人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ユベール・スダーン ✕ 菊池洋子 ✕ 東京交響楽団でシューマン「ピアノ協奏曲」、同「マンフレッド序曲」、チャイコフスキー「マンフレッド交響曲」を聴く / 須田祥子さんと川田知子さん 似てる?

2019年06月16日 08時08分44秒 | 日記

16日(日)その2.よい子は「その1」も見てね。モコタロはそちらに出演しています

昨日の日経朝刊最終面のコラム「交遊抄」に東京フィルの首席ヴィオラ奏者・須田祥子さんがエッセイを寄せています 超訳すると

「毎年ゴールデンウィークに宮崎県で開催されている宮崎国際音楽祭に初めて参加したのは2001年だった。当時は若手の25歳だった 別の奏者の代役だったが、その時に出会い親友になったのがヴァイオリニストの川田知子さんだった。川田さんは8歳年上だが、サバサバしている性格が自分と似ていた 2人でいると音楽の話もするが、年を重ねたせいか、健康の話題が多くなった。身体のケア、歩き方、楽器の持ち方まで、身体にガタが来る前にいろいろ試してみようと試行錯誤している 演奏家は身体を酷使するアスリートでもある。プロ意識が高い川田さんの考えや実直な姿勢は勉強になる 最近は性格だけでなく顔つきも似てきたらしく、よく本物の姉妹だと間違えられる

演奏家は身体を酷使するアスリートでもある」というのはその通りかもしれません 1回のコンサートをこなしたら体重がかなり減るのではないかと想像します ダイエットにはいいかも それにしても、須田さんと川田さんの顔つきが似てきて本物の姉妹だと間違えられる、というのは意外でした 最近 川田さんの演奏姿を見る機会がないので分かりませんが、それほど似ているとすれば、須田さんの独特なヘアスタイルで区別するしかないのかな、と思ったりしました

 

         

 

昨夕、サントリーホールで東京交響楽団の第671回定期演奏会を聴きました プログラムは①シューマン「マンフレッド」序曲、②同「ピアノ協奏曲 イ短調 作品54」、③チャイコフスキー「マンフレッド交響曲 作品58」です   ②のピアノ独奏=菊池洋子、指揮=ユベール・スダーンです

 

     

 

東響はいつもの編成で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという並びです が、コンマスがいつもと違います 郷古廉(ごうこ すなお)が客員コンマスとしてスタンバイします 1993年宮城県生まれ。2013年のティボールヴォルガ国際ヴァイオリンコンクールで優勝を果たした実力者です 最近では2017年から19年まで「東京・春・音楽祭」でベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会」を成功させたばかりです 彼の客員は近い将来の人事案件の前触れでしょうか まったく不明です

1曲目はシューマン「マンフレッド」序曲です この曲はロベルト・シューマン(1810-1856)がイギリスの詩人バイロンの詩劇「マンフレッド」に触発されて1848年から49年にかけて作曲した劇音楽の序曲です

スダーンの指揮で演奏に入りますが、奥田佳道氏の書かれた「プログラム・ノート」にあるような「何かに駆り立てられ、表情を刻々変えながら疾走するオーケストラ。情熱も葛藤もお任せあれ」という表現がピッタリの曲想です 自分の言葉で言い表せば、「ノンストップ・ロマンティック・ミュージック」です

2曲目はシューマン「ピアノ協奏曲 イ短調 作品54」です この曲はシューマンが1841年に第1楽章を、1845年に第2・3楽章を作曲した作品で、1845年12月4日にドレスデンでクララ・シューマンのピアノ独奏、フェルディナント・ヒラーの指揮で初演されました その後1853年に改訂されています 第1楽章「アレグロ・アフェットゥオーソ」、第2楽章「間奏曲:アンダンティーノ・グラツィオーソ」、第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

ソリストの菊池洋子が赤の鮮やかな衣装で登場、ピアノに向かいます この人は背が高く、スタイルが良いのでステージ映えします それだけに、背の低い指揮者は彼女と積極的に協演しようとは思わないかも知れません これは個人の考えですが

実は、ロマン派のピアノ協奏曲の中で、私が一番好きなのはシューマンのこの曲なのです とくに第3楽章の後半などは猛烈に好きです 菊池洋子 ✕ スダーン ✕ 東響の演奏はテンポ感も良く、ピアノもオケも良く鳴り、申し分ありませんでした 第3楽章などは(靴の中で)足で拍子をとっていました 他人に迷惑をかけていません。足からず

 

     


プログラム後半はチャイコフスキー「マンフレッド交響曲 作品58」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が1885年に作曲し 1886年にモスクワで初演されました   正式な曲名は「マンフレッド、バイロンの劇詩による4つの音画の交響曲」です ロシア作曲界の重鎮バラキエフの勧めで作曲したもので、人生に対する疑問から、アルプス山中をさまようマンフレッドが出逢う様々な体験をベルリオーズ風な固定概念の手法で綴った標題音楽です

第1楽章「レント・ルグブレ(悲痛な):アルプスの山中をさまようマンフレッド」、第2楽章「ヴィヴァーチェ・コン・スピリト:アルプスの妖精」、第3楽章「アンダンテ・コン・モート:山岳人の自由な生活」、第4楽章「アレグロ・コン・フォーコ(炎のごとく):アリマ―ナの地下宮殿」の4楽章から成ります

スダーンの指揮で第1楽章が開始されます 冒頭、バスクラリネットとファゴットにより「マンフレッドの主題」が演奏されますが、この主題がすべての楽章に出てきます 次いで弦楽器によって「嘆きのテーマ」とでも呼びたくなるような深く感動的なメロディーが奏でられますが、この演奏を聴いて、すっかり「マンフレッド」の世界に引き込まれました 今まで2度ほど生演奏でこの曲を聴きましたが、どうもイマイチ本心から良い曲だとは思えませんでした しかし、スダーンの指揮で聴いて、初めて「ああ、この曲はこういう風に演奏するのが正しいんだな」と納得できました スダーンは音のうねりを作り出すのがうまく、ダイナミックでドラマティックな音楽作りをします そこに、わざとらしさはなく、音楽の流れが自然です 

この楽章のフィナーレ近くでホルンがベルアップ奏法をしていたのが新鮮でした マーラーの交響曲ではよく見かけますが、チャイコフスキーでは初めて見ました

第2楽章は実質的なスケルツォですが、フィナーレ部分でコンマスと第2ヴァイオリン首席との間で交わされる弱音の会話が、メンデルスゾーンのスケルツォのようで面白かったです

第3楽章はパストラーレ(田園)風の音楽が支配します オーボエやフルートが美しいソロを聴かせます

第4楽章は標題にあるような「炎のごとく」激しい音楽です まるでベルリオーズ「幻想交響曲」の最終楽章の世界です この日の演奏は「原典版」によるもので、オルガンは使用されず、第1楽章の終結部が繰り返され、劇的に終わりを告げます 過去に聞いたのはオルガンが入る「改訂版」でした。どちらも良いと思いますが、今回の演奏を聴くと「原典版」の方が良いと納得させられます

曲全体を聴いてあらためて思うのは、「メロディーメーカー」チャイコフスキーです「マンフレッド交響曲」の作曲時期は、交響曲第4番と第5番の間に当たりますが、第6番を含めたチャイコフスキーの三大交響曲と比べてみても、決して劣らない魅力的なメロディーに溢れた傑作だと思います。この日の演奏を聴いてそう思いました

私は十数年前から東京交響楽団の定期会員を継続してきましたが、その最大の理由は歴代の音楽監督が素晴らしいからです 初代の秋山和慶、2代目のユベール・スダーン、そして3代目のジョナサン・ノット、みんな好きです

これまでスダーンの指揮で聴いたコンサートで、ハズレは一つもなかったな、とあらためて思いました

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「Enjoy!室内楽アカデミー・フェロー演奏会」を聴く ~ ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第7番」、シューベルト「ピアノ三重奏曲第2番」、ドヴォルザーク「ピアノ五重奏曲第2番」他より抜粋

2019年06月16日 07時23分53秒 | 日記

16日(日)その1.わが家に来てから今日で1717日目を迎え、麻生太郎財務相は14日の衆院財務金融委員会で、立憲民主党会派の大串氏が「年金を受け取っているか」と質問したのに対し、「受け取っていないと思います」と答弁した後、「(受給するかどうかは)秘書に任せているので、私には正確な記憶がない」と答弁したと いうニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     さすがは庶民の暮らしを知らない麻生大臣だ はした金など秘書に任せとけってか

 

         

 

昨日、午前11時からサントリーホール「ブルーローズ」で「Enjoy!室内楽アカデミー・フェロー演奏会」を、午後6時から同・大ホールで東京交響楽団定期演奏会を聴きました ここでは「Enjoy!室内楽アカデミー・フェロー演奏会」について書きます

プログラムは①ベートーヴェン「弦楽四重奏曲 第7番 ヘ長調 作品59‐1 ”ラズモフスキー第1番” 」より第1楽章・第4楽章、②シューベルト「ピアノ三重奏曲 第2番 変ホ長調 D.929」より第2楽章・第4楽章、③ドヴォルザーク「ピアノ五重奏曲 第2番 イ長調 作品81」より第1楽章、④ドビュッシー「弦楽四重奏曲 ト短調 作品10」より第1楽章・第3楽章・第4楽章、⑤チャイコフスキー「弦楽六重奏曲 ニ短調 作品70 ”フィレンツェの思い出” 」より第4楽章です

 

     

 

自席はC6列12番、センターブロック右通路側です    梅雨で雨の降る中けっこうな聴衆が集まりました

1曲目はベートーヴェン「弦楽四重奏曲 第7番 ヘ長調 作品59‐1 ”ラズモフスキー第1番” 」より第1楽章「アレグロ」、第4楽章「アレグロ」です

この曲はクス・クァルテットの演奏で聴いたばかりです

演奏はクァルテット・インテグラです。2015年4月に桐朋学園に在学中の学生で結成したとのことです。メンバーは第1ヴァイオリン=三澤響果、第2ヴァイオリン=菊野凛太郎、ヴィオラ=山本一輝、チェロ=築地杏里です

冒頭のチェロの主題が雄渾で、全体的に爽やかな演奏で良かったと思います

2曲目はシューベルト「ピアノ三重奏曲 第2番 変ホ長調 D.929」より第2楽章「アンダンテ・コン・モト」、第4楽章「アレグロ・モデラート」です

演奏はトリオ・ムジカです。2018年に東京藝大の同期生で結成したとのことです。メンバーはヴァイオリン=柳田か那子、チェロ=田辺純一、ピアノ=岩下真麻です

第2楽章は冒頭のチェロの独奏、それに続くピアノの演奏が特に良かったです。シューベルト特有の孤独感、うら悲しさが良く出ていました。第4楽章では3人のアンサンブルが見事でした

3曲目はドヴォルザーク「ピアノ五重奏曲 第2番 イ長調 作品81」より第1楽章「アレグロ、マ・ノン・タント」です

演奏は第1ヴァイオリン=アレクサンダー・シトコヴィツキー、第2ヴァイオリン=若杉知怜、ヴィオラ=佐川真理、チェロ=田辺純一、ピアノ=ダイアナ・ケトラーです シトコヴィツキーとケトラーの二人はアンサンブル・ラロのメンバーで、ともに英国王立音楽院教授を務めています

この曲では何と言っても第1ヴァイオリンのシトコヴィツキーのリードが凄い 彼の情熱に触発されて他のメンバーが熱量の高い演奏を展開しているように見えます 厚みのあるアンサンブルが見事でした


     


休憩後の1曲目はドビュッシー「弦楽四重奏曲 ト短調 作品10」より第1楽章「活き活きと、きわめて決然として」、第3楽章「アンダンティーノ:甘く表情豊かに」、第4楽章「きわめて穏やかに~極めて躍動して~少しずつ動きをつけて~極めて躍動的に」です

この曲については、前の曲でチェロを演奏した田辺君がマイクを持って「ドビュッシーは多くの作品の中でこの曲にだけ作品番号(10番)を付けていますが、これはデタラメな番号で、作曲順に並べると80番目くらいになります。これは従来の慣習に囚われない異端児ドビュッシーの冗談とも皮肉とも取れます」と解説してくれました 聴く側としては、こういう解説こそ望ましいと思います

演奏はクァルテット・ポワリエです。2018年に桐朋学園大学の在学生と卒業生で結成したとのことです メンバーは第1ヴァイオリン=宮川莉奈、第2ヴァイオリン=若杉知怜、ヴィオラ=佐川真理、チェロ=山梨浩子です

第1楽章はドビュッシー特有の浮遊感が良く出た演奏で、第3楽章は弱音がとても美しい演奏、第4楽章は躍動感あふれる演奏でした

最後の曲はチャイコフスキー「弦楽六重奏曲 ニ短調 作品70 ”フィレンツェの思い出” 」より第4楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」です

演奏は第1ヴァイオリン=アレクサンダー・シトコヴィツキー、第2ヴァイオリン=内野祐佳子、第1ヴィオラ=ラズヴァン・ポポヴィッチ、第2ヴィオラ=渡辺咲耶、第1チェロ=牟田口遥香、第2チェロ=ベルンハルト・直樹・ヘーデンボルクです。ポポヴィッチとヘーデンボルクはシトコヴィツキーと同じアンサンブル・ラロのメンバーです

この曲でも第1ヴァイオリンのシトコヴィツキーのリードが凄い 隣で演奏する内野祐佳子さんの演奏も凄い 弦楽四重奏から楽器を2つ増やした弦楽六重奏曲による推進力に満ちた分厚い音楽の醍醐味を十二分に味わうことが出来ました

終演は午後1時5分でした 一旦家に引き上げ、夕方再びサントリーホールに向かい、東京交響楽団の定期演奏会を聴くことにしました

 

     

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする