人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ウィーン・ニコライ弦楽四重奏団でモーツアルト「弦楽四重奏曲第14番”春”」、ベートーヴェン「ラズモフスキー弦楽四重奏曲第1番」、ハイドン「弦楽四重奏曲第77番”皇帝”」を聴く

2018年10月11日 07時19分57秒 | 日記

11日(木)。日経朝刊最終面の名物コラム「私の履歴書」に、ヴァイオリニストの前橋汀子さんが連載しています 昨日の第9回では、1961年、恩師のアンナ先生の母校レニングラード音楽院の創立100周年の一環として、初めて共産圏以外の国から留学生を招くことになり、潮田益子さんと自分が選ばれたこと 高校を中退して留学することになったが、桐朋学園の恩師、斎藤秀雄先生から呼び出され「君ねえ、絶対に人と比べたらいけないよ」と言われ、少しムッとしたが、後にこの言葉を何度も反すうしながら涙を流したこと その年の夏 17歳の自分が横浜港大桟橋から出港する際、桐朋の級友から「これ、小澤さんからだよ」と 空気で膨らますビニールの河童の人形を手渡され、道中寂しくないようにという小澤征爾さんのユーモアたっぷりの餞別だと嬉しく思ったこと などが綴られています

連載を読んで思ったのは、前橋汀子さんは文章が相当上手いということです 同じ桐朋出身のピアニスト中村紘子さんも玄人はだしの書き手でしたが、彼女に負けず劣らず読ませる文章を書いています

「一芸に秀でる者は・・・」とはよく言われる言葉ですが、前橋さんも多面的な才能を持った人だと思いました

ということで、わが家に来てから今日で1469日目を迎え、大使就任以来 シリア内戦や北朝鮮問題をめぐる国連安全保障理事会の協議で、ロシアと激しく対立してきたヘイリー米国連大使が今年限りで辞任することになった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     数少ない非白人として頑張ったけど トランプとは意見不一致が多かったんだろう

 

         

 

昨日、夕食に「アボカドと鶏もも肉の塩だれバター炒め」と「生野菜とタコのサラダ」を作りました 「アボカド~」は cookpad のレシピですが、アボカドと鶏肉は合いますね

 

     

 

         

 

昨夕、大手町の日経ホールで第477回日経ミューズサロン「ウィーン・ニコライ弦楽四重奏団  日本デビュー・リサイタル」を聴きました プログラムは①ハイドン「弦楽四重奏曲第77番ハ長調作品76‐3”皇帝”」、②モーツアルト「弦楽四重奏曲第14番ト長調K.387”春”」、ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第7番ヘ長調作品59-1”ラズモフスキー弦楽四重奏曲第1番”」です 演奏するウィーン・ニコライ弦楽四重奏団は全員ウィーン・フィルのメンバーで、第1ヴァイオリン=ヴィルフリート・和樹・へ―デンボルク、第2ヴァイオリン=ベンジャミン・モリソン、ヴィオラ=ゲルハルト・マルシュナ-、チェロ=ベルンハルト・直樹・へ―デンボルクです

 

     

 

自席はL列8番、左ブロック右通路側です。会場はかなり埋まっています

1曲目はハイドン「弦楽四重奏曲第77番ハ長調作品76‐3”皇帝”」です ヨーゼフ・ハイドン(1732‐1809)は1797年にウィーンで、エルデーティ伯爵のために第75番から第80番までの6曲の弦楽四重奏曲を作曲しました この曲はそのうちの第3作に当たりますが、「皇帝」という愛称が付けられています これは第2楽章の変奏曲の主題旋律に、ハイドンが1797年1月に作曲したオーストリア国歌「皇帝讃歌」が流用されていることに由来しています その後、この旋律はオーストリアの正式な国歌として制定され、1932年からはドイツの国歌にも流用されました。ハイドンって偉大ですね

第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ポーコ・アダージョ・カンタービレ」、第3楽章「メヌエット:アレグロ」、第4楽章「プレスト」の4楽章から成ります

4人の演奏家が登場し配置に着きます 左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという並び方をとります。ヴィオラのベンジャミン・モリソンが他の3人より頭一つ背が高く 目立ちます

全楽章を聴いて感じたのは、文体で言えば「楷書体」の演奏です 誰かが突出しているという印象はなく、全体的にバランスがとれていて折り目正しくキチっとした演奏です

2曲目はモーツアルト「弦楽四重奏曲第14番ト長調K.387”春”」です ウォルフガング・アマデウス・モーツアルト(1756‐1791)は、ハイドンの「ロシア四重奏曲」(第37番~第42番)に深く感動して、1782年の終わりから1785年1月までの間に 自らの意志により6曲の弦楽四重奏曲(第14番~第19番)を書き上げ、ハイドンに献呈しました そのため「ハイドン・セット」と呼ばれています この第14番はその第1作に当たります

第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ・アッサイ」、第2楽章「アレグロ:メヌエット」、第3楽章「アンダンテ・カンタービレ」、第4楽章「モルト・アレグロ」の4楽章から成ります

第1楽章を聴いたところで、テンポがゆったり目だったこともあって、ちょっと重いかな、と感じました 端正な演奏なのですが、モーツアルト特有の愉悦感のようなものがあまり感じられません。折り目正しい演奏がモーツアルトではマイナスに作用してしまっているような感じです ただ、第3楽章のアンダンテ・カンタービレはとても美しく響きました


     


プログラム後半はベートーヴェン「弦楽四重奏曲第7番ヘ長調作品59-1”ラズモフスキー弦楽四重奏曲第1番”」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770‐1827)が1805年頃から翌年にかけて作曲し、ウィーン駐在のロシア大使ラズモフスキー公爵に献呈した3曲の弦楽四重奏曲の最初の曲で、1806年7月に完成しました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アレグレット・ヴィヴァーチェ・エ・センプレ・スケルツァンド」、第3楽章「アダージョ・モルト・エ・メスト」、第4楽章「アレグロ」の4楽章から成ります

ひと言でいうと「端正」で「中庸」な演奏です 前半のハイドンとモーツアルトとさほど演奏スタイルは変わっていないように思います。逆に言えば、何回聴いても飽きない演奏と言えなくもない演奏で、このままライブ録音しても差し支えないような演奏です。ただし、ライブで聴いていると何か物足りなさを感じます モーツアルトの場合は”愉悦感”でしたが、ベートーヴェンの場合は”活気”とか”推進力”といったものです ベートーヴェンとしては大人しい演奏だと思いました

何度かのカーテンコールの後、チェロのベルンハルト・直樹・へ―デンボルクが胸ポケットからマイクを取り出して、流暢な日本語で(当たり前か)、

「今日は私たちの日本デビュー・リサイタルですが、皆さんにお会いできて嬉しく思います 今月発売のCDを持ってまいりましたので、後でお買い求めいただければと思います アンコールにラズモフスキー3番の『メヌエット』を演奏いたします

とアナウンスして、弦楽四重奏曲第9番(「ラズモフスキー第3番」)の第3楽章「メヌエット」を演奏し聴衆のクールダウンを図りました とてもいい演奏でした

ところで、日経ミューズサロンでは、最後の曲目の演奏後に女性スタッフから演奏者に花束が手渡されますが、もらった本人たちも嬉しいでしょうが、見ている方も気持ちが良いものです これからも是非続けてほしいと思います

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ドイツ映画「女は二度決断する」、イギリス映画「ウィンストン・チャーチル~ヒトラーから世界を救った男」を観る~ギンレイホール / 「大根と牛肉の韓国風煮物」「もやし豚汁」を作る

2018年10月10日 07時17分51秒 | 日記

10日(水)。わが家に来てから今日で1468日目を迎え、国際通貨基金(IMF)は9日、経済混乱が続く南米ベネズエラのインフレ率が2019年中に年率1000万%に達するとの予測を発表した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     桁が大きすぎてイメージが湧かないんだけど 要するに何も買えなくなるってこと? 

 

         

 

昨日、夕食に「大根と牛肉の韓国風煮物」と「もやし豚汁」を作りました あとは前日炊いた炊き込みご飯です。「大根~」は大庭英子先生、「もやし~」は笠原将弘先生のレシピです 「大根~」は一味唐辛子をちょっと入れ過ぎて娘には辛すぎたようです。反省反省

 

     

 

         

 

昨日、神楽坂のギンレイホールで「女は二度決断する」と「ウィンストン・チャーチル」の2本立てを観ました

「女は二度決断する」はファティ・アキン監督による2017年ドイツ映画(106分)です

ドイツのハンブルク。生粋のドイツ人カティヤ(ダイアン・クルーガー)はトルコ系移民のヌーリ(ヌーマン・アチャル)と結婚、息子も授かり3人で幸せな家庭を築いていた ある日、ヌーリの事務所前で爆発事故が発生しヌーリと息子のロッコが犠牲になってしまう 警察は当初、トルコ人同士の抗争を疑っていたが、やがて人種差別主義ネオ・ナチのドイツ人によるテロであることが判明する 容疑者の若者が特定され、裁判になるが「疑わしきは罰せず」の原則で無罪になってしまう 愛する家族を奪われ裁判の結果に納得できないカティヤは復讐することを決意、単独で実行に移す

 

     

 

この映画は、実際に起きたネオナチによる連続テロを下地に理不尽な現実と絶望の果ての決断を描いた復讐サスペンスです 一度目の決断では実行に移せなかった「目には目を歯には歯を」の作戦は、二度目の決断で実行に移されます

私はてっきり一度目と同じ方法で実行するのかと思っていたのですが、意外な結末に「なぜそこまでしなければならないのか」と思わず口走りそうになりました。それは彼女なりの決着のつけ方だったのでしょう

 

         

 

「ウィンストン・チャーチル~ヒトラーから世界を救った男」はジョー・ライト監督による2017年イギリス映画(125分)です

時は第二次世界大戦初期。ナチス・ドイツによってフランスが陥落寸前まで追い詰められ、イギリスにも侵略の脅威が迫っていた 連合軍が北フランスの港町ダンケルクの浜辺でドイツ軍に包囲され孤立する中、就任したばかりの英国首相ウィンストン・チャーチル(ゲイリー・オールドマン)に全ヨーロッパの運命が委ねられることになった ヒトラーとの和平交渉か徹底抗戦か、チャーチルは究極の選択を迫られる 

 

     

 

この映画は英国首相に就任してからダンケルクの戦いまでの27日間と、言葉の魔術師チャーチルの新たな一面を描き出した歴史エンターテインメントです

この映画で一番印象に残っているのは、チャーチルがトイレ内の専用電話(ホットライン)でアメリカのルーズベルト大統領に助けを求めるシーンです 後のシーンでチャーチルが英国王に「私には腹を割って話し合える相手がいないのです」と告白しているように、一国の首相であるチャーチルには、閣僚の中にも究極の決断をする時に相談する相手がいなかったのです そんなチャーチルはドイツとの戦争について国民の考えを知るために地下鉄に乗って一般市民の考えを聞きます そして最終的に国王から「君を信じる。君の考える通りにやってほしい」と言われ、徹底抗戦を決断します 映画ですから、どこからどこまでが本当の出来事か不明ですが、もしチャーチルがヒトラーとの和解を選んでいたら世界はどうなっていただろうか、と考えるとうすら寒い思いがします

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「東京藝大ピアノ科と桐朋学園弦楽科教授陣によるフランス室内楽の午後」公演を聴く~伊藤恵、加藤知子、久保田巧、佐々木亮、長谷川陽子によるフォーレ「ピアノ五重奏曲第2番」ほか

2018年10月09日 07時18分29秒 | 日記

9日(火)。わが家に来てから今日で1467日目を迎え、第41回シカゴ・マラソンが7日、米シカゴのグラントパーク発着の42.195キロで開催され、大迫傑が2時間5分50秒の日本新記録で3位に入った というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       サッカーに次いで マラソンでも 「大迫半端ない」が合言葉になりそうだな

     

         

 

昨日、夕食に「さんまの塩焼き」「マグロの山掛け」「炊き込みご飯」「ワカメの味噌汁」を作りました カボチャの煮つけはいただきものです。「炊き込みご飯」は炊きあがり時間の関係で写真には写っていません。悪しからず

 

     

 

         

 

昨日、東京藝大奏楽堂で「東京藝大ピアノ科と桐朋学園弦楽科教授陣によるフランス室内楽の午後」コンサートを聴きました 桐朋学園大学からは加藤知子(Vn)、久保田巧(Vn)、佐々木亮(Va)、長谷川陽子(Vc)が、東京藝大ピアノ科からは青柳晋、東誠三、有森博、伊藤恵、江口玲、坂井千春、迫昭嘉、津田裕也が出演しました

プログラムは①ドビュッシー「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」、②ミヨー「4つの顔」、③同「2台のピアノのための『スカラムーシュ』」、④ラヴェル「ヴァイオリンとピアノのための『ツィガーヌ』」、⑤同「2台のピアノのための『序奏とアレグロ』」、⑥ドビュッシー「チェロとピアノのための『ソナタ』」、⑦フォーレ「ピアノ五重奏曲第2番」です

このコンサートは、藝大准教授で桐朋学園出身の青柳晋氏が 同学園で同期だった長谷川陽子さんを通じて桐朋弦楽科主任の加藤知子さんに提案したことから実現したものです

 

     

 

午後2時開演のため1時10分頃奏楽堂に行ったのですが、すでに長蛇の列ができていました それでも1階15列12番、左ブロック右通路側を押さえることができました 会場は満席です

1曲目はドビュッシー「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」です この曲はクロード・ドビュッシー(1862‐1918)が完成させた最後の作品です 第1楽章「アレグロ・ヴィーヴォ」、第2楽章「間奏曲:幻想的で軽やかに」、第3楽章「フィナーレ:とても生き生きと」の3楽章から成ります 演奏はヴァイオリン=加藤知子、ピアノ=迫昭嘉です

2曲目はミヨー「ヴィオラとピアノのための”4つの顔”」です この曲はダリウス・ミヨー(1892‐1974)が作曲した音楽の肖像画とでも呼ぶべき小品集です 第1曲「カリフォルニア娘」(ゆっくりと)、第2曲「ウィスコンシン娘」(生き生きと華やかに)、第3曲「ブリュッセル娘」(ゆっくりと)、第4曲「パリ娘」(中庸な快活さで)の4曲から成ります 演奏はヴィオラ=佐々木亮、ピアノー津田裕也です

3曲目はミヨー「2台のピアノのための『スカラムーシュ』」です この曲はピアニストのマルセル・メイエルとイダ・ヤンケレヴィッチの依頼により1937年のパリ万博のために作曲されました 第1曲「活き活きと」、第2曲「中庸な速さで」、第3曲「ブラジルの女」の3曲から成ります 演奏は有森博、東誠三です

プログラム前半の最後は、ラヴェル「ヴァイオリンとピアノのための『ツィガーヌ』」です この曲はモーリス・ラヴェル(1875‐1937)がハンガリーのヴァイオリン奏者イェリー・ダラー二のために作曲した作品です「ツィガーヌ」とはフランス語で「ロマ(ジプシー)」を意味します。演奏はヴァイオリン=久保田巧、ピアノ=江口玲です

以上、前半の4曲を聴いた中で、一番面白かったのはミヨー「2台のピアノのための『スカラムーシュ』」です。有森博と東誠三の丁々発止のやり取りは迫力満点で”見もの 聴きもの”でした   そして、ラヴェル「ヴァイオリンとピアノのための『ツィガーヌ』」では、江口玲の巧みな伴奏のもと、久保田巧のヴァイオリンによる重音、トリル、ピッツィカートなどの超絶技巧が冴えわたり唖然としました

 

     


プログラム後半の1曲目はラヴェル「2台のピアノのための『序奏とアレグロ』」です この曲は1905年にラヴェルがエラール社からハープのための作品を委嘱され「序奏とアレグロ」(弦楽四重奏、フルートとクラリネットを伴奏に持つハープのための曲)を作曲したのですが、その翌年に2台のピアノのため用に編曲し出版しました 演奏は坂井千春、青柳晋です

後半2曲目はドビュッシー「チェロとピアノのための『ソナタ』」です この曲は1915年7~8月に作曲されました。第1楽章「プロローグ:ゆっくりと」、第2楽章「セレナード:中庸の速さで生き生きと」、第3楽章「フィナーレ:生き生きと」の3楽章から成ります 演奏はチェロ=長谷川陽子、ピアノ=青柳晋です

この2曲では長谷川陽子の生き生きしたチェロが印象に残りました 彼女は華があるのでステージに登場しただけで舞台が明るくなります 現代においてはアーティストに求められる重要な条件の一つだと思います

ところで、「チェロ・ソナタ」の第1楽章が終わったところで、1階後方の席からケータイの軽薄な着信音が鳴り出しました まだいるんですね。こういう不届き者が 音はステージにも届いているはずですが、二人の演奏家は何事もなかったように第2楽章に入りました。いつまでも粗忽者を相手にしません。大人の対応です

さて、この日の最後を飾るのはフォーレ「ピアノ五重奏曲第2番ハ短調作品115」です この曲はガブリエル・フォーレ(1845‐1924)が1919年に着手し1921年に完成させた作品です。1921年5月21日にパリ国立音楽院の講堂で開かれた初演は大成功裡に終わったといいます 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アレグロ・ヴィーヴォ」、第3楽章「アンダンテ・モデラート」、第4楽章「アレグロ・モルト」の4楽章から成ります 演奏はピアノ=伊藤恵、ヴァイオリン=加藤知子、久保田巧、ヴィオラ=佐々木亮、チェロ=長谷川陽子です

第1楽章はピアノのアルペッジョで開始され、ヴィオラにより最初の主題が奏でられますが、この部分を聴いただけで感動を覚えます ちょうど1週間前に聴いたフォーレ四重奏団による「ピアノ四重奏曲第1番ハ短調作品15」にしても、この「ピアノ五重奏曲第2番ハ短調作品115」にしても、フォーレは何と素晴らしい曲を書いたことでしょうか すべての楽章が、ひとつの大きな流れを作って音の川が滔々と流れていくようです

フォーレというと、私などは「レクイエム」とか「パヴァーヌ」とか「ヴァイオリン・ソナタ」とかしか馴染みがなかったのですが、この1週間で室内楽の名曲を2曲聴いたお陰でフォーレの魅力を再発見することが出来、フォーレが好きになりました その意味で、私にとってこの日のコンサートは大きな意義のあるものになりました

 

     

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東京藝大の第64回藝大オペラ定期公演でモーツアルト「魔笛」を聴く~ポイントは「夜の女王」と「パパゲーナ」:なぜか リーリー と シンシン も登場

2018年10月08日 07時15分39秒 | 日記

8日(月)。後述の通り、昨日 上野の東京藝大奏楽堂にオペラを聴きに行ったのですが、JR上野駅から東京藝大に向かう途中の上野公園の一角(東京都美術館の近く)に下の写真のオブジェが展示されていました これは何

 

     

 

朝日新聞の記事(9月8日)によると、これは大手銀行勤務後に東京藝大で学んだ 懸谷真弓さんの卒業制作「2.5次元の触覚」です パソコンの中で「手」のような役割を果たすカーソルを表現した作品です この作品は藝大の卒業作品展で東京都知事賞を受賞し、8月20日からこの場所に設置され 来年3月頃まで展示予定とのことです 上野公園、東京都美術館に行かれた折に立ち寄ってみてはいかがでしょうか

ということで、わが家に来てから今日で1466日目を迎え、プロ野球で2軍の日本一を決めるファーム日本選手権は、宮崎市のKIRISHIMAサンマリンスタジアム宮崎で行われ、ウエスタンリーグを8年ぶりに制した阪神がイースタン・リーグ4連覇の巨人を8-4で破り、12年ぶり5度目の優勝を遂げた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      阪神は単独最下位の1軍とファーム優勝の2軍のメンバーを 総入れ替えしたらどう

 

         

 

昨日、東京藝大奏楽堂で第64回藝大オペラ定期公演  モーツアルト『魔笛』を聴きました 6日、7日のダブルキャストで、7日の出演はザラストロ=狩野賢一、タミーノ=須澤尊臣、パミーナ=渡辺智美、夜の女王=愛宕結衣、パパゲーノ=田中夕也、パパゲーナ=高橋慶、モノスタトス=糸賀修平、侍女1=田井友香、侍女2=石田滉、侍女3=中島郁子ほか、管弦楽=藝大フィルハーモニア管弦楽団、合唱=東京芸術大学音楽学部声楽科3年生、指揮=高関健、演出=直井研二です

オペラ『魔笛』のストーリーについては10月4日の当ブログ「新国立オペラでモーツアルト『魔笛』を観る」をご覧ください

 

     

 

自席は1階12列2番、左ブロック左から2つ目です。会場は8割以上は入っているでしょうか

ステージはいつもの藝大オペラのようにシンプルそのものです 今回の公演は、歌がドイツ語で歌われ、セリフが日本語で話されます

高関健がオーケストラ・ピットに入り、序曲の演奏に入ります 3つの和音が奏でられますが、どうもドンシャリな感じで 音が籠っているような気がします   しかし、それもストーリーが進むにつれて解消されていきました セリフを日本語にしたのは良いのですが、第1幕冒頭のタミーノとパパゲーノとのやり取りは間延びした感じがしました   もう少しテンポアップした方が良いと思いました

パパゲーノ役の田中夕也は歌は上手いのですが、衣装が寸足らずで お腹がチラ見えで いただけませんでした   出していいのは声と個性です

タミーノ役の須澤尊臣は声が良く通り 演技力にも安定感があります   問題は「夜の女王」です。音楽に導かれて登場した愛宕結衣を見て「この人で大丈夫か?」と心配になりました あまりにもスマート過ぎて存在感が薄かったからです その心配は当たってしまい 第1幕での「夜の女王のアリア」は余程緊張したのかコロラトゥーラの最高音部で少し乱れ、苦しい出足になってしまいました   しかし、第2幕での「夜の女王のアリア」では迫力のある歌唱力で会場を圧倒し 名誉を回復しました

パミーナを歌った渡辺智美はビブラートが特徴のソプラノで、声量もあり声も美しく終始安定感のある歌を聴かせてくれました

ザラストロを歌った狩野賢一は、歌もセリフも太陽の国の支配者らしい堂々たるもので存在感抜群でした

パパゲーナを歌った高橋慶は歌も演技も 今まで観てきた同役の中で一番キュートでした これを機会に人気がキュートーするかも知れません

モノスタトスを歌った糸賀修平は、常に強い方につく狡猾な役柄を見事に演じ歌いました    3人の侍女はそれぞれが良く声が出ていました。特にメゾ・ソプラノの中島郁子は魅力のある歌唱力の持ち主でした

 

     

 

演出で面白かったのは、第1幕でタミーノが魔笛を吹くと森の動物たちが踊り出すシーンです 様々な動物たちのどさくさに紛れて、「うえの  リーリー」「うえの  シンシン」と書かれたゼッケンを胸に付けたパンダの縫いぐるみが2頭登場して踊り出したのです🐼 「なんだパンダ言っても、東京藝大は上野にあるからなあ」と苦笑したのは私一人ではなかったでしょう しかし、モーツアルトとシカネーダーのことですから、初演当時は”受け狙い"で これに似た演出をやっていたに違いありません その意味では good job でした

プログラム冊子の小畑恒夫氏の解説を待つまでもなく、「魔笛」はエマヌエル・シカネーダー(1751‐1812)という希有の役者・興行師との出会いがなければ出来なかったオペラです シカネーダー一座は有能な歌手や演奏家を揃えていたので、モーツアルトは彼らが歌える限界までのアリアを書いたのです その一人はモーツアルトの義姉にあたるヨゼファ・ホーファー(モーツアルトの妻コンスタンツェの一番上の姉)で、彼女の能力に合わせて「夜の女王のアリア」が書かれたのでした

それにしても、「魔笛」は不思議なオペラです モーツアルトもメンバーだった秘密結社フリーメーソンの象徴的な意味を持つ「3」という数が大きな意味を持って登場します 3つの和音、3人の侍女、3人の童子、3つの楽器(笛、パンフルート、グロッケンシュピール)、3つの試練(沈黙、火、水)などです しかし、「魔笛」は謎解きオペラではありません。イタリア・オペラが中心にある時代に、モーツアルトもシカネーダーも聴衆に「受ける」ためにドイツ語の楽しいオペラを書いたのです 台本作者は「これしかねーだー」と言ったとか言わなかったとか

 

     

 

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スダーン✕東響でモーツアルト「交響曲第34番」、「交響曲第38番”プラハ”」を聴く~東響モーツアルト・マチネ / 読売日響2019年度会員継続につき検討中

2018年10月07日 07時24分09秒 | 日記

7日(日)。わが家に来てから今日で1465日目を迎え、「日本の台所」と称された東京都の築地卸売市場「築地市場」が6日に営業を終了した というニュースを見て感想を述べるモコタロです 

 

     

       築地場外市場が残るからいいけど もし残らなかったら場外乱闘になっていたかも

 

         

 

先日、読売日響から2019-2020年シーズンの会員継続案内が届きました 読売日響は来年4月から常任指揮者がカンブルランからセバスティアン・ヴァイグレに代わります 古典から現代まで評価の高かったカンブルランに代わるヴァィグレはどうなのか?  私はまだ一度も聴いたことがないので まったく未知数です

読売日響の定期コンサートは①定期演奏会(サントリーホール)、②名曲シリーズ(同)、③土曜/日曜マチネシリーズ(東京芸術劇場コンサートホール)、④みなとみらいホリデー名曲シリーズ他がありますが、現在私は①の定期会員になっています

新体制での各プログラムのラインナップはどうなのかと ざっと見渡してみると、どうしても聴きたいというコンサートが少ないように感じます   強いて挙げれば①定期演奏会の10月公演=テミルカーノフ指揮によるハイドン「交響曲第94番」とショスタコーヴィチ「交響曲第13番」、②名曲シリーズの2月公演=ポゴレリッチのピアノによるシューマン「ピアノ協奏曲」とドヴォルザーク「交響曲第7番」他、③土曜/日曜マチネの2月公演=ラドゥロヴィチのヴァイオリンによるハチャトゥリアン「ヴァイオリン協奏曲」とマーラーの「花の章」「交響曲第1番」が、指揮者はともかく ソリストが面白いと思います

定期会員券申込書の返送期限は10月20日なので、コースやランクの変更を含めて しばらく時間をかけて検討したいと思います

 

     

     

     

 

         

 

昨日、ミューザ川崎で東京交響楽団「モーツアルト・マチネ 第35回 モーツアルト✕交響曲」を聴きました プログラムはモーツアルト①交響曲第34番ハ長調K.338、②交響曲第38番ニ長調”プラハ”K.504です 指揮は東響桂冠指揮者ユベール・スダーンです

 

     

 

オケはいつもの東響の並びで、左にヴァイオリン・セクションを集めています コンマスはグレヴ・二キティンです。楽員を見渡すと、気のせいか みんな眠そうに見えます   午前11時開演なので、1時間前には会場入りしているでしょうから、それは眠いだろうと思います   楽団員の皆さんは、土曜・日曜のコンサートは慣れているでしょうが、いずれも午後か夜かの公演でしょうから、午前中の公演はかなりきついのではないかとお察しします

さて、1曲目は「交響曲第34番ハ長調K.338」です   この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756‐1791)がザルツブルク時代の1780年8月終わりに作曲しました この曲の特徴は、モーツアルトの多くの交響曲が4楽章形式であるのに対し、この第34番と次に演奏される第38番は「メヌエット」楽章を欠く3楽章形式で出来ていることです 第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アンダンテ・ディ・モルト・ピゥ・トスト・アレグレット」、第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

スダーンが登場し舞台中央にスタンバイしますが、彼はいつものように指揮台と指揮棒を使用しません 

スダーンの合図で第1楽章が勇壮な音楽で開始されます 歯切れのよい演奏を聴くと、モーツアルトっていいな、と思います モーツアルトはテンポです。ちんたらちんたらの演奏はモーツアルトではありません その点、ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団の首席指揮者を歴任しているスダーンのテンポは理想的です 第2楽章は、弦楽合奏によるディヴェルティメント風の優雅な音楽が続きます 第3楽章はテンポアップして軽快な音楽が展開しますが、オーボエの荒絵理子、篠崎隆、フォゴットの福士マリ子の演奏が光ります


     


2曲目は「交響曲第38番ニ長調”プラハ”K.504」です 1786年5月に「フィガロの結婚」がウィーンで上演されると、プラハにも評判が及び、モーツアルトはプラハに招待されます 1787年1月にプラハで開かれた演奏会で彼はこの「交響曲第38番」を演奏し好評を博しました そのためこの曲は「プラハ」という愛称で呼ばれるようになりました 第1楽章「アダージョ~アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「プレスト」の3楽章から成ります

フルートの甲藤さちと高野成之が加わりますが、ここで初めて 交響曲第34番はフルートがなかったことに気が付きます

第1楽章が重々しい序奏から開始されます   その後、急激にテンポアップし軽快な音楽が展開しますが、こういうところはモーツアルトらしいな、と思います 第2楽章は優美そのものです オーボエの荒絵理子、フルートの甲藤さち、ファゴットの福士マリ子の演奏が冴えわたります 第3楽章に入ると、速いテンポで愉悦感に満ちた音楽が展開します。ここで、また「モーツアルトはいいなあ」と思います

何度もカーテンコールが繰り返されスダーンが呼び戻されますが、東響の第2代音楽監督を務めたスダーンはいつまでも聴衆に支持されているんだな、とつくづく思います

気分良くJR川崎駅に向かう途中の遊歩道を歩いていたら、モーツアルトの「交響曲第39番K.543」の第4楽章「アレグロ」が流れてきました いつもは第3楽章「メヌエット」なのに珍しいな、と思いながら帰途につきました

川崎はいつからモーツアルトの街になったのか

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フォーレ四重奏団でフォーレ「ピアノ四重奏曲第1番」、ブラームス「ピアノ四重奏曲第1番」、ラフマニノフ「絵画的練習曲」を聴く~トッパンホール / 「メトロポリス・クラシックス」当選

2018年10月06日 07時49分05秒 | 日記

6日(土)。わが家に来てから今日で1464日目を迎え、筑波大学などの研究グループが、10分程度の軽い運動をするだけで 人の脳の海馬が刺激され、記憶能力が向上することを実験で確かめた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                  わが家のご主人は昔 50分程度の重い運動をして 頭を飼い葉桶に突っ込んでいた

 

         

 

昨日、夕食に「キャベツと鶏肉の水炊き」を作りました これは加藤美由紀先生のレシピです。昆布だしに塩胡椒だけの味付けで、ポン酢醤油でいただきますが、シンプルで美味しかったです

 

     

 

         

 

メトロ文化財団から11月11日に東京芸術劇場で開かれる「メトロポリス・クラシックス チャイコフスキー  華麗なる珠玉のメロディ」公演の招待状が届きました これは先日、抽選に応募していたもので、抽選で2000人を無料で招待するという企画です 2000人ですから”ハズレ”はないと思っていましたが、これで一安心です。梅田俊明指揮東京都交響楽団によりチャイコフスキーの「交響曲第5番ホ短調」ほかが演奏されます

 

     

 

     

 

         

 

昨夕、トッパンホールでフォーレ四重奏団のコンサート(第2夜)を聴きました プログラムは①ラフマニノフ/モメルツ編「絵画的練習曲集”音の絵”作品39」より第2番イ短調、第6番イ短調、②同「”音の絵”作品33」より第7番変ホ長調、③フォーレ「ピアノ四重奏曲第1番ハ短調作品15」、④ブラームス「ピアノ四重奏曲第1番ト短調作品25」です

 

     

 

最初に演奏されるのはセルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)が作曲した ピアノによる絵画的な表現を試みた作品集「絵画的練習曲集”音の絵”」をフォーレ四重奏団ピアニスト、ディルク・モメルツが編曲した作品です

「”音の絵”作品33」は1911年、「”音の絵”作品39」は1916~17年に作曲されました アメリカの指揮者セルゲイ・クーセヴィツキ-は1929年、「音の絵」の管弦楽への編曲をイタリアの作曲家レスピーギに依頼してはどうかとラフマニノフに提案、これを受け ラフマニノフは5曲を選曲し、レスピーギは管弦楽編曲版を完成しました モメルツはレスピーギ編曲による5曲をピアノ四重奏曲用に再編曲しました この日はそのうちの3曲が演奏されました

最初は「絵画的練習曲集”音の絵”作品39」より第6番イ短調「赤頭巾ちゃんと狼」です 冒頭からおどろおどろしい音楽で、いかにも狼が赤頭巾ちゃんに襲い掛かるような印象を受けます 2曲目の第2番「海とカモメ」を聴いていたら、「カモメのジョナサン」が上空を舞っている姿を想い浮かべました 次の「”音の絵”作品33」の第7番変ホ長調「市場の情景」は、活気あふれるマーケットの様子がありありと浮かんできました

次はフォーレ「ピアノ四重奏曲第1番ハ短調作品15」です ガブリエル・フォーレ(1845‐1924)が作曲したヴァイオリン・ソナタと並ぶ初期の代表作です 1876年に作曲に着手し1879年に一旦完成、1880年パリの国民音楽協会の演奏会で初演されましたが、その後第4楽章を全面的に改訂し、1883年に最終稿を完成しました 第1楽章「アレグロ・モルト・モデラート」、第2楽章「スケルツォ:アレグロ・ヴィーヴォ」、第3楽章「アダージョ」、第4楽章「アレグロ・モルト」の4楽章から成ります

第1楽章冒頭の推進力に満ちた音楽を聴いて、フォーレの名前を冠していながら、なぜ彼らはフォーレの「ピアノ四重奏曲」を演奏しないのか、どうして録音もしないのか、と疑問に思いました 4人のアンサンブルは見事で 素晴らしい演奏だったからです とくに第3楽章「アダージョ」の穏やかな音楽が強く印象に残りました また、第4楽章のフィナーレにおける音のうねりは凄まじいものがありました 彼らはフォーレの「ピアノ四重奏曲第1番」を録音すべきです


     


プログラム後半はブラームス「ピアノ四重奏曲第1番ト短調作品25」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833-97)が1855年頃に着手し1861年に完成させた 作曲者28歳の時の作品です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「インテルメッツォ:アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第3楽章「アンダンテ・コン・モート」、第4楽章「ツィゴイナー(ジプシー)風のロンド:プレスト」の4楽章から成ります

第1楽章冒頭のピアノによる第1主題を聴くだけで「ああ、ブラームスだ」と感動を覚えます。さらにチェロにより奏でられる第2主題を聴くと、ますます「ああ、ブラームスはいいなあ」と思います。第2楽章の憂いに満ちたメロディーもいいし、第3楽章の叙情的な音楽もブラームスそのものです そして第4楽章のジプシー・ロンドこそ若き日のブラームスの特徴を表した傑作です フォーレ四重奏団によるフィナーレは、過熱した演奏とでも言うべき超高速演奏で、会場の温度を上昇させました

ブラームスは交響曲、協奏曲、室内楽、ピアノ曲、歌曲、宗教曲など多岐に渡る作品を作曲しましたが、この「ピアノ四重奏曲第1番」は彼の室内楽を代表する若き日の傑作の一つと言っても過言ではないと思います

満場の拍手に4人は、アンコールにムソルグスキー「展覧会の絵」(ピアノ四重奏曲版)から「リモージュ(市場)」を演奏、鳴り止まない拍手に同じ曲の「鶏の足の上の小屋(バーバ・ヤガ―の小屋)」を演奏し、聴衆の心をヒートアップしました これに刺激を受けて、ロビーで販売している彼らの新発売CD「展覧会の絵」を購入した人も少なくなかったことでしょう

 

     

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「METライブビューイング アンコール2018」でプッチーニ「蝶々夫人」を観る~シンプルで洗練された演出と 蝶々夫人役のK.オポライス、 ピンカートン役のR.アラーニャにブラボー!

2018年10月05日 07時18分32秒 | 日記

5日(金)。わが家に来てから今日で1463日目を迎え、プロ野球巨人が今季限りでの辞任を表明した高橋由伸監督の後任として、原辰徳・前監督に就任を要請する方針であることが分かった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     受諾すれば3度目  来年巨人が優勝できなかったら  ファンは腹立つノリになりそう

 

         

 

昨日、夕食に「豚カルビの甘辛炒め」と「ワンタンスープ」を作りました 「豚カルビ~」の正式の名前は「豚バラ肉の甘辛炒め」なのですが、結局、カルビはバラ肉のことですから同じですね

 

     

 

         

 

昨日、東銀座の東劇でMETライブビューイング  アンコール2018のプッチーニ「蝶々夫人」を観ました これは2016年4月2日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です キャストは、蝶々夫人=クリスティーヌ・オポライス、ピンカートン=ロベルト・アラーニャ、シャープレス=ドゥウェイン・クロフト、スズキ=マリア・ジフチャック、管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団、指揮=カレル・マーク・シション、演出=アンソニー・ミンゲラです

 

     

 

【ストーリー】舞台は明治時代の長崎。アメリカ海軍士官のピンカートンは、斡旋屋のゴローの紹介で日本人少女・蝶々さんと結婚することになっている 領事のシャープレスがやってきてピンカートンの軽率さをたしなめるが、彼はまったく意に介さない 蝶々さんが登場しピンカートンのためにキリスト教に改宗したことを明かす 親族一同が集まる中、結婚式が開かれるが、叔父で僧侶のボンゾが現われ、改宗した蝶々さんをなじり、親戚ともども帰ってしまう ピンカートンは悲しむ蝶々さんを慰め、二人は愛の一夜を過ごす(以上第1幕)。

その3年後。本国に帰ってしまったピンカートンを待ち続ける蝶々さんに、下女のスズキは約束は叶わないのではと言う。蝶々さんは「ある晴れた日に」で、夫への堅い愛を歌い上げる 裕福な紳士ヤマドリが蝶々さんに求婚するが蝶々さんは冷たくあしらう シャープレスが「ヤマドリと結婚してはどうか」と勧めると、怒った蝶々さんはピンカートンとの間に出来た子どもを見せ、「子どものために芸者に戻るよりは死を選ぶ」と叫ぶ。ピンカートンが乗る軍艦が長崎港に入ってくる しかし、ピンカートンはアメリカ人の妻ケイトを伴っていた ケイトの姿を見た蝶々さんはすべてを理解し、父親の形見の短刀で自害して果てる(以上第2幕)。

【このオペラの時代背景】プッチーニは「蝶々夫人」を1901年から1903年にかけて作曲しましたが、この頃のヨーロッパは東洋的なものをもてはやす「エキゾティシズム(異国趣味)」が、音楽や美術など芸術全般にわたって大流行していました 中でも注目されたのが日本でした。そんな中、ジョン・ルーサー・ロングは1897年、実際に長崎に住んだ姉から聞いた実話をもとに小説「蝶々夫人」を発表しました これをもとに劇作家のデヴィッド・べラスコは戯曲にしてニューヨークで上演し大成功を収めました プッチーニは1900年にロンドンで上演されたこの劇を観て感激し オペラ化を決意、日本大使夫人 大山久子から日本の民謡のレコードを借りたり、日本の風俗・習慣を取材したりして日本に関する知識を蓄積していきました これらをもとに、プッチーニは1895(明治28)年頃の長崎を舞台にオペラ「蝶々夫人」を作曲しました オペラの中では「お江戸日本橋」や「宮さん宮さん」などのメロディーを確認することができ、日本人のわれわれは親しみを感じます

 

     

 

舞台作りは極めてシンプルで、日本を意識して何枚かのやや大きめな障子が左右にスライドするくらいで 大がかりな仕掛けはありません    舞台の中央が丘の上になっていて、主な登場人物は舞台奥からその丘を越えて手前に降りてきます

第1幕の冒頭で斡旋屋のゴローが登場しますが、日本人から見ると やや違和感があります というのは、日本の着物を着ているのに靴を履いているからです また結婚式のため親戚一同が集まりますが、女性たちのカツラが気になります。西洋人の顔に日本髪は不釣り合いです 「蝶々夫人」に限って 出演する女性は安藤赴美子のような日本人女性に限る、と思います しかし、考えてみれば、日本人歌手がプッチーニのオペラを歌い演じることについては、西洋諸国の人から見れば やはり違和感を覚えるのではないか、と思ったりします それでも、そうしたことを超えて、プッチーニは音楽で国境を乗り越えています

第1幕終わりで蝶々さんとピンカートンが歌う「愛の二重唱」は、あらゆるオペラのデュオの中でも屈指のロマンティックな歌でしょう 上空から無数の花びらが舞う演出と相まって、思わず感情移入してしまいます

第2幕で蝶々さんがピンカートンの帰りを信じて歌う「ある晴れた日に」は涙なくして聴けません 2014年にMETの「蝶々夫人」でロール・デビューしたオポライスは、卓越したコントロールで蝶々さんに成り切って歌い上げました 「それにしても・・・」と思うのは、数日前に自由奔放なファム・ファタール(宿命の女)マノンを歌い演じていたのが、今度はまったく正反対の 帰らぬ夫を一途に待ち続ける10代の蝶々さんを歌い演じるのですから、オポライスの切り替えの早さには驚きます

R.アラーニャは もはやベテランの貫禄です この公演の直前の「マノン・レスコー」では降板したヨナス・カウフマンの代演を急きょ務め、休む間もなく今回のピンカートンを歌うことになったわけですが、相手役がマノンを歌ったオポライスだったこともあってか、二人の呼吸はピッタリと合っていました

幕間のインタビューで歌手のデボラ・ヴォイトから「ピンカートンは気軽に蝶々さんと結婚して、最後には捨ててしまうけど、ああいう男どう思いますか?」と訊かれ、アラーニャは「蝶々さんは15歳の設定ですが、ピンカートンだって22歳とかせいぜい24歳とか、まだ若いんですよ 若い時はいろいろ失敗をやらかします。私の息子は現在24歳ですが、ちょうどピンカートンと同じくらいだと思います。ピンカートンは後で自分の行為を反省しているので、その辺は分かってあげたいと思います」とピンカートンに対して同情的に語っていました。その後でヴォイトから「それでも、蝶々さんを捨てましたよね」とツッコまれていましたが

また「第2幕は終盤の出番まで時間が空くけれど、それまで どうやってモチベーションを維持するの?」と訊かれ、「歌わない時間が空きすぎると良くないので、別のオペラの練習をします 近々、ドビュッシーの『放蕩息子』を歌うことになっているので、その練習をします」と答えていましたが、これには驚きました 現在進行形のオペラの終盤の練習ではなく、別のオペラの練習をするというのですから やっぱりアラーニャはプロ中のプロです

スズキを歌ったマリア・ジフチャックは蝶々さんの侍女に相応しいメゾ・ソプラノで、シャープレスを歌ったドゥウェイン・クロフトは魅力的なバリトンでした

演出面では、蝶々さんの息子を 3人の黒子が操る「人形」が演じる形を採りました。これには文楽(人形浄瑠璃)の影響を感じました また、全体を通してシンプルながら洗練された舞台作りになっていて好感が持てました

この公演を持って私の「METライブビューイングアンコール2018」も終わりです 次は11月から始まる「METライブビューイング2018-2019」です 全10作品が今から楽しみです

 

     

     

     

     

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新国立オペラでモーツアルト「魔笛」を観る~充実した歌手陣とビデオプロジェクションを有効活用したケントリッジの演出による21世紀の「魔笛」にブラボー!~2018‐2019シーズン開幕公演

2018年10月04日 07時48分59秒 | 日記

4日(木)。わが家に来てから今日で1462日目を迎え、米紙ニューヨーク・タイムズは2日、トランプ米大統領がニューヨークで不動産業を営んでいた両親から資産を受け継ぐ際、家族ぐるみで不透明な手続きをとり、今の価値で少なくとも4億1300万ドル(約470億円)を得たと報じた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

        次から次へと過去の悪事が明らかにされる  トランプ一家は不正のデパートか!?

 

         

 

昨日、夕食に「野菜と挽肉のドライカレー」を作りました ドライカレーは親子そろって好きなので時々食べたくなります

 

     

 

         

 

昨夕、初台の新国立劇場 オペラハウスでモーツアルト「魔笛」を観ました これは大野和士 新国立オペラ芸術監督就任第1作、2018-2019シーズン開幕公演です キャストは、ザラストロ=サヴァ・ヴェミッチ、タミーノ=スティーヴ・ダヴィスリム、パミーナ=林正子、夜の女王=安井陽子、パパゲーノ=アンドレ・シュエン、パパゲーナ=九嶋香奈枝、モノスタトス=升島唯博ほか、管弦楽=東京フィル、合唱=新国立劇場合唱団、指揮=ローラント・べーア、演出=ウィリアム・ケントリッジです

 

     

 

【ストーリー】王子タミーノは大蛇に襲われるが、夜の女王に仕える三人の侍女に助けられる タミーノは夜の女王の娘パミーナが太陽の国の支配者ザラストロに捕らえられていると聞かされ、彼女を救出することを決意する 身を守るためタミーノは魔法の笛を、お供の鳥刺しパパゲーノは魔法の鈴を与えられ、ザラストロの神殿に向かう タミーノはザラストロが徳の高い高僧であることを知り、パミーナは邪悪な夜の女王から守るために匿っているとを聞かされる そして、パミーナと結ばれるためにまずパパゲーノとともに無言の修業に臨み、その後パミーナと二人で火や水の試練に挑む 厳しい試練を乗り越えた二人は祝福のうちに結ばれる 夜の女王は雷鳴とともに地獄に落ち、ザラストロを讃える声が神殿に響き渡る

 

     

 

私が新国立オペラで「魔笛」を観るのは2006年、2009年、2013年、2016年に次いで今回が5回目ですが、過去4回はすべてミヒャエル・ハンぺの演出でした 今回はMETライブビューイング、ショスタコーヴィチ「鼻」の演出でもお馴染みのウィリアム・ケントリッジによるプロダクションなので楽しみにしていました

舞台の幕にはエッシャーの「だまし絵」のような室内の模様が投影されています すでにここからケントリッジの演出は始まっています。3つの和音で始まる「序曲」が終わり 幕が開くと、タミーノが出てきて大蛇に襲われそうになり、三人の侍女に救われるわけですが、ビデオプロジェクションによってドローイング、アニメーション、あるいは影絵の手法で背景が変化していきます   舞台の物理的な奥行きに加えて、ビデオプロジェクションによる映像の奥行きが3D画面を見るように表出され、現実の世界と映像の世界が混然一体となって迫ってきます こういう演出なら大人も子供も十分楽しむことができると思います

レチタティーボの部分では、チェンバロではなくアップライト・ピアノが弾かれたので意外に感じました また、通常の公演では、アリアを歌い終わるたびに拍手が起こり オペラがその都度中断しますが、指揮者ローラント・べーアは拍手が起こる前に次の音楽の開始を指示します  「拍手をさせない」演出によってモーツアルトの心地よいテンポが維持されます   それでも、安井陽子による第1幕と第2幕の「夜の女王のアリア」と、林正子による第2幕のパミーナのアリアの直後は、しばし拍手が鳴り止みませんでした

パミーナのアリアと言えば、話かけても沈黙を守るタミーノの態度を愛の喪失と受け取りパミーナが苦悩のアリアを歌う訳ですが、その時、パミーナがタミーノに話かけると、タミーノは(試練のため)声を出せない代わりに魔笛を吹きます。そのメロディーが(昨日のブログでご紹介した)「フルート四重奏曲第1番ニ長調K.285」の第2楽章「アダージョ」でした これまで観てきた「魔笛」のこのシーンでこの曲が流れたことは記憶にないので、このプロダクション独自の演出だと思いますが、曲想としてはピッタリの選曲です

歌手陣は主役級のパミーナ、タミーノ、ザラストロから三人の童子に至るまで充実していました。中でも特に印象に残った歌手と上げると、パミーナを歌った林正子が最も声が良く出ていたと思います 美しい声でソロを、パパゲーノとのデュオを歌いました 安井陽子の「夜の女王のアリア」を初めて聴いたのは2009年の新国立オペラでしたが、度肝を抜かれたことを覚えています その時のコロラトゥーラ・ソプラノは今でも健在です。とくに第2幕のアリアは迫真の演技・歌唱でした

ザラストロを歌ったサヴァ・ヴェミッチは深みのあるバスで存在感がありました タミーノを歌ったスティーヴ・ダヴィスリムは決して軽くはないテノールですが、安定感のある歌唱力を発揮しました

三人の侍女(増田のり子、小泉詠子、山下牧子)はそれぞれが個性豊かで歌も良かったです パパゲーナを歌った九嶋香奈枝は新国立の魔笛で2度歌った鵜木絵里のように当たり役になっています また、モノスタトスを歌った升島唯博は身のこなしが軽く声も軽く、独特のキャラを演じ歌いました

特筆すべきはローラント・ベア指揮東京フィルの演奏と、三浦洋史率いる新国立劇場合唱団の高いパフォーマンスです 最後に、この公演の成功はウィリアム・ケントリッジによる斬新な演出なくしてあり得なかったことを付け加えておきます カーテンコールにチームのメンバー(美術、衣装、照明、プロジェクション等)と共に現れ、満場の拍手とブラボーを浴びるケントリッジの満面の笑みがこの公演の成功を物語っていました

 

     

 

この日の公演を観るに当たって、事前に新国立オペラのホームページで「大野和士のオペラ玉手箱with  Singers Vol.1『魔笛』(ハイライト版)」の動画を見て予習しました これは音楽監督・大野和士氏が『魔笛』のカバー歌手たちが歌う主なアリアのピアノ伴奏を務めながら解説を加えるという内容です この公演を理解するのに大いに役立ちました。これから観劇される方はご覧になると参考になると思います

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工藤重典フルートカルテットのモーツアルト「フルート四重奏曲全曲演奏会」を聴く~工藤重典✕堀米ゆず子✕篠崎友美✕山崎伸子による渾身の演奏~浜離宮朝日ホール

2018年10月03日 07時22分16秒 | 日記

3日(水)。わが家に来てから今日で1461日目を迎え、トランプ米大統領は1日の記者会見で、自動車に追加関税を発動するとの「脅し」が、日本などとの新たな2国間協議の開始につながったとの認識を示した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      安倍首相は「トランプとはお友だち」と楽観してると 後でしっぺ返しにあうぜ!

 

  昨日は娘も私も外食だったので夕食作りはお休みしました  

 

         

 

昨夕、浜離宮朝日ホールで「工藤重典フルートカルテット W.A.モーツアルト フルート四重奏曲全曲演奏会」を聴きました プログラムは、モーツアルトのフルート四重奏曲①第1番ニ長調K.285 、②第2番ト長調K.285a、③第3番ハ長調K.Anh.171/285b、④第4番イ長調K.298、⑤ヘ長調K.370 (原曲:オーボエ四重奏曲K.370)です 演奏は、フルート=工藤重典、ヴァイオリン=堀米ゆず子、ヴィオラ=篠崎友美(新日本フィル首席)、チェロ=山崎伸子です

 

     

 

ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)は1777年9月、職探しのためパリへ旅立ちました その途中 マンハイムで長期間滞在しましたが、現地の宮廷オーケストラのフルート奏者ヨハン・バプティスト・ヴェンドリングと親交を結びました   モーツアルトは彼からオランダ東インド会社に勤務する裕福な医師フェルディナント・ドゥジャンを紹介されます。音楽愛好家でフルートも嗜むドゥジャンはモーツアルトに「フルートのための小さくて軽く短い協奏曲を3曲と四重奏曲を数曲 作曲するよう」注文しました その結果、モーツアルトが作ったのが「フルート協奏曲第1番」、「同第2番」(オーボエ協奏曲の編曲版)、フルート四重奏曲3曲でした しかし、約束より作品数が足りないということで報酬は半分以下に減らされてしまいました この日演奏されるのは、そのフルート四重奏曲(3曲)を含む5曲です

演奏の順番はプログラム前半に比較的馴染みの薄い「第2番K.285a」と「第4番K.298」、そして「ト長調K.370」(オーボエ四重奏曲の編曲版)を演奏し、後半に演奏機会の多い「第3番K.Anh.171」と「第1番K.285」を演奏するというプログラミングです 同じ種類の音楽が続くので 最後に一番有名な作品を取っておくという苦肉の策と言えるでしょう

自席は1階4列5番、左ブロック右から2つ目です。会場は7割方埋まっている感じでしょうか

4人の演奏者が登場し配置に着きます。左から蝶ネクタイが似合う工藤さん、キンキラ金のさりげなくない派手な衣装の堀米さん、黒の上に青系統の衣装をまとった山崎さん、上が黒、下がカラフルな幾何学模様のスタイリッシュな衣装の篠崎さんという並びです

曲目の「第2番ト長調K.285a」は1778年1月か2月にマンハイムで作曲されたと考えられていますが、自筆譜が存在せず真偽について疑問が持たれています 第1楽章「アンダンテ」、第2楽章「テンポ・ディ・メヌエット」の2楽章から成ります

2曲目の「第4番イ長調K.298」は1786年の秋から翌年の初め頃にかけてウィーンで作曲されたと考えられています 第1楽章「アンダンテ」、第2楽章「メヌエット」、第3楽章「ロンド:アレグレット・グラツィオーソ」の3楽章から成ります

3曲目の「フルート四重奏曲ト長調K.370」は、モーツアルトのオーボエ四重奏曲へ長調K.370」を、彼の死から10年後の1801年に原曲より2度高いト長調に編曲し出版された作品(編曲者不詳)です オリジナルの「オーボエ四重奏曲K.370」はモーツアルトが1780年11月から1781年3月までミュンヘンに滞在していた際、1781年初めに当時の名オーボエ奏者フルードリム・ラムのために書かれました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「ロンド:アレグロ」の3楽章から成ります

前半の3曲を聴いた限りでは、あくまでも主役である工藤氏のフルートを弦楽の3人がでしゃばることなくしっかりと支えることに徹したバランスの取れた演奏でした   中でも一番モーツアルトを演奏する喜びを体現していたのはチェロの山崎さんでした ヴィオラの篠崎さんも顔には出さないけれど悦びが音に現われていました 残念ながら堀米さんのヴァイオリンは絶好調からはやや遠いところにありました

 

     

 

プログラム後半の1曲目は「第3番ハ長調K.Anh.171/285b」です この曲はドゥジャンのために作曲した3曲のうちの1曲と考えられていますが、1782年頃にウィーンで作曲されたという説もあります 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンティーノ」の2楽章から成ります

明るくリズミカルな第1楽章が終わり、第2楽章の心地良い音楽を聴いていて、「待てよ、この曲どこかで聴いたことがあるぞ・・・」と思いました 容量の限られた私の脳にグーグルの検索をかけてやっと出て来たのは「セレナード第10番変ロ長調『グランパルティータ』K.361」の第6楽章と同じメロディーだということでした 「グランパルティータ」は「13楽器のセレナード」とも呼ばれています。楽器編成は、オーボエ2、クラリネット2、バセットホルン2、ホルン4、ファゴット2、コントラバス1というもので、フルートは入っていません モーツアルト自身の作品ですから、どの曲をどの曲に流用しようが自由ですが、それにしても楽器編成が違うだけでメロディーは一緒というのは、「フルート協奏曲第2番ニ長調K.314」と「オーボエ協奏曲ハ長調K.271k」が同じ曲であるのと同様、モーツアルトはよほど切羽詰まって作品を完成させる必要に迫られていたのでしょう

最後は一番有名で演奏する機会が最も多い「第1番ニ長調K.285」です この曲は1777年12月25日にマンハイムで完成されました。第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「ロンド」の3楽章から成ります

第1楽章は冒頭から音楽が青空を翔るようです 他のフルート四重奏曲に比べて個々の楽器のメロディーがくっきりと浮き上がります

小林秀雄は『モオツアルト』の中で、モーツアルトの弦楽五重奏曲第4番ト短調K.516の冒頭部分を指して「モオツアルトのかなしさは疾走する。涙は追いつけない。涙の裡に玩弄するには美しすぎる」と表現していますが、この言葉はアンリ・ゲオンの『モーツアルトとの散歩』からヒントを得ていると言われています 著作の中でゲオンは「フルート四重奏曲第1番K.285」の第1楽章について次のように表現しています

「第1楽章(アレグロ)は1787年の無二の傑作 弦楽五重奏曲ト短調(K.516)の冒頭部アレグロの 最高の力感のうちに見い出される新しい音を 時として響かせている それは ある種の表現しがたい苦悩で、流れゆく悲しさ、言い換えれば、爽快な悲しさとも言えるテンポの速さと対照をなしている。この晴れやかな陰鬱という点からみれば、それはモーツアルトにしか存在せず、思うに、彼のアダージョやアンダンテなどのうちいくつかをよぎる透明な告白よりもずっと特殊なものである

この捉え方からすれば、第1楽章はただ単にあっけらかんとした明るい演奏ではいけないことになりそうです しかし、この日の4人の演奏のように、素直に明るく喜びに満ちた表現で良いように思います

むしろ、この曲で聴くべきところは第2楽章のアダージョの悲しさから第3楽章の喜びへの急変です 弦楽器のピッツィカートに乗せて憂いに満ちたメロディーを奏でていたフルートが、一瞬のうちに歓喜の世界を歌い上げます

この部分に言及して「皆がまだ泣いているのに、モーツアルトはもう笑っている」と表現したのは、やはり小林秀雄だったでしょうか 貧相な脳に検索にかけてもなかなか出てきません この部分における4人の演奏は適度に抑制が効いていて素晴らしかったです

大きな拍手の中、主役の工藤氏がマイクを持って登場し

「フルート四重奏曲全曲を一度のコンサートで演奏する機会は滅多にありません 今回は3人の素晴らしい演奏家も揃ったのでチャレンジすることにしました フルート四重奏曲ばかりで飽きてしまうんじゃないかと心配していたのですが、何とか最後まで演奏し切りました アンコールに第2番のメヌエットを演奏します

とあいさつし、第2番の第2楽章「テンポ・ディ・メヌエット」を演奏して大きな拍手の中 コンサートを締めくくりました モーツアルト好きにはたまらない演奏会でした。今度は誰かヴァイオリン協奏曲全曲演奏会でもやってくれませんかねえ

 

     

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フォーレ四重奏団でモーツアルト「ピアノ四重奏曲第1番」、メンデルスゾーン「ピアノ四重奏曲第2番」、シューマン「ピアノ四重奏曲」を聴く~トッパンホール

2018年10月02日 07時17分41秒 | 日記

2日(火)。わが家に来てから今日で1460日目を迎え、トランプ米大統領が29日、ウェストバージニア州で開かれた選挙集会で北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長について「私は彼が好きだ。彼も私が好きだ。互いに非常に厳しくあたってきた。関係は行ったり来たりした。そして恋に落ちた」と語った というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      独裁者同士で気が合うんだろうな  でも「恋は盲目」という  この二人あぶねえ!  

 

         

 

昨日、夕食に「豚こま de ポークケチャップ」「鶏肉団子スープ」「マグロの山掛け」を作りました 「豚肉~」は cookpad のレシピです。スープは鶏ガラスープの素で適当に作りました。両方とも美味しいです

 

     

 

         

 

昨夕、トッパンホールでフォーレ四重奏団のコンサート(第1夜)を聴きました プログラムは①モーツアルト「ピアノ四重奏曲第1番ト短調K.478 」、②メンデルスゾーン「ピアノ四重奏曲第2番ヘ短調作品2」、③シューマン「ピアノ四重奏曲変ホ長調作品47」です

フォーレ四重奏団は ドイツ・カールスルーエ音楽大学卒の4人が1995年に結成して以来、不動のメンバーで23年間レギュラー活動してきた 他にあまり例を見ない常設のピアノ四重奏団です  メンバーはヴァイオリン=エリカ・ゲルトゼッツァー、ヴィオラ=サーシャ・フレンブリング、チェロ=コンスタンティン・ハイドリッヒ、ピアノ=ディルク・モメルツの4人です 


     


フォーレ四重奏団の人気を反映して 会場は文字通り満席です

1曲目はモーツアルト「ピアノ四重奏曲第1番ト短調K.478 」です   この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756‐1791)が、「フリーメーソンのための葬送音楽」の直後の1785年10月16日(作曲者29歳)に完成させた作品です この後 歌劇「フィガロの結婚」が書かれ、その後「ピアノ四重奏曲第2番変ホ長調K.493」が書かれています このため、ト短調で書かれた第1番の方はフリーメーソンの世界に曲想が近く、変ホ長調で書かれた第2番の方はフィガロの結婚の世界に曲想が近いと感じられます

この曲は第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「ロンド:アレグロ・モデラート」の3楽章から成ります

4人が登場、さっそく演奏に入ります。音楽学者アインシュタインが「運命のモティーフ」と呼んだ第1楽章の冒頭は衝撃的です 第2楽章は穏やかな音楽が奏でられます。そして第3楽章は明るくモーツアルトらしさに溢れた音楽です ピアノ四重奏曲、あるいはピアノ五重奏曲というとピアノが突出して弦楽の音を掻き消してしまうことがままありますが、さすがは23年間不動のメンバーです ピアノのディルク・モメルツはソロの部分は強く出ますが、弦楽が絡むときは音量を調整します したがって、この四重奏団の大きな特徴は4人の演奏家の完全な調和といえるでしょう それと、4人の演奏姿を見ていると演奏する喜びに溢れています。とくにこのモーツアルトではそう感じます

彼らのモーツアルト「ピアノ四重奏曲第1番&第2番」は下のCDに収められています。2005年6、7月の録音です


     


2曲目はメンデルスゾーン「ピアノ四重奏曲第2番ヘ短調作品2」です この曲はフェリックス・メンデルスゾーン(1809‐1847)が1823年に作曲し、師のツェルターに献呈されました ということは彼が14歳の時の作品です 第1楽章「アレグロ・モルト」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「インテルメッツォ:アレグロ・モデラート」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

4人の演奏で第1楽章に入りますが、冒頭のメランコリックな主題が印象的です これが作品全体を支配します 本当に14歳の少年が作曲したのか  

第2楽章のアダージョはとても美しい   とくにエリカ・ゲルトゼッツァーの第1ヴァイオリンが弱音で美しいメロディーを奏で、それをサーシャ・フレンブリングのヴィオラとコンスタンティン・ハイドリッヒのチェロがフォローし、陰でディルク・モメルツのピアノがしっかりと支えるところはロマンティシズムの極致です マジ14歳で作ったのか 

第3楽章の間奏曲を経て、第4楽章はこの曲の白眉です   躍動感にあふれる主題が疾走します。これぞメンデルスゾーンの真骨頂です

実は、私が初めてフォーレ四重奏団のコンサートを聴いた時、この第4楽章がアンコールとして演奏されたのです  その時は作曲者名も曲名も知りませんでしたが、この曲のこの演奏にヤラレました    メンデルスゾーンとフォーレ四重奏団にのめり込むキッカケになったと言っても過言ではありません    それ以来、フォーレ四重奏団のCDを買い集めました(と言っても、それほど点数は多くないのですが)。メンデルスゾーンに関しては、それまでは16歳の時に書いた「弦楽八重奏曲」が神童の証明だと思っていたのですが、14歳で書いたというこの「ピアノ四重奏曲第1番」を聴いて、これこそ神童の証明ではないかと思うようになりました 神に誓って14歳で作曲したのか

フォーレ四重奏団のメンデルスゾーン「ピアノ四重奏曲第2番&第3番」は下のCDに収録されています。2009年7月の録音です


     


プログラム後半はシューマン「ピアノ四重奏曲変ホ長調作品47」です この曲はロベルト・シューマン(1810‐1856)が1842年10月24日から11月6日までの短期間に作曲した作品です この年には3つの弦楽四重奏曲、ピアノ五重奏曲、ピアノ四重奏曲を立て続けに作曲しており、「室内楽の年」と呼ばれています

第1楽章「ソステヌート・アッサイ~アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「スケルツォ:モルト・ヴィヴァーチェ」、第3楽章「アンダンテ・カンタービレ」、第4楽章「フィナーレ:ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

この曲は予習の時間があまり無かったので、特に印象に残った感想を書くことにします それは第3楽章「アンダンテ・カンタービレ」におけるチェロの演奏です それまでは、それほど前面に出る機会もなく、地味な存在に徹していたコンスタンティン・ハイドリッヒのチェロが 俄然輝きを増してロマン溢れる演奏を展開したのです 他の弦楽とピアノを含めてもこの楽章こそ全体の白眉というべき楽章でした

第4楽章は4人の渾身の演奏による圧巻のフィナーレでした 会場いっぱいの拍手とブラボーに応え、4人はムソルグスキー(ピアノ四重奏用編曲版)「展覧会の絵」から「バーバ・ヤガー」を類まれな集中力で演奏、それでも鳴りやまない拍手に 同じ曲の最後の曲「キエフの大門」をスケールの大きな演奏で圧倒し、会場の温度を2度上昇させました

私がフォーレ四重奏団の演奏を初めて聴いたのは、チラシに書かれた「彼らの演奏を聴いた人は誰でも必ずまた聴きたくなるでしょう」というマルタ・アルゲリッチの言葉を信じたからです   彼女の言葉を信じた結果が、いまこうしてフォーレ四重奏団の演奏について書いていることにつながっています

次は5日(金)に同じトッパンホールでブラームスとフォーレのピアノ四重奏曲とラフマニノフの音の絵というプログラムを聴きます。楽しみです

【追記】ともさんからアンコールの1曲目は「小人」ではないか、とのご指摘がありました。確認したところご指摘の通りでした。ともさんにお礼を申し上げるとともに、ここに訂正させていただきます


     

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