人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

藝大モーニングコンサートでブラームス「ピアノ協奏曲第1番」(Pf:山中惇史)、室元拓人「Sound Episome for Orchestra」を聴く / 「クリムト展」を観る ~ 東京都美術館

2019年06月28日 07時18分50秒 | 日記

28日(金)。わが家に来てから今日で1729日目を迎え、トランプ米大統領は28~29日に大阪で開く20か国首脳会議(G20サミット)に出席するためワシントンを出発する前に、ホワイトハウスで記者団に対し、「多くの国が米国を利用してきたが そんなことはすぐに全くなくなる」と強調した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      「賢者は歴史に学び 愚者は経験に学ぶ」 トランプは誰にも耳を傾けず 頭を傾ける

 

         

 

昨日の夕食は「牛タン塩焼き&牛ハラミ焼肉」「生野菜と生ハムのサラダ」「卵スープ」を作りました 実はちょっと風邪気味で調子が悪いので簡単なメニューにしました

 

     

 

         

 

昨日、東京藝大奏楽堂で第7回藝大モーニングコンサートを聴きました プログラムは①室元拓人「Sound Episome for Orchestra」、②ブラームス「ピアノ協奏曲第1番ニ短調作品15」(Pf:山中惇史)です   管弦楽=藝大フィルハーモニア管弦楽団、指揮=澤和樹(東京藝大学長)、コンマス=澤亜紀(学長の娘さん)です

 

     

 

全席自由です。1階13列12番、左ブロック右通路側を押さえました

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、それらを左右から挟むようにコントラバスが2本ずつ分かれて配置されています

1曲目は藝大4年在学中の室元拓人作曲「Sound Episome for Orchestra」です 開演前の本人のプレトークとプログラムに掲載のプログラム・ノートによると、この曲は「ノイズについて、ユダヤ人作曲家マリシオ・カーゲルの『ルートヴィヒ・ヴァン』を研究し、さらに、作曲家・大友良英のパフォーマンスに触発されて、ベートーヴェンをテーマに作曲した作品」であり、「Episome とは『遺伝子組み換えを自在に行える因子』のこと」とのことです

澤和樹氏の指揮で演奏が開始されます 冒頭は弦楽四重奏により 聴こえるか聴こえないかという微妙な”ホワイト・ノイズ”のような音が奏でられ、次第に大きな音になり、その後は波が寄せては返すような曲想になったり、いろいろと変容していきます しかし、「ベートーヴェンをテーマにしている」はずが、ベートーヴェンの音楽の片鱗も聴こえて来ません かろうじて終盤において、ホルンが英雄交響曲の有名なテーマを3~4秒 奏でたように感じた程度です   あまりにも「ノイズ」を中心に考えすぎているのでないか、もう少し遊び心があっても良いのではないかと思いました

その上で、作曲者の室元君には率直に謝らなければなりません 私にはこの曲を理解する能力が欠けていました。お許しください


     


プログラム後半はブラームス「ピアノ協奏曲第1番ニ短調作品15」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833-1897)が1854年から1858年にかけて作曲し、1859年にハノーヴァーで初演されました この曲は当初「2台のピアノのためのソナタ」として着想され、その後、4楽章形式の交響曲に改作されましたが、最終的に3楽章から成るピアノ協奏曲の形として完成されました 第1楽章「マエストーソ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「ロンド:アレグロ・ノン・トロッポ」の3楽章から成ります

ピアノ独奏は東京藝大大学院の作曲専攻を修了後、同大学ピアノ専攻に入り直して在学中の山中惇史君です

澤和樹氏の指揮で第1楽章に入りますが、冒頭のティンパニの連打が素晴らしい 一気にブラームスの世界に引き込まれます。長い序奏の後、山中君のピアノが入ってきます

全楽章を通して、山中君のピアノは力強くエネルギーに満ちており、1854年2月のロベルト・シューマンの死を乗り越えて運命に対峙しようとする若きブラームスの秘めた情熱を放出するかのようでした とくに、第3楽章のカデンツァは素晴らしく、コーダは圧倒的でした

山中惇史君はすでにテレビ等にも出演するなど多方面で活躍しているといいます 私も彼の名前どこかで見たような気がします 今後も作曲、ピアノ演奏に限らず多方面での活躍を期待したいと思います

 

     

 

         

 

コンサート終了後、藝大奏楽堂から直接、上野公園内の「東京都美術館」に向かいました。もちろん「クリムト展」を観るためです   時間的には12時半近くでしたが、「30分待ち」の表示が出ています。昼食を取ってからだとさらに並ぶことになりそうなので、そのまま並んで待ちました。約30分後無事に入館できました

 

     

 

この展覧会で是非観たいと思ったのは「ベートーヴェン・フリーズ」の原寸大複製です オリジナルはヨーゼフ・ホフマンのデザインによる分離派会館の展示室の左翼ホール天井近くの3つの壁面(縦2メートル16センチ、横34メートル38センチ)にクレヨン、サンギーヌ、パステル、カゼイン絵具、金、銀、漆喰、モルタルなどにより1901年から1902年までに製作され、第14回分離派展で展示されました 「ベートーヴェン・フリース」は分離派展の終了後には解体処分される予定でしたが、あるコレクターにより買い取られ、現在はベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館の寄託作品として分離派会館の地下に展示されています

「ベートーヴェン・フリース」のテーマはベートーヴェンの「交響曲第9番」です 製作に当たってクリムトが下敷きとしたのはリヒャルト・ワーグナーによる叙述的な解釈で、分離派展のカタログにも掲載されたといいます すなわち、左側の壁にはまず「甲冑を纏う強者」が描かれる。強者は「苦しむ人間」から「敵対する力」と戦うことを懇願されている その「敵対する力」は、正面の壁に描かれる 幸福を求める人々に寄り添う精霊が、上空を舞う。精霊は、右側の壁面に竪琴を持つ女性として現われれる「詩」に充足を見い出す。続く空白の壁は、中央ホールのベートーヴェン像が見渡せる位置にあり、それを過ぎると、フリーズは「諸芸術」と「楽園の天使の合唱」で締めくくられる 天使たちが歌うのは、べート―ヴェンの交響曲の最後を飾るシラーの詩「歓喜の歌」だ 抱擁する恋人たちの姿は、純粋なる幸福への憧れが成就したことを示すーというものです

今回展示されているのは1984年製作の原寸大複製ですが、実際に展示室の中央に立って周囲の壁を見上げると圧倒されます

ところで、「甲冑を纏う強者」として描かれている男のモデルは誰か?といえば、ミシェル・マリー監督映画「クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代」の中で、20世紀末の音楽界で先進的な作曲家・指揮者として名を馳せていたグスタフ・マーラー(1860‐1911)であることが明かされています  

 

     

 

この展覧会では、①クリムトとその家族、②修業時代と劇場装飾、③私生活、④ウィーンと日本1900、⑤ウィーン分離派、⑥風景画、⑦肖像画、⑧生命の円環 という区分けにより展示されています クリムトがいかに多種類の絵画を描いていたかが俯瞰できます

 

     

 

ところで、「ウィーン分離派会館」で思い出すことがあります 1986年4月~5月のゴールデンウィークの時、モーツアルトの墓参りをするいう名目でオーストリアに行ったのですが、ウィーン空港から市内のホテルに行く途中、頭が金ピカのこの建物が目に入りました この時は何の知識もなく、どこかの新興宗教の総本山かも、と思っていました その後、これがクリムトなどに深いゆかりの深い建物であることを知り、「あの時、知っていれば訪ねたのになあ」と悔しい思いをしました。ついでに言えば、旅行から帰ってきて新聞やテレビを観たら、旅行中にチェルノブイリ原発事故が起こり、ヨーロッパ諸国を巻き込んで大変な騒ぎになっていることを知りました オーストリアの新聞やテレビは見なかったので全然気が付きませんでした この時ほど「知らないことほど怖いものはない」と思ったことはありません

 

     

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする