人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「サントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデン フィナーレ2019」を聴く~ドホナーニ「六重奏曲」、アレンスキー「弦楽四重奏曲第2番」他 / 名演出家 フランコ・ゼフィレッリ氏逝く

2019年06月17日 07時24分03秒 | 日記

17日(月)。わが家に来てから今日で1718日目を迎え、日本中央競馬会は15日、競走馬の飼料添加物から禁止薬物が検出されたため、同添加物を購入した28厩舎に所属する計156頭を競走除外とし、15、16日の函館、東京、阪神競馬に出走させない措置を取った というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

         馬にとっては「馬の耳に念仏」だな  ぼくのおやつには薬物入ってないよね?

 

         

 

昨日の朝日朝刊社会面に「ゼフィレッリさん死去 映画『ロミオとジュリエット』監督 96歳」という記事が載っていました 超訳すると

「イタリアのメディアによると、映画監督でオペラ演出家のフランコ・ゼフィレッリさんが15日、ローマの自宅で死去した。96歳だった 1923年、フィレンツェ生まれ。巨匠ルキノ・ヴィスコンティの下で舞台美術や映画監督の仕事に携わった。68年の英伊合作映画『ロミオとジュリエット』で成功を収めた オペラの演出も手掛け、米国のメトロポリタン歌劇場でのプッチーニ『トゥーランドット』や、伊ミラノ・スカラ座でのヴェルディ『アイーダ』など、絢爛豪華な舞台で世界的に知られるようになった 『アイーダ』は新国立劇場開場記念の98年のほか、10周年、20周年などの公演でも上演された

 

     

 

私が生の公演で観たオペラは、メトロポリタン歌劇場の来日公演(2011年)でのプッチーニ「ラ・ボエーム」、新国立劇場でのヴェルディ「アイーダ」です このほかMETライブビューイングでは「ラ・ボエーム」「トゥーランドット」「アイーダ」を観ました ゼフィレッリの舞台美術でよく言われるのは、「リアルな細部にこだわる」ということです その意味では、時代劇映画でタンスが出てくるシーンでは、タンスの中に本物の着物を入れておくなど、目には見えないところにも細心の注意を払っていたという世界の巨匠・黒澤明監督に共通していると思います

いつかどこかでゼフィレッリの舞台美術による「トゥーランドット」をライブで観るのが私の目下の夢です

 

         

 

昨日、サントリーホール「ブルーローズ」で「サントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデン フィナーレ2019」を聴きました   プログラムは①グリンカ「ベッリーニの『夢遊病の女』の主題による『ディヴェルティメント・ブリッランテ』変イ長調」、②ロッシーニ「チェロとコントラバスのための二重奏曲 ニ長調」、③バルトーク「弦楽四重奏曲 第2番」より第2楽章、④コミタス(アスラマジャン編曲)「アルメニア民族音楽14の小品」より「私の赤いハンカチーフ」、「雲」「祭りの歌」、⑤チャイコフスキー(ドゥビンスキー編曲)「子どものアルバム」作品39より「フランスの古い歌」「優しい夢」「民謡」、⑥ツィンツァーゼ「ジョージア民謡による小品」より「口うるさい女房」「蛍」「田舎の踊り」、⑦ドホナーニ「六重奏曲ハ長調作品37」より第1・4楽章、⑧バーバー「弦楽のためのアダージョ」、⑨エルガー「序奏とアレグロ」作品47、⑩マルティヌー「四重奏曲H.139」、⑪アレンスキー「弦楽四重奏曲 第2番 イ短調 作品35」より第2・3楽章です

出演は、ヴァイオリン=池田菊衛、内野祐佳子、宮川莉奈、ヴィオラ=磯村和英、チェロ=堤剛、毛利伯郎、コントラバス=池松宏、クラリネット=コハーン・イシュトヴァ―ン、ホルン=福川伸陽、パーカッション=竹島悟史、弦楽四重奏=クズ・クァルッテット、ピアノ四重奏=アンサンブル・ラロ、アンサンブル=サントリホール室内楽アカデミー選抜アンサンブル、指揮=原田幸一郎です

 

     

 

自席はC7列12番、センターブロック右通路側。会場は文字通り満席です 

1曲目はグリンカ「ベッリーニの『夢遊病の女』の主題による『ディヴェルティメント・ブリッランテ』変イ長調」です この曲はロシアの作曲家ミハイル・グリンカ(1804-1857)が、イタリアの作曲家ベッリーニの歌劇「夢遊病の女」(1831年初演)の音楽をもとに作曲した作品です 第1楽章「ラルゲット~モデラート~アレグレット」、第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」、第3楽章「ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

演奏はピアノ五重奏=アンサンブル・ラロ、ヴァイオリン=宮川莉奈(桐朋学園)、コントラバス=池松宏(都響)です。アンサンブル・ラロは2004年結成のピアノ四重奏団で、メンバーはヴァイオリン=アレクサンダー・シトコヴェツキ―、ヴィオラ=ラズヴァン・ポポヴィッチ、チェロ=ベルンハルト・直樹・ヘーデンボルク、ピアノ=ダイアナ・ケトラーです

この曲では第1楽章の冒頭からダイアナ・ケトラーのピアノが大活躍します 第2楽章では弦楽によるカンタービレが美しく響きます 第3楽章は出演者が楽し気に演奏している様子が窺えほほえましく感じました

2曲目はロッシーニ「チェロとコントラバスのための二重奏曲 ニ長調」です この曲はジョアッキーノ・ロッシーニ(1792‐1868)が作曲した作品で、第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ・モッソ」、第3楽章「アレグロ」の3楽章から成ります

チェロ=堤剛、コントラバス=池松宏の二人によって演奏されますが、第1楽章は高音部が厳しそうでしたが、第2楽章はゆったりした流れなので低音の魅力が発揮されました 第3楽章を聴きながら、なぜロッシーニはチェロとコントラバスという組み合わせの曲を書いたんだろう、と不思議に思いました 当時、身近に名手がいたに違いありません

3曲目はバルトーク「弦楽四重奏曲 第2番」より第2楽章「アレグロ・モルト・カプリッチョ―ソ」です この曲はベラ・バルトーク(1881-1945)が1914年から17年にかけて作曲した作品です

演奏は桐朋学園に在学中に学生で結成されたユニット、クァルテット・インテグラです メンバーは第1ヴァイオリン=三澤響果、第2ヴァイオリン=菊野凛太郎、ヴィオラ=山本一輝、チェロ=菊地杏里です。前日のコンサートでバート―ヴェン「ラズモフスキー第1番」の第1楽章と第4楽章を演奏したユニットです

冒頭から荒々しくも集中力に満ちた切れ味鋭い演奏が展開します 前の曲が低音楽器の組み合わせによる比較的穏やかな作品だったのに対し、この曲はテンポの速い起伏の激しい作品なので、そのコントラストが鮮明でした

次は今年の「ベートーヴェン・サイクル」を完奏したクス・クァルテット(第1ヴァイオリン=ヤーナ・クス、第2ヴァイオリン=オリヴァー・ヴィレ、ヴィオラ=ウィリアム・コールマン、チェロ=ミカエル・ハクナザリアン)による演奏です

ヴァルダペット・コミタス(1869-1935)作曲アスラマジャン編曲「アルメニア民族音楽14の小品」より「私の赤いハンカチーフ」「雲」「祭りの歌」、②ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)作曲ドゥビンスキー編曲「子どものアルバム」作品39より「フランスの古い歌」「優しい夢」「民謡」、③スルハン・ツィンツァーゼ(1925-91)作曲「ジョージア民謡による小品」より「口うるさい女房」「蛍」「田舎の踊り」が続けて演奏されました

流石だと思ったのはチャイコフスキーの作品で、このような小さな曲から交響曲やオペラに至るまで、まさに「メロディーメーカー」を思わせる見事な音楽作りです ツィンツァーゼの作品では「口うるさい女房」が面白く聴けました

プログラム前半の最後はドホナーニ「六重奏曲ハ長調作品37」より第1楽章「アレグロ・アパッショナート」、第4楽章「アレグロ、ヴィヴァーチェ・ジョコーソ」です この曲はハンガリーの作曲家エルネ―・ドホナーニ(1877‐1960)が1935年に作曲した作品です

アンサンブル・ラロの4人、クラリネットのコハーン・イシュトバーン、ホルンの福川伸陽の演奏で第1楽章に入ります ピアノに導かれてホルンが朗々と奏で、クラリネットが続きます この曲は長調の作品ですが、ほの暗さを感じさせる曲想です。しかし、第4楽章は一転、弾むようなピアノの主題に乗り、ホルンとクラリネットが、次いで弦楽合奏が嬉々として推進力に満ちた演奏を展開します イシュトバーンと福川氏は演奏中に顔を見合わせてニヤリとしたりして実に楽しそうです これは他のメンバーも同様で、演奏する喜びに満ち満ちていました この演奏はこのコンサートの白眉でした


     


プログラム後半の1曲目はバーバー「弦楽のためのアダージョ」です この曲はアメリカの作曲家サミュエル・バーバー(1910-81)が1937年に作曲した「弦楽四重奏曲第1番」の第2楽章を弦楽合奏用に編曲したものです 1938年にアルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団によって初演されました

演奏はチェンバーミュージック・ガーデン・アンサンブル(受講生たち)、コンミスは桐朋学園の内野祐佳子、指揮は原田幸一郎(元・東京クワルテット)です

30人近くの受講生たちのほとんどは女性奏者で、男性は3人のみです。現在の音楽大学の実相を凝縮しているかのような男女構成です 緻密なアンサンブルによる しみじみと静かな感動を呼ぶ演奏でした

後半2曲目はエルガー「序奏とアレグロ」作品47です この曲はエドワード・エルガー(1857-1934)が1904年から翌05年にかけて作曲した作品です

演奏はヴァイオリン=内野祐佳子、池田菊衛、ヴィオラ=磯村和英、チェロ=毛利伯郎、弦楽合奏=チェンバーミュージック・ガーデン・アンサンブル、指揮=原田幸一郎です

弦楽四重奏を弦楽合奏が囲んで演奏するコンチェルト・グロッソのスタイルを踏襲した構成です 原田氏の指揮で演奏に入りますが、序奏は魂のこもった渾身の演奏で、分厚い弦楽合奏によりアレグロに繋がれます とても聴きごたえのある熱量の高い演奏でした

3曲目はマルティヌー「四重奏曲H.139」です この曲はチェコの作曲家 ボフスラフ・マルティヌー(1890-1959)が作曲した作品で、クラリネット、ホルン、チェロ、スネアドラムという変わった組み合わせの曲です

第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「ポコ・アンダンテ」、第3楽章「アレグレット・マ・ノン・トロッポ」の3楽章から成ります

演奏はクラリネット=コハーン・イシュトバーン、ホルン=福川伸陽、チェロ=毛利伯郎(元・読響ソロ)、パーカッション=竹島悟史(N響)です

冒頭からスネアドラム(小太鼓)が活躍する曲ですが、全体的に軽妙洒脱な曲想でした

最後の曲はアレンスキー「弦楽四重奏曲 第2番 イ短調 作品35」より第2楽章「モデラート」、3楽章「アンダンテ・ソステヌート~アレグロ・モデラート」です この曲はロシアの作曲はアントン・アレンスキー(1861-1906)が1894年に作曲した作品ですが、通常の弦楽四重奏曲と異なり、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ2挺という編成です

演奏はヴァイオリン=アレクサンダー・シトコヴェツキ―、ヴィオラ=ラズヴァン・ポポヴィッチ、チェロ=ベルンハルト・直樹・ヘーデンボルク、堤剛です

第2楽章はヴァイオリンと2本のチェロとの対話が楽しく聴けました 演奏の白眉は第4楽章です。フーガにより華やかな演奏が繰り広げられますが、どうもどこかで聴いたようなメロディーです よくよく考えてみたら、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第8番「ラズモフスキー第2番」の第3楽章「アレグレット」の中間部で演奏されるロシア民謡(皇帝讃歌)でした ベートーヴェンがなぜ第8番の弦楽四重奏曲でこの「ロシア民謡」のメロディーを使用したかと言えば、第7番から9番までの弦楽四重奏曲の作曲の依頼者がウィーン駐在ロシア大使ラズモフスキー伯爵だったからです ロシアの作曲家アレンスキーが同じメロディーを使用したとしても不思議ではありません この曲ではそのメロディーをゆったりしたテンポで演奏しています フィナーレは熱狂的に盛り上がって曲を閉じました

終演は午後5時4分でした。これをもって「サントリホール  チェンバーミュージック・ガーデン2019」も終了です 今年は6月2日から16日までの15日間で14公演聴きましたが、このうち7日から16日までの10日間は毎日サントリーホールに通いました。これは自己新記録かも知れません

というわけで 先週はとても疲れたので、今日は家で明日以降のコンサートで聴く曲のCDを聴いて予習をしながら読書をしようと思っています

 

     

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