人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

クス・クァルテットのベートーヴェン・サイクルⅡ(弦楽四重奏曲第7番、第8番、第9番=ラズモフスキー四重奏曲第1番~第3番)を聴く~サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン

2019年06月06日 07時50分03秒 | 日記

6日(木)その2.よい子は「その1」も見てね  モコタロはそちらに出演しています

 

         

 

昨夕、サントリーホール「ブルーローズ」でクス・クァルテットの「ベートーヴェン・サイクルⅡ」を聴きました プログラムはベートーヴェン①「弦楽四重奏曲第7番ヘ長調作品59-1」、②「同第8番ホ短調作品59-2」、③同第9番ハ長調作品5-3」です この3曲は1806年に作曲されましたが、作品を依頼したウイーン駐在ロシア大使ラズモフスキー伯爵の名を冠して「ラズモフスキー弦楽四重奏曲集」と呼ばれています   この3曲は規模と壮大さにおいて、交響曲で言えば第3番「英雄」に相当するエポックメーキングな先進的な作品です 初演は、ベートーヴェンと親交が深く 彼の多くの作品の初演を行ったヴァイオリニスト、イグナツ・シュパンツィクが率いる四重奏団により行われました

 

     

 

セット券のため、前回と同じセンターブロックの通路から一番奥に入ったど真ん中の席です

1曲目は「弦楽四重奏曲第7番ヘ長調作品59-1」です この曲は第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アレグレット・ヴィヴァーチェ・エ・センプレ・スケルツァンド」、第3楽章「アダージョ・モルト・エ・メスト」、第4楽章「ロシアの主題:アレグロ」の4楽章から成ります

4人の演奏で第1楽章に入りますが、何となくアンサンブルがしっくりと合っていないように感じます   これは第1日目の第1曲目にも感じたことです  会場の雰囲気に慣れるまである程度時間がかかるのでしょうか

しかし、2曲目の「弦楽四重奏曲第8番ホ短調作品59-2」の演奏に入ると、見違えるような集中力に満ちた演奏に変貌しました

この曲は第1楽章「アレグロ」、第2楽章「モルト・アダージョ」、第3楽章「アレグレット」、第4楽章「フィナーレ:プレスト」の4楽章から成りますが、第1楽章冒頭の渾身の演奏で思わず引き込まれました   第3楽章の中間部に被献呈者ラズモフスキー伯爵を想定して書かれたロシア民謡のメロディーが出てきますが、この演奏が素晴らしかった そして第4楽章のフィナーレは軽快なテンポによる推進力に満ちた演奏でした


     


休憩後は「弦楽四重奏曲第9番作品5-3」です この曲は第1楽章「アンダンテ・コン・モート~アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アンダンテ・コン・モート・クアジ・アレグレット」、第3楽章「メヌエット・グラツィオーソ」、第4楽章「アレグロ・モルト」の4楽章から成ります

この曲では、第1楽章冒頭の霧の中を進むような漠然とした曲想から開始されますが、この冒頭部分や第8番の第1楽章冒頭部分を聴くと、ベートーヴェンは当時の聴衆から「相当難しい曲を作ったものだ」と思われたに違いない、と感じます 何しろ小学校の音楽教室に掲げられているベートーヴェンの肖像画のような しかめ面をした音楽です    一方、第2楽章の中間部で聴かれるセレナーデのような音楽を聴くと、なぜか月夜を思い浮かべます とても美しい音楽です 第3楽章から続けて演奏される第4楽章は推進力に満ちたフーガです 急速テンポで演奏される壮麗なフーガは3つの曲を統括するような素晴らしい音楽です

この日のクス・クァルテットの演奏はプログラムが後に行くにしたがって良くなっていったように思います

ところで、「ラズモフスキー四重奏曲」で思い出すのは、あの『モオツァルト』で有名な評論家・小林秀雄がエッセイで触れた文章です エッセイのタイトルも、本の名前も思い出せないのですが、「急にベートーヴェンのラズモフスキー弦楽四重奏曲が聴きたくなって、銀座の楽器店に行った。店員に『ラズモフスキーをくれ』と言うと、『何番にしましょうか』と訊くので、『3つともくれ』と答えた」というような内容だったと記憶しています

ここで私が何を言いたいのか と言うと、その当時、CDはおろかLPさえないSPレコードの時代に、ベートーヴェンの「ラズモフスキー弦楽四重奏曲」が3曲あることを知っていて、それを買おうとしていた事実に驚いたということです 小林秀雄はラズモフスキーを聴いてどういう感想を抱いただろうか? 興味は尽きません


     

コメント (2)
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「プレシャス1pm Vol.1 クラリネット五重奏の深淵」を聴く ~ モーツアルト、ブラームス、フランセの五重奏曲より抜粋:サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン

2019年06月06日 07時17分34秒 | 日記

6日(木)その1.わが家に来てから今日で1707日目を迎え、俳優の蒼井優さんと、お笑いコンビ「南海キャンディーズ」の山里亮太さんが3日、婚姻届けを提出し 結婚した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     独身男性諸君!  これで君も自信を持ったか? でも山ちゃん相当真面目人間だぜ

     

         

 

昨日、夕食に「ポーク・デ・ケチャップ」と「生野菜サラダ」を作りました 「ポーク~」の材料は豚小間、新玉ねぎ、シメジです

 

     

 

         

 

昨日、サントリーホール「ブルーローズ」で、午後1時から「プレシャス1pm Vol.1 クラリネット五重奏の深淵」を、午後7時からクス・クァルテット「ベートーヴェン・サイクルⅡ」を聴きました   ここではプレシャス1pm Vol.1  クラリネット五重奏の深淵」について書きます


     


プログラムは①ドヴォルザーク「テルツェット ハ長調 作品74」より第1・第3楽章、②モーツアルト「クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581 」より第2楽章、③ラヴェル「ヴァイオリンとチェロのためのソナタ」より第1・第2楽章、④フランセ「クラリネット五重奏曲 変ロ長調」より第3楽章、⑤ドホナーニ「弦楽三重奏のためのセレナード ハ長調 作品10」より第1・第2・第3楽章、⑥ブラームス「クラリネット五重奏曲  ロ短調 作品115」より第2楽章です 演奏は、クラリネット=コハーン・イシュトヴァ―ン、ヴァイオリン=渡辺玲子、池田菊衛、ヴィオラ=磯村和英、チェロ=毛利伯郎です

1曲目はドヴォルザーク「テルツェット ハ長調 作品74」より第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第3楽章「スケルツォ:ヴィヴァーチェ」です この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)が1887年に作曲した作品です

ヴァイオリン=渡辺玲子、池田菊衛、ヴィオラ=磯村和英の3人が登場し、さっそく演奏に入ります 第1楽章はドヴォルザークらしい優しさに満ちた曲想で、第2楽章は活気に満ちています いずれも渡辺玲子の演奏が光りました

ここで、渡辺玲子がマイクを持ってこの日のプログラムの趣旨を説明しました 説明によると、このコンサート・プログラムは「渡辺玲子プロデュース」で、まず最初にブラームスの「クラリネット五重奏曲」を最後に持ってくることを決め、クラリネット五重奏曲という繋がりではモーツアルトは外せないということでモーツアルトを組み入れ、もう一つの柱=エスニック(異国情緒)の流れとしてラヴェル、ドホナーニ等を入れたそうです

2曲目はモーツアルト「クラリネット五重奏曲イ長調K.581 」より第2楽章「ラルゲット」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が晩年の1789年に作曲した作品です

ヴァイオリン=渡辺玲子、池田菊衛、ヴィオラ=磯村和英、チェロ=毛利伯郎、クラリネット=コハーン・イシュトヴァ―ンにより演奏されます 冒頭、イシュトヴァ―ンのクラリネットが優しく語りかけてくるのを聴いて、感動で涙が込み上げてきました モーツアルトは何と素晴らしい音楽を書いたのだろうか これは人間界の音楽ではなく天上の音楽です

次の曲はラヴェル「ヴァイオリンとチェロのためのソナタ」より第1楽章「アレグロ」、第2楽章「トレ・ヴィフ(極めて生き生きと)」です この曲はモーリス・ラヴェル(1875-1937)が1922年に作曲した作品です

ヴァイオリン=渡辺玲子、チェロ=毛利伯郎により演奏に入りますが、事前のトークでも話されたように、とくに第2楽章における演奏は、速いテンポに加えピッツィカートが多用されるため、弓の持ち替えが半端なく難しそうです しかし、そこは二人のこと、活気に満ちた迫力満点の演奏を展開しました


     


4曲目はフランセ「クラリネット五重奏曲変ロ長調」より第3楽章「グラーヴェ」です この曲はジャン・フランセ(1912-1997)が1977年に作曲した作品です

第1ヴァイオリン=渡辺玲子、第2ヴァイオリン=池田菊衛、ヴィオラ=磯村和英、チェロ=毛利伯郎、クラリネット=コハーン・イシュトヴァ―ンにより演奏に入ります ヴィオラの問いかけに他の楽器が応えるというような曲想で始まりますが、全体的には内省的な雰囲気の音楽でした

5曲目はドホナーニ「弦楽三重奏のためのセレナード ハ長調 作品10」より第1楽章「行進曲:アレグロ」、第2楽章「ロマンツァ:アダージョ・ノン・トロッポ、クアジ・アンダンテ」、第3楽章「スケルツォ:ヴィヴァーチェ」です この曲はエルネ―・ドホナーニ(1877-1960)が1902年頃に作曲した作品で、全5楽章から成ります

ヴァイオリン=渡辺玲子、ヴィオラ=磯村和英、チェロ=毛利伯郎の3人により演奏に入ります この曲では第1楽章の行進曲が活気に満ちていて楽しかったのと、第3楽章のスケルツォが3つの楽器のフーガで演奏されるところが面白く聴けました

最後の曲はブラームス「クラリネット五重奏曲ロ短調作品115」より第2楽章「アダージョ~ピゥ・レント」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833-1897)が1891年に作曲した作品です 名クラリネット奏者・ミュールフェルトとの出会いによって生み出されたクラリネットのための作品の一つです(残り3つは、クラリネット三重奏曲、クラリネット・ソナタ2曲)

ヴァイオリン=渡辺玲子、池田菊衛、ヴィオラ=磯村和英、チェロ=毛利伯郎、クラリネット=コハーン・イシュトヴァ―ンによる演奏です この曲でも、イシュトヴァ―ンのクラリネットが素晴らしい ブラームス晩年の寂寥感が良く出ていました 弦楽合奏も素晴らしかったですが、やはり現役バリバリの渡辺玲子のヴァイオリンは素晴らしいの一言です

休憩なしの1時間の予定が、トークがあったこともあり1時間15分かかりました 短い時間でしたが、中身の濃い充実した内容で満足です

ここで一旦 家に帰り、夕食を作ってから再び「ブルーローズ」に戻ることにしました

「その2」に続く


     

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