンにおける適切なテンポはどの程度か よく分かりませんが、ヤルヴィは比較的速めのテンポでメリハリを付けながらサクサクと演奏を進めていったように思います 特に印象に残ったのは、ピアノ独奏のロジェ・ムラロの演奏です オケに負けない力強い演奏の一方で、第6楽章「愛の眠りの園」で示したような、煌めく星座のような弱音の魅力を活かした音楽作りがとても印象に残りました

私の課題は、次に「トゥランガリラ交響曲」を生演奏で聴く時は、事前にCDを買って予習しておくことです

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藝大モーニングコンサートでフランセ「クラリネット協奏曲」(Cl:林みのり)、ジョンゲン「協奏的交響曲」(Org:東方理沙)を聴く

2019年06月21日 00時09分10秒 | 日記

21日(金)その1.わが家に来てから今日で1722日目を迎え、国連がヘイトスピーチに対処する行動計画を発表した18日、グテーレス事務総長が演説で、「何人かの政治指導者が憎悪に満ちた考え方や言葉を広め、普遍化し、公の議論を荒らし、社会を弱体化させている」と指摘し、名指しは避けたが、トランプ米大統領を念頭に置いていたと受け止められる発言をした というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      名指ししようがしまいが ヘイトスピーチの政治指導者と言えばトランプだよな

     

         

 

昨日、夕食に「鶏ももソテーキ」と「トマトとレタスの卵スープ」を作りました 鶏~は皮パリパリ肉ジュ―シーです

 

     

 

         

 

昨日、午前11時から東京藝大奏楽堂で「第6回藝大モーニングコンサート」を、午後7時からサントリーホールでNHK交響楽団の定期演奏会を聴きました ここでは、「第6回藝大モーニングコンサート」について書きます

プログラムと演奏者は①フランセ「クラリネット協奏曲」(Cl:林みのり)、②ジョンゲン「協奏的交響曲作品81」(Org:東方理沙)です 指揮は現田茂夫です

 

     

 

全席自由です。1階20列24番、センターブロック右通路側を押さえました

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろのコントラバスという、いつもの藝大フィルハーモニアの編成。コンミスは澤亜紀さんです

1曲目はフランセ「クラリネット協奏曲」です この曲はジャン・フランセ(1912-1997)が1967年から1968年にかけて作曲した作品です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「スケルツァンド」、第3楽章「アンダンティーノ」、第4楽章「アレグリッシモ」の4楽章から成ります

クラリネット独奏の藝大4年生・林みのりさんが、銀のラメ入りの鮮やかな衣装で登場、現田茂夫の指揮で第1楽章に入ります この楽章では中盤でカデンツァが演奏されますが、クラリネットの広い音域や音色を十分に生かした演奏で、この楽器の特性と魅力にあらためて気づかされました 第4楽章ではかなりの超絶技巧が要求される曲想ですが、林さんは確かな技術を背景に鮮やかに演奏を展開しました

林さんによる「プログラム・ノート」は、フランセが活躍していた時代の音楽の方向性、その中でのフランセの立ち位置、この曲の性格と各楽章の解説など、非常に解りやすく丁寧に書かれていて、演奏を聴くうえで大きな助けになりました 演奏者としてだけでなく、文章表現者としても素晴らしい人だと思いました


     


プログラム後半はジョンゲン「協奏的交響曲作品81」です この奏楽堂でパイプオルガンの協奏曲を聴く機会はめったにないので、今回は貴重なチャンスです この曲はベルギーの作曲家・オルガン奏者のジョゼフ・ジョンゲン(1873-1953)の作品で、約40分かかる大作です 第1楽章「アレグロ、モルト・モデラート」、第2楽章「ディベルティメント」、第3楽章「モルト・レント」、第4楽章「トッカータ」の4楽章から成ります

藝大大学院修士1年生・東方理沙さんが、エナメル・ブルーの妖精のような衣装で2階正面のパイプオルガン操作卓に着きます 現田茂夫の指揮で第1楽章に入ります。冒頭、オーケストラによるフーガ風の序奏に続いて独奏オルガンが堂々と輝かしい音楽を奏でます オケとオルガンとの対話が楽しく聴けます 第2楽章は冒頭のオルガンの軽快な主題が印象的です フルートの独奏で開始される第3楽章では、歌う楽器としてのオルガンの演奏が魅力的です そして、第4楽章は冒頭から会場を震撼させんばかりの大音響でオルガンが鳴らされ、さながらパイプオルガン版スターウォーズのようです

東方理沙さんはプログラム・ノートに「オルガンは”1人によるオーケストラ”と言われるが、この作品は『2つのオーケストラのための交響曲』であるとジョンゲンの友人の作曲家ウジェーヌ・イザイは述べている」と書いていますが、スケールが大きくダイナミックな曲想のこの作品は、まさに2つのオーケストラが協奏するかのような「協奏的交響曲」でした

東方さんは、よくこの大作を選んだものだ、と感心しました 小柄ながらも、秘めた情熱は誰にも負けないものがあるのでしょう

 

     

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