人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

カラヤンとデュメイ~あれから30年

2011年05月23日 11時56分06秒 | 日記
23日(月)。けさの日経最終面のコラム「交遊抄」にバイオリニストのオーギュスタン・デュメイが「巨匠のアドバイス」という短文を寄せています。巨匠とはクラシック音楽界で一世を風靡したヘルベルト・フォン・カラヤンのことです。

「デュメイがレコード収録のためEMIで演奏していると、たまたま居合わせたカラヤンが「ベルリン・フィルで一緒に演奏しないか」と声をかけてきた。当時デュメイは30歳、カラヤンは70歳を超えていた。その1週間後にカラヤン指揮ベルリン・フィルと共演した。この時の大成功から年に数回、仕事の誘いを受けるようになった。カラヤンは独裁的だとか、権威主義だとかいわれていたが、実際にはシャイで若い音楽家を長い目で育てたいと真剣に考えている人だった」

まともに考えてみて、出会って1週間後にベルリン・フィルと共演なんて有り得ない話です 多分、ソリストの誰かが急に出演できなくなり(原発ではないでしょうが)、代演を立てなくてはならなくなったのだと思います。そこで、以前から目を付けていたデュメイに声を掛けたのでしょう。ただ、相当の実力がなければ声は掛からなかったでしょうが。

その2年後に、彼はカラヤンから1つのアドバイスをもらったといいます。「君は一生バイオリニストとして活躍するだろう。だが、指揮者もやるといい。オーケストラには大局観と演奏技術を併せ持つ指揮者が必要だ。君にはそれがある」と。

その言葉から30年経った今、デュメイは関西フィルの音楽監督を務めています。関西に拠点を置くオーケストラということもあり、残念ながらまだ彼の指揮者姿を見る機会はありません。その前にバイオリニストとしての生演奏を聴いてみたいと思います。

デュメイといえば名演がいくつかありますが、個人的には彼のブラームスは素晴らしいと思います。ピアノ三重奏曲(チェロ=ワン、ピアノ=ピリス)、バイオリン・ソナタ(ピアノ=ピリス)。なんといっても悠然と流れるテンポ感が素晴らしい



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疲れすぎて眠れぬ夜のために~内田樹さんの本から

2011年05月22日 17時56分01秒 | 日記
22日(日)その2.最近読んだ本は①誉田哲也「月光」②万城目学「プリンセス・トヨトミ」③内田樹「疲れすぎて眠れぬ夜のために」④角田光代「八日目の蝉」で,いま佐藤正午の「象を洗う」を読んでいます.今日は内田樹(うちだ・たつる)「疲れすぎて眠れぬ夜のために」を取り上げます.

著者の内田さんは神戸女学院大学文学部教授で,専門はフランス現代思想,武道論,映画論などです.この本は今から8年前の2003年5月に単行本として出版され,その後文庫本化されたエッセー集です.

読んでいて「なるほど」と思うところが少なくないのですが,その一つに「フランス人の愛想の悪さ」があります.
「フランスに行ってびっくりすることの一つは,ふつうの小売店の売り子さんたちの態度があまりに悪いことです あまりのことに”なんでこんなにフランスの人たちというのは愛想悪いんですか”って訊いたら,フランスの友人が”サービスというのは奴隷が主人に向かってすることだっていう意識があるからだ”という説明をしてくれました.”目上の人に向かって,権力関係の中で自分が下位にあるので,止む無くするのがサービスというふうに考えているから,対等な人間だとか,あるいは自分が上だと思っていたい人は,出来るだけ愛想悪くするように努力しているんだ”と.」

このくだりを読んで,20数年前のことを思い出しました.ドゴール空港でノドが乾いたので立食の売店でオレンジ・ジュースを注文したのですが,売り子が2人いるのにこちらを見向きもしないでぺチャぺチャおしゃべりをしているのです 何回か英語で話しかけたのですが,だめでした.フランス人はプライドが高いからフランス語で話さないと相手にしてくれない,と聞いていたのでその時は諦めました.内田さんの見解によると,それだけではないようです

「ビジネスとレイバーの違い」というのもおもしろいです.
「気付いていない人が多いのですが,ビジネスの愉しさは,お金が儲かることではなく,何か新しいことをすると,その結果がすぐに出る,その反応の速さにあります.ビジネスは自分自身が変化したり工夫したりしたことの結果がすぐに評価される.自分自身の仕事のクオリティがとりあえずすぐに検算できる世界です.レイバーはそれとは違います.2つとも仕事と訳されますが,この2つは違うものです.今の若い人たちの多くは「仕事」というと「レイバー」しか知りません.暮らしていける最低限のレイバーだけして,お金を稼いで後は好きなことをして暮らしたい.それなら,働くのは時間の空費であり,苦役でしょう.そんなものなら嫌いで当然です.マニュアルがきちんと決まっているアルバイトの場合は,10年間やっても多分それを通じて社会的なスキルが身につくとか,人間的な成長を遂げるということは期待できないでしょう.ビジネスとレイバーの違いはどこにあるのでしょう.それは「リスク」と「責任」ということにかかわってきます.ビジネスにおいては,リスクを取る人間が決定を下します.デシジョン・メイキングはリスク・テイキングと表裏一体です.リスクを取ることと引き換えに決定権を受け取り,それが成功したら報酬が得られる.失敗したら責任を取らされる.単純な話です」

これなども,なるほどと思います そうは言うものの,自分の好きなことや得意とすることが,そのまま仕事に直結している人は数えるほどしかいないのではないか,とも思います.ほとんどの人が,本当にやりたいことは別にあるけれども,能力の限界,生活のため,といった理由で,どこかで自分自身に”折り合いをつけて”仕事をしているのだと思います.ただ,仕事に限らず,社会的なスキルを身につけ,人間的な成長を目指すことは大事なことだと思いますが.

この本のタイトルは「疲れすぎて眠れぬ夜のために」ですが,じっくりと読んでいくと「疲れすぎて眠れぬ夜に」なってしまいます.テキトーにすっ飛ばして読みましょう




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しあわせの雨傘~カトリーヌ・ドヌーブ再び

2011年05月22日 16時12分04秒 | 日記
22日(日).飯田橋ギンレイ・ホールでフランス映画「しあわせの雨傘」を観てきました.主演は60年代に一世を風靡した「シェルブールの雨傘」のヒロイン:カトリーヌ・ドヌーブです.

傘工場を経営する夫のロベールが,経営悪化による組合のストライキのショックで心臓発作を起こし,急きょ経営も何も知らないブルジョワ主婦の妻スザンナが工場を経営することになります.夫の強権的なやり方に対し従業員の声を聞いて経営する方針が受け,経営は順調に行きます.ところが,夫の健康が回復し再び社長に返り咲きを狙います結局スザンナは国会議員に立候補して当選して自分のしあわせをつかみます.時代設定は1970年代の後半で,ちょうど女性の社会進出がさかんに主張されたころの話です.

それにしても,ドヌーブはいつまでも若くて美しいです.と書いたところで「シェルブールの雨傘」を1度も見ていないことにハタと気がつきました.最後に彼女が歌を歌うシーンがあって,すごく上手なのですが,それもそのはず「シェルブールの雨傘」はミュージカル仕立ての映画でしたね.

映画が終わって,巣鴨まで戻り,西友で買いものをして外に出ると何と雨が降っていました.天気予報では確かに午後雨が降ると言っていたのに,バッグに折りたたみ傘を入れるのを忘れていたのです しばらく店先で雨宿りしました.その時,暇にまかせて考えたクイズがこれです・・・「折りたたみ傘を英語で何というか?」

そういえば今思い出しました.映画館に行く前に時間があったので近くの「ベローチェ」でコーヒーを飲んだのですが,BGMに「シェルブールの雨傘」のテーマ音楽が流れてきたのです 偶然とは言え驚きました.

横殴りの雨がなかなか止みません.つくづく思いました「シェルブールのでなくてもいいから,雨傘が欲しい

さて,先ほどのクイズ「折りたたみ傘を英語で何というか?」の答え.「ハンブレラ」です.アンブレラの半分の大きさですから








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三村奈々恵のマリンバ~東京フィル文京シビック・シリーズ

2011年05月21日 18時45分13秒 | 日記
21日(土)その2.午後文京シビックホールで東京フィル「響きの森クラシック・シリーズVol.36」の演奏会を聴きましたプログラムは①エルガー「行進曲:威風堂々第1番」②吉松隆「マリンバ協奏曲”バード・リズミクス」③レスピーギ「リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲」④レスピーギ「交響詩:ローマの松」の4曲です。

エルガーの「威風堂々」は、英国ノーザン音楽院指揮科を卒業した藤岡幸夫が得意とする曲。堂々たる演奏です。まずは小手調べといったところでしょうか。

吉松隆の「マリンバ協奏曲」の独奏は日経CNBCでお馴染の三村奈々恵。片手に2本ずつバチを持って、まるで自分の指のように自由自在にマリンバ特有の軽やかな音を紡ぎだします。もちろんすべて暗譜です。信じられないテクニックです。この曲は「バード・リズミクス」という名前の通り鳥をテーマとした曲ですが、作曲家の吉松氏の解説によると「最初はモッキン(木琴)バード・リズム」と洒落たタイトルにしようと思ったそうですそれを理性で思いとどまったとのことです。木琴~でもよかったのに・・・・

第3楽章「鳥の饗宴」が圧倒的な迫力で終わると盛大な拍手が会場を満たしました。指揮者が会場を見渡していると思ったら、中年太りのひげのおっさん、もとい、立派な体格の髭の紳士が壇上に呼び出されました。作曲家の吉松隆さんでした。指揮者、ソリストと握手をして、重たい体を引きずって、もとい、堂々たる態度で、舞台の袖に引き上げて行きました。

レスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア」は弦楽だけの合奏曲です。この第3曲「シチリアーノ」はNHK・FMのクラシック音楽番組のテーマ・ミュージックに使われていました全体が静かでいい曲です。

最後の「ローマの松」は第1曲目の「ボルジア荘の松」の出だしから”イタリア”という音楽です。太陽さんさん、底抜けに明るいイタリアオケも最初からテンション全快です。最後の「アッピア街道の松」では、会場後ろの左右にトランペットが配置され、サラウンド効果バツグンの迫力で聴衆を圧倒しました。

アンコールには、マスカーニの歌劇「カバレリア・ルスティカーナ」の間奏曲が弦楽によって演奏されました。とても感動的な曲で、「お葬式の時にはお経はいらないから、この曲を流してほしい」という方もいます。

  
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ミューザ川崎コンサートホール~これほどひどい被害状況とは!・・・・東日本大震災を受けて

2011年05月21日 12時29分50秒 | 日記
21日(土)。定期会員になっている東京交響楽団からダイレクト・メールが届きました。チラシの1枚に同楽団の本拠地「ミューザ川崎シンフォニーホール」の被災状況の写真が載っていました。ひと目見て唖然としました。「天井の一部が落下したためホールが使用できなくなった」というニュースはいろいろなところで文字として見ていたのですが、今回初めて写真で見て、これほどひどい状況になっていたのかと驚きました。もし3月11日の夜にコンサートが入っていたら九段会館の天井落下事故と同じような惨事になっていたことでしょう。その場に自分が居たらと思うと背筋が寒くなりますいまあらためて地震は恐い、と思いました。

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ブラームス「ドッペル・コンチェルト」を聴く~新日本フィル第476回定期演奏会

2011年05月20日 23時18分53秒 | 日記
20日(金)その2.すみだトリフォニー・ホールで新日本フィルの第476回定期演奏会を聴きました。3月の大震災で公演が中止になった関係で、このホール(大)で新日本フィルの定期公演を聴くのは3か月ぶりです。

プログラムは①ドボルザーク「交響的変奏曲」②ブラームス「バイオリンとチェロのための二重協奏曲」(Vn:アリッサ・マルグリス、Vc:タチアナ・バシリエバ)③マルティヌー「交響曲第3番」の3曲。指揮はクリスチャン・アルミンク。バイオリンとチェロは原発レベル7の影響で当初の演奏者の代演です。

ドボルザークの「交響的変奏曲」は、プログラムの解説によれば「ボヘミアやウイーンなどの民族的素材を活かしながら、全体にチェコ的な感情を大らかに溢れる」曲らしいのですが、最初の部分を聴いた時には”日本人が作曲したのではないか”と思ってしまうほど日本人に馴染みのあるメロディーでした。ドボルザークってどの曲も親しみやすいですけどね。

ブラームスの「バイオリンとチェロのための二重協奏曲」は、ピアノ協奏曲やバイオリン協奏曲を作曲してきたブラームスにとって協奏曲として最後の曲ですが、全体的に交響曲のようなスケールの大きな曲です。ソリストの女性2人は、それぞれ真っ赤なドレスに身をつつんで颯爽と登場しました。2人とも背が高く大柄なこともあって、出てくる音楽もスケールが大きくブラームスにぴったりでした。チェロのバシリエバは先日のラ・フォール・ジュルネにも出演した実力者で、長い腕を活用して力強い演奏を聴かせてくれました。

マルティヌーの「交響曲第3番」は、指揮者アルミンクの解説によると「男性的で、戦闘的な感じがあり、暗い雰囲気だが、勇気がある」ということらしいのですが、聴いていると確かに”戦争の足音”が聞こえてきます。彼はナチスの迫害を避けて1941年にアメリカに逃れますが、この曲はクーセビツキーのボストン交響楽団指揮活動20周年の記念に献呈され、1945年10月12日にこのコンビによりボストンで初演されました。

ところで、他のオーケストラと違って新日本フィルの場合は、演奏者名とその楽器が舞台の配置図上に示されたフリップを用意してくれるので、今日はだれが何を演奏しているのかひと目でわかることです。地道な努力ですが、オーケストラと聴衆を結びつけるのに最も有効な方法だと思います。定期会員を減らさない有効な手段といっても良いかも知れません。他のオーケストラも見習ってほしいと思います

    


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「クローズアップ現代」キャスター・国谷裕子さんのこと

2011年05月20日 12時55分38秒 | 日記
20日(金)。昨日、日本記者クラブの会員総会・懇親会があり、今年度の日本記者クラブ賞を受賞したNHK「クローズアップ現代」のキャスター・国谷裕子さんが出席されました。この番組は毎週月~木の午後7時半からNHKで放映されており、今年2月に3000回を超えました。

懇親会で受賞のあいさつをされましたが、1987年にNHKBS1のニューヨーク駐在キャスターの誘いがあった時のNHKの殺し文句は「だれも見ていないから・・・」だったそうです。その後、88年からNHK総合テレビ「NHKニューストゥディ」、89年からBS1「ワールドニュース・世界を読む」の各キャスターを務め、1993年4月から「クローズアップ現代」のキャスターとなり、今年4月で19年目に入ったということです。

テレビはほとんど見ませんが、夜7時からのニュースとそれに続く「クローズアップ現代」はコンサートのない日に限り見ています。毎回、いろいろな分野の専門的な知識を要する最新のテーマを取り上げ、難しい問題を分かりやすい言葉に置き換えて解説してくれています。そうしたことがクラブ賞の受賞につながったのでしょう。

5月27日午後6時から「プレスセンター・ホール」でクラブ賞受賞記念講演会が開かれますが、一般からの応募はすでに定員オーバーとのことです。

国谷さんは、男性はもちろん、女性の憧れのマトでもあるようです。働く女性の目標とでも言ったらよいでしょうか。本当にすごい人だと思います。
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オペラへの招待~入門者のために

2011年05月19日 07時14分26秒 | 日記
19日(木)。6月にはニューヨークのメトロポリタン歌劇場が、9月にはイタリアのボローニャ歌劇場とドイツのバイエルン国立歌劇場が、それぞれ来日公演を挙行します一方、国内では新国立劇場が年10回のペースで定期公演を実施しています。まだオペラを聴いたことのない人や昔聴いたきりご無沙汰している人にとっては、どの公演を選んだら良いのか迷うところでしょう。そこで、オペラ入門者のために私なりのアドバイスを書いてみようと思います。

「1度だけ、世界的に名の通った歌劇場のオペラ公演を聴いて、それを一生の思い出にしたい」という人は、それでいいと思います。S席5~6万円の席を取ってゆったりと聴いてほしいと思います。

ここでは、これからオペラと長く付き合って行きたいと思っている人に向けてアドバイスしたいと思います。キーワードは3つのS、つまり「ステップ・アップ」、「スタディ」そして「サイレンス」です。

まず第1に”最初から海外の名の知れた歌劇場の公演を聴かない方がよい”ということです。最初に世界最高峰のオペラ公演を聴いてしまうと、後から聴く他の公演がつまらなく感じてしまうからです。「あの時の公演に比べたら、こんなの大したことないや」と思うのなら、決して安くはないチケット代が無駄になります。それより最初のうちは国内の公演を聴いて目と耳を慣らしておいて、徐々に「ステップ・アップ」して海外オペラの来日公演を聴くようにした方が精神的によいと思います。

第2に”事前に勉強すること=スタディ”です。通常、オペラは休憩を挟んで3時間ぐらいかかります。しかも原語上演がほとんどです。最近は舞台の左右にテロップが流れるので、歌手が何を歌っているのか分かります。でもテロップばかり見ていたら肝心の舞台が観れず歌手の歌に集中できません。そこで、事前にそのオペラの内容を理解しておくことが必要です。どういう筋書きなのか、どういうアリアがあるのか、歌手はどういう経歴なのか、作曲家はどういう時代背景の中でそのオペラを作曲したのか等々。できれば事前にCDなりDVDを購入して”予習”しておくことが望ましいと思います。当日は公演プログラムを買って、読んでから鑑賞してください。オペラに限らず、クラシック音楽は、こちらから積極的に対峙しようとしないと理解できない種類の音楽です。理解しよう(もっと知ろう)と努力することによって、より深い感動が得られるのです。そして「もっと観たい」「もっと聴きたい」という欲求が出てくるのです。そしてあなたはこの世界から抜けられなくなる・・・・・

第3に”静けさを保つこと=サイレンス”です。何も難しいことではなく、事前にケータイ電話の電源を切っておくことです。たとえば、オペラ公演のクライマックスでソプラノが切々とアリアを歌っているときに、突然”ドラえもん”の着メロが鳴り出したらどうなりますか?長くても30秒程度の間でしょうが、そのために3時間のオペラは台無しになるのです。オペラを観るときは事前にケータイの電源を切る・・・・これは最低限のマナーです。それが出来ない人はオペラを観にこないでください。ルールを守って楽しく鑑賞したいですね

  
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マーラー没後100年~最後の言葉は・・・・・

2011年05月18日 21時31分07秒 | 日記
18日(水)。今年はリスト生誕200年の年だと昨日のブログで触れましたが、同時にマーラー没後100年の記念すべき年でもあります。今日からちょうど100年前の1911年5月18日にマーラーはこの世に別れを告げました。

マーラーは1860年7月7日にオーストリア領ボヘミア・イーブラウ(現チェコのイフラバ)近郊のカリシュトでユダヤ人家庭に生まれました。10歳の時に最初のピアノ独奏会を開き、15歳の時にウイーン楽友協会音楽院(現ウイーン国立音楽大学)でフックスに師事、18歳の時にウイーン大学でアントン・ブルックナーの講義を受け、作曲上の影響を受けます。28歳の時に交響曲第1番を作曲、37歳の時ウイーン宮廷歌劇場の芸術監督になります。42歳でアルマ・シントラー(23歳)と結婚、順調に作曲を進めていきます。

マーラーは出自に関して「私はどこに行っても歓迎されない。オーストリアにおいてはボヘミア人として、ドイツにおいてはオーストリア人として、世界においてはユダヤ人として」と述べています。37歳の時にユダヤ教からローマ・カトリック教に改宗し、それ以降、交響曲第4番以降の曲を作曲していきます。当時、ユダヤ人は文化面で阻害されていたようです。彼は作曲家としてよりも指揮者としての方が評価されていたようです。作曲家として認めてほしい彼は「やがて私の時代が来る」と言ったと伝えられていますが、いま、まさに、彼の時代が来ています。

マーラーと言えば何といっても交響曲ですが、好きな順に並べると次のとおりになります。
1.第3番 2.第5番 3.第1番 4.第4番 5.第2番 6.第6番 7.第9番 8.第7番 9.第10番 10.第8番。
第1位に挙げた第3番の交響曲は演奏時間100分を超える超大作です。CDはいろいろな指揮者とオーケストラの組み合わせで11種類以上持っていますが、ベストCDはクラウディオ・アバド指揮ウイーン・フィルによる録音です。いま改めてCDジャケットを見ると Made in West Germany と書かれています。1982年製作ですから、ドイツ統一前の録音ですね。

マーラーの臨終の言葉は「モーツアルト・・・・・」でした。あの複雑かつ長大な交響曲を書いた作曲家が目指していたのは、最も少ない音符で最大の音楽効果を成し遂げた天才作曲家だったということでしょうか。





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リスト生誕200年記念演奏会から

2011年05月17日 23時07分27秒 | 日記
17日(火)。その2.午後6時半から東京文化会館で「フランツ・リストと同時代の巨匠たち~リスト生誕200年記念」コンサートを聴きました。指揮は1990年ブザンソン国際指揮者コンクール優勝者・沼尻竜典。オーケストラはフェスティバル・オーケストラ。つまりこの日の為に臨時に編成されたプロ混合オケです。解説によると、東フィル、東響、新日フィル、日本フィルのピックアップ・メンバーから編成されているとのことですが、見た限りでは東フィルを中心に、足りないところを他の楽団から集めたといった感じです。少なくとも弦楽器の主席クラスは東フィルで占めていました。

第1部「リストとロマン派の若き友人たち」のプログラムは①リスト「交響詩:レ・プレリュード」②メンデルスゾーン「バイオリン協奏曲・ホ短調~第1楽章」(Vn:瀬崎明日香)③ショパン「アンダンテ・スピアナートと華麗なるポロネーズ」(P:仲道郁代)④リスト「ピアノ協奏曲第1番」(P:清水和音)です。

瀬崎明日香のバイオリンは初めて聴きました。写真を見るとしっかりした大人の顔なのですが、実際に見ると幼い感じです。休憩時間には義援金箱を持って「義援金よろしくお願いしま~す」と声を上げていましたが、コンサートのたびに義援金に協力していたら破産してしまうのです。ごめんなさい。演奏・・・めりはりが利いてよかったですよ。

おもしろかったのは、華奢な仲道郁代が繊細なショパンを弾いたあとに、体格のいいどっしりした清水和音が力いっぱいリストを弾いた、そのコントラストです。同じピアノなのにショパンのときは鍵盤楽器に、リストのときは打楽器になります。同時代に生きた2人ですが、目指した音楽は正反対のようです

第2部「リストと19世紀後半の巨人たち」のプログラムは①ワーグナー「ニュルンべルクのマイスタージンガー~第1幕への前奏曲」②リスト「死の舞踏」(P:末永匡)③ベルディ「歌劇:椿姫より”ああ、そはかの人か~花から花へ””乾杯の歌”」(Sp:安藤赴美子、Tn:山田精一)④ベルディ「歌劇:アイーダより”凱旋行進曲”」です。

一番おもしろかったのはリストの「死の舞踏」でした。生で聴いたのは初めてでしたが、おもしろい曲でしたリストは古い聖歌「怒りの日」の定旋律を主題とする変奏曲を書いたのですが、この旋律はベルリオーズが「幻想交響曲」でも使っています。リストはここでもピアノを打楽器的に使っています。

最後の凱旋行進曲では、舞台の左右にアイーダ・トランペット(管が長い楽器)が3本ずつスタンバイして、凱旋の合唱に続いて華やかなメロディーを奏でますベルディはイタリアの国民的ヒーローだったのですね

指揮者の沼尻竜典は、オペラの指揮をしている方が生き生きしていて、音楽がよく流れているような気がします



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