人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

バッハ・コレギウム・ジャパンでJ.S.バッハ「2台&3台のチェンバロのための協奏曲」、カンタータ第30番「喜べ、贖われた者たちの群れよ」他を聴く ~ 第147回定期演奏会

2022年03月22日 07時20分42秒 | 日記

22日(火)。わが家に来てから今日で2628日目を迎え、20日付の英紙サンデー・テレグラフは、ロシア軍がウクライナで戦死した自国兵の遺体を極秘裏にベラルーシに移送している可能性があると報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     多くのロシア兵が戦死したことが分かれば  プーチンの立場が悪くなるからだろう

 

         

 

昨日、夕食に「ひき肉と野菜のドライカレー」を久しぶりに作りました 材料はひき肉、トマト、ナス、ピーマン、玉ねぎです ブロッコリーとミニトマトと目玉焼きを乗せてワンプレートにしました。とても美味しかったです

 

     

 

         

 

昨日、東京オペラシティコンサートホールでバッハ・コレギウム・ジャパンの「第147回定期演奏会 バッハの誕生日を祝って」を聴きました バッハは今から337年前の1685年3月21日に生まれました ちなみにヘンデルも同じ1685年生まれ(2月28日)です

プログラムは当初発表されていた順番が一部変わり、 J.S.バッハ ①3台のチェンバロのための協奏曲 第2番 ハ長調 WV1064、②2台のチェンバロのための協奏曲 ハ短調 BWV1060、③3台のチェンバロのための協奏曲第1番 ニ短調 BWV1063、④プレリュードとフーガ  ト短調 BWV.535、⑤カンタータ第30番「喜べ、贖われた者たちの群れよ」BWV30です 演奏は①②③のチェンバロ独奏=鈴木雅明、鈴木優人、大塚直哉、④のオルガン独奏=鈴木優人、⑤のソプラノ=松井亜希、アルト=久保法之、テノール=櫻田亮、バス=加藤宏隆、合唱・管弦楽=バッハ・コレギウム・ジャパン、指揮=鈴木雅明です

 

     

 

1曲目は「3台のチェンバロのための協奏曲 第2番 ハ長調 WV1064」です この曲は1733年以前に作曲されました 原曲は「3つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ長調」です。第1楽章「(テンポ指定なし)」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ」の3楽章から成ります

ステージ上にはチェンバロが3台並んでいます。演奏者は向かって左から鈴木優人、鈴木雅明、大塚直哉という並びです その手前に弦楽奏者がコンミスの若松夏美を筆頭にヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ヴィオローネ(コントラバス)の5人がスタンバイします この曲ではチェンバロの第1奏者を優人氏、第2奏者を大塚氏、第3奏者を雅明氏が務めます

2曲目はバッハ「2台のチェンバロのための協奏曲 ハ短調 BWV1060」です この曲は1732~36年頃にライプツィヒで作曲された作品です 散逸した「オーボエとヴァイオリンのための協奏曲」が原曲だと思われますが、その曲がバッハの作かどうか不明です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ラルゴまたはアダージョ」、第3楽章「アレグロ」の3楽章から成ります

バックを務める弦楽奏者がコンミスの荒木優子を筆頭に5人とも入れ替わります この曲では第1奏者を優人氏が、第2奏者を雅明氏が務めます

3曲目はバッハ「3台のチェンバロのための協奏曲第1番 ニ短調 BWV1063」です この曲はヨハン・セバスティアン・バッハ(1685ー1750)が1730~33年頃にライプツィヒで作曲した作品です 第1楽章「(テンポ指定なし)」、第2楽章「アッラ・シチリアーナ」、第3楽章「アレグロ」の3楽章から成ります 

この曲では最初に演奏した若松夏美チームが再びバックを務め、チェンバロは雅明氏が第1奏者を、大塚氏が第2奏者を、優人氏が第3奏者を務めます

プログラム前半では以上3曲が演奏されましたが、当初発表されたプログラムの演奏順を急に変えるのは本当に困ります 少なくとも私は混乱しました 変えるのなら「1曲目〇〇、2曲目〇〇、3曲目〇〇という順番に変えて演奏します」と丁寧に説明してほしいと思います

3曲を通じて、チェンバロの演奏は3人とも素晴らしいのは言うまでもないことですが、如何せん会場が大きすぎます チェンバロの音は小さいのでそれが2台になっても3台になっても、小さい音には変わりありません 弦楽奏者もガット弦を張っているので大きな音は出ません もともとバッハは宮廷の室内で演奏するように作曲したので、本来は少数の聴衆を相手に演奏すべき作品です まあ仕方ないのかな、とも思います そうした中で、「2台協奏曲」の第2楽章におけるコンミス若松夏美のヴァイオリン・ソロは素晴らしい演奏でした

休憩後のプログラム後半の1曲目は「プレリュードとフーガ  ト短調 BWV.535」です この曲は1708年から23年の間に作曲されました 演奏は鈴木優人です

この曲は初めて聴きましたが、とくにフーガの部分が素晴らしく、終盤における重層的な音の重なりはずっしりと心に刻まれました

最後の曲は「カンタータ第30番『喜べ、贖われた者たちの群れよ』BWV30」です この曲は1738年以降に作曲されました。洗礼者ヨハネの祝日のために作曲されたものです 雅明氏は演奏修了後、「バッハの誕生日に何を演奏したらバッハが喜んでくれるかな、と考えた結果選んだのがヨハネの祝日にちなむこの曲です」と語っていましたが、祝祭感に溢れた作品です

オケの規模が拡大します。舞台下手の弦楽器群の後方にはトランペット,ティンパニが、上手にはオーボエ、ファゴット、フラウト・トラヴェルソがスタンバイします 中央にはオルガン、チェンバロ、チェロ、ヴィオローネといった通奏低音が控えます

最初にバスの加藤宏隆が登場しますが、深みのある独特の声質で歌唱も申し分ありませんでした 彼のバックを務めたフラウト・トラヴェルソの菅きよみが素晴らしい演奏を展開していました また別のアリアの時に伴奏を付けたオーボエの三宮正満の演奏も素晴らしいものがありました アルトの久保法之は透明感のある歌唱で聴衆を魅了しました ソプラノの松井亜希はノンヴィブラートの歌唱が素晴らしかったです 櫻田亮はもはや余裕です

特筆すべきは合唱団です。正確なドイツ語、クリアな歌唱はドイツ人も驚くといいます

カーテンコールの後、雅明氏がマイクを持って登場し、「2022年度シーズンも本公演を持って終了いたします ウクライナに限らず、世界が緊張の状況にある中、コンサートなんかやっている場合か、という考えもあるかもしれませんが、音楽の大切さを皆さんと共有したいと思います」とあいさつし、「普通はアンコールはないのですが、『カンタータ第147番』から『主よ、人の望みの喜びよ』を演奏します」とし、管弦楽と合唱で演奏、満場の拍手の中コンサートを締めくくりました 第147回定期演奏会のアンコールに第147番のカンタータのコラールを持ってくるとは流石です

私は2000年のシーズンから22年間B.C.Jの定期会員を継続してきましたが、この日をもって最後とします もちろん、定期会員を一時辞めるといというだけで、単発でチケットを購入することは今後もあると思います ということで、今年度で一区切りします

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松田青子著「女が死ぬ」を読む ~ 女性の視点で男性中心社会を揶揄した作品が印象的 / 今週は6回コンサート

2022年03月21日 07時01分28秒 | 日記

21日(月)。昨日 都内で桜の開花宣言が出ました 昨年より早いそうです。ウクライナに早く春よ来い

今週は火曜日を除いて毎日コンサートです 幸い6回のうち夜の公演が2回のみなのでまだマシです それでも腰痛持ちにはつらい毎日に違いありません これまでのようにコルセット着用で乗り切りたいと思います

ということで、わが家に来てから今日で2627日目を迎え、韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮が20日午前、ロケット砲とみられるものを4発発射した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     バイデン米大統領の目が ウクライナに集中して 相手にしてくれないから焦ってる

 

         

 

松田青子著「女が死ぬ」(中公文庫)を読み終わりました 松田青子(まつだ  あおこ)は1979年兵庫県生まれ。同志社大学文学部英文学科卒業。2013年、デビュー作「スタッキング可能」が三島由紀夫賞及び野間文芸新人賞候補になる。2019年に短編「女が死ぬ」がアメリカのジャーリイ・ジャクスン賞短編部門の候補となり、21年に「おばちゃんたちがいるところ」がレイ・ブラッドベリ賞の候補となった 「おばちゃんたちがいるところ」は当ブログでご紹介しました

 

     

 

本書は「ワイルドフラワーの見えない1年」(2016年8月刊・河出書房新社)から「女が死ぬ」に改題したものです 標題となった「女が死ぬ」をはじめ全部で53篇の物語が収録されていますが、15ページの長編?「女が死ぬ」から、タイトルの「水蒸気よ永遠なれ」だけで白紙のままの作品まで、変化に富んでいます 巻末に「著者ひと言解説」が掲載されていて、著者がそれぞれの短編を書いた動機などを告白しています

その中で一番印象に残ったのは「あなたの好きな少女が嫌い」です こんな風に始まります

「あなたの好きな少女が嫌いだ。あなたの好きな少女は細くて、可憐で、はかなげだ。間違っても、がははと笑ったりはしない    がははと笑うような少女をあなたは軽蔑している。というか、それはもうあなたにとっては少女ではない     では、がははと笑う少女はどこに行けばいいのか

そして、あなたの好きな少女は「弱くて、非力で、不器用で~」「我がままで、自由で、子猫のように移り気で~」「センスが良くて、前途有望で、いろいろ教えがいがあり~」と続きます そして、「それがあなたにとっての正統派の少女であり、それ以外の少女はあなたの目には映らない」とし、反撃に出ます 「わたしは、イスにお行儀よく座ったあなたの好きな少女に鼻眼鏡をかけさせる。貧弱な体を強調するような、ミニスカートとレースのブラウスを脱がせ、頑丈なオーバーオールを着せてみる・・・・あなたがあなたの好きな少女にがっかりすればいいと思いながら」と続けます

この一編を読んだ時、「著者は男性が女性に対して抱いている固定観念に対する怒りを表現しているな」と思いました 「そんな女性はどこにもいないよ 女性に一方的な理想像を押し付けておいて、男である自分はどうなんだ。鏡を見てからものを言え」というような

これに似たような作品が「この国で一番清らかな女」です 物語は・・・この世で一番清らかな女と結婚したいと思う王子がいた。科学技術者に、一度でも性的に触れられた場所が発光して見える特別な眼鏡を作ってもらった それにより、王子はどこも光っていない美しい娘と結婚した しかし、王子が彼女の身体に触れようとするとパンチを浴びせられて拒否される 事情を聞くと、娘の両親は世の中の恐ろしい事件に胸を痛め、娘に幼い頃から武道を習わせ、「触れられる前に殴れ」と教えていたのだった 王子は娘が慣れてくれるのを待つことにしたが、今のところ王子は毎日ボコボコだ・・・という話です

この話は男性が女性に一方的に理想を抱いて何とか結婚したものの、結局、自分の思い通りにはいかないことを描いています どんなに相手に理想像を求めても、相手も生身の人間。自分勝手な妄想はやめた方がいい、と言わんとしているように思えます   逆もまた真なりですが

男性対女性という観点で書かれた作品で注目すべきなのは「男性ならではの感性」です 物語は・・・男性ライターが男性ならではの感性で提案した男性向けの新商品は、世間に驚きをもって迎えられた 男性ならでは感性で開発された商品だとネットや雑誌などでも次々と紹介され、まずまずどころではない売り上げを記録したのである・・・・男性ライターは『男性自身』『週刊男性』『男性セブン』『紳士公論』といった男性誌で連載を持ち、好評を博した・・・男性の時代が訪れていた。男性にも選挙権をと男たちが戦ったのははるか彼方のことだ 政府も国をあげて男性の活躍を支援してくれていた・・・というストーリーです

つまり、この作品は男性と女性が置かれている現在の立場を逆転させて、いまだに改善されていない男性中心社会を揶揄している作品となっているのです ここにも著者の怒りを感じます

また、この本には「ナショナルアンセムの恋わずらい」「ナショナルアンセム、間違う」「ナショナルアンセム、ニューヨークへ行く」という同じ主人公が登場する3つの作品があります ナショナルアンセムとは国歌のことです。著者は「君が代」とは書いていませんが、それを意味しているのは明らかです 「ナショナルアンセムの恋わずらい」では、入学式で歌ってくれない少年に対して、「ぼくがどんな歌だったら、きみはぼくのことを歌ってくれるんだろう ぼくの何がいけないんだろう。歌詞が意味不明? 時代遅れでダサい? それとも何か別の理由? ぼくが流行のヒップホップだったら、きみは歌ってくれたんだろうか。ぼくは片思いをしている。片思いはさみしかった」と「君が代」の気持ちを代弁しています これを読むと、著者は君が代に特別の思いを抱いているのだろうか、と思ってしまいます

標題になっている「女が死ぬ」は「女が死ぬ。プロットを転換させるために死ぬ。話を展開させるために死ぬ。カタルシスを生むために死ぬ。それしか思いつかなかったから死ぬ。ほかにアイデアがなかったから死ぬ。というか、思いつきうる最高のアイデアとして、女が死ぬ」と始まります そして「彼が悲しむために死ぬ。彼が苦しむために死ぬ・・・・」と続いていきますが、最後の1行が効いています それは読んでのお楽しみです

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林美智子プロデュース「ドン・ジョヴァンニ」を観る ~ アンサンブルだけで構成されたオペラ公演:第一生命ホール「室内楽ホール de オペラ」

2022年03月20日 07時04分59秒 | 日記

20日(日)。わが家に来てから今日で2626日目を迎え、ロシアがウクライナ南部のクリミアを併合してから8年を記念した集会が18日 モスクワで開かれ、大観衆の前でプーチン大統領は ロシア系住民を大量虐殺から解放するためにウクライナでの「作戦」が必要だと改めて侵攻の正当性を訴えたが、中継した国営テレビ番組では演説途中で別の映像に突然切り替わる一幕があった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     映像が突然切り替わるなど普通はあり得ない  裏で反乱があったと思うのが自然だ

 

         

 

昨日、晴海の第一生命ホールで「室内楽ホールホール de オペラ」シリーズ、「林美智子の『ドン・ジョヴァン二』」を観ました この公演は2016年3月の「コジ・ファン・トゥッテ」、2018年3月の「フィガロの結婚」に続く林美智子セルフ・プロデュースによるモーツアルトの「アンサンブル・オペラ・シリーズ」第3弾です 過去の2作とも観ましたが愉しかったので今回もチケットを取りました

出演はドン・ジョヴァン二=黒田博、ドンナ・エルヴィーラ=林美智子、ドンナ・アンナ=澤畑恵美、レポレッロ=池田直樹、騎士長=妻屋秀和、後藤春馬、山田大智(3人)、ドン・オッターヴォオ=望月哲也、ツェルリーナ=鵜木絵里、マゼット=加来徹、ピアノ=河原忠之です

 

     

 

自席は1階6列12番、左ブロック右通路側です。会場は7割くらい入っているでしょうか

ステージ後方上部にはスクリーンが設置され、字幕スーパーが縦書きで表示されるようになっています ステージ上は左奥にグランドピアノが置かれ、中央には椅子が5脚置かれているだけのシンプルな舞台です。客席は前列から2~3列目までは演出上空席になっています

本公演はイタリア語で歌われ、レチタティーヴォ(セリフ部分)は日本語で語られます

河原のピアノで序曲が最強音で奏でられますが、ど迫力でした そしてレポレッロ(池田直樹)が登場し「夜も昼も休む間もなく」とこぼしていると、ドンナ・アンナ(澤畑恵美)とドン・ジョヴァンニ(黒田博)が登場し言い争いが始まります 私はこの三重唱が大好きです 伴奏がオケだろうがピアノだろうが関係ありません。3人とも素晴らしい歌唱でした その後、ドンナ・アンナとドン・オッターヴィオ(望月哲也)の二重唱「行って、無慈悲な人」となり、ツェルリーナ(鵜木絵里)とマゼット(加来徹)の二重唱「恋を楽しむ乙女たちよ」が続きます そしてドン・ジョヴァンニとツェルリーナによる有名な二重唱「お手をどうぞ」が歌われます その後、ドンナ・エルヴィーラ(林美智子)が現れ「信用してはいけません、気の毒な方」を歌いドンナ・アンナ、ドン・オッターヴィオ、ドン・ジョバン二による四重唱となり、マゼット、ツェルリーナ、レポレッロが加わり第1幕のフィナーレを迎えます 林美智子、望月哲也、鵜木絵里、加来徹もそれぞれの役柄がピッタリで、素晴らしい歌唱力です

このように、本公演はソロのアリアがなく二重唱、三重唱、四重唱などアンサンブルのみで構成されています したがってレポレッロの「カタログの歌」もありません しかし、アンサンブルだけなのに、何の違和感もなく「ドン・ジョヴァンニ」が楽しめます いかにモーツアルトのオペラではアンサンブルが重要な役割を果たしているかが分かります

本公演ではなぜか騎士長が3人(妻屋秀和、後藤春馬、山田大智)出てきますが、「三位一体」のメインはバスの妻屋秀和です 第2幕終盤でドン・ジョヴァンニに「悔い改めよ」と迫る歌唱は芸術選奨文部科学大臣賞ものでした

 

     

 

可笑しかったのは、ツェルリーナ(鵜木絵里)とマゼット(加来徹)のコンビです 他の出演者が標準語で話しているのに、なぜかこの2人だけは博多弁で話していて、ツェルリーナがドン・ジョヴァン二に誘惑されそうになったシーンでは、マゼット「やっぱり、あん男となんかあったんじゃなかと?」、ツェルリーナ「なんもなかばい!」という感じです 鵜木絵里は「魔笛」のパパゲーナとか「コジ・ファン・トゥッテ」のデスピーナのようなコミカルな役柄は「右に出る者はいない」ほど”はまり役”ですが、このツェルリーナもピッタリです ダンスのシーンではツイストを踊っていましたが、それって60年代の踊りですばい。絵里さん、そんな古い人じゃなかとでしょ また、加来徹はバッハ・コレギウム・ジャパンでの真面目なバリトン歌手の一方で、こうしたコミカルな役も真面目にこなすイケメンです 真面目にやればやるほど可笑しか~

 

     

 

最初から最後まで一人でオーケストラの役割を果たしたピアノの河原忠之氏に大きな拍手が送られました 最後に、本公演のプロデューサーとして日本語セリフ台本を書き、演出を務めながら自らドンナ・エルヴィーラを歌った林美智子さんに満場の拍手が送られました ドン・ジョヴァンニに変装したレポレッロとドンナ・エルヴィーラが暗闇でデートするシーンで、舞台下にいるドン・ジョヴァンニに「暗闇でしか見えぬものがある 暗闇でしか聞こえぬ歌がある」と言わせたところは聴衆にバカ受けでした

今回も期待を裏切らない愉しい公演でした 本公演は21日(月・祝)午後2時からの部もあります 第一生命ホールにカムカムエブリバディ

 

     

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ベレゾフスキーも終わった ~ 「キエフを包囲し電力を遮断しろ」と発言 / 医師の免許を持つヴァイオリニスト石上真由子のクラリネット奏者・村井祐児との交遊抄 ~ 日経から

2022年03月19日 07時03分21秒 | 日記

19日(土)。AFP=時事通信は、ロシアのピアニスト、ボリス・ベレゾフスキー氏(53)が、ウクライナの首都キエフの電力を遮断して圧力をかけるよう発言し、クラシック音楽界に衝撃が広がっていると伝えています 配信の概要は次の通りです

「ベレゾフスキー氏は10日、ロシアの政府系テレビ局「第1チャンネル」のトーク番組に出演し、『素朴な質問がある。彼ら(ウクライナ)に情けをかけ、慎重に物事を進めているのは分かる。だが、彼らを気に掛けるのはやめて(キエフを)包囲し、電力を遮断したらどうだろうか』『西側メディアが報じていることは真っ赤なうそだ。われわれはこの戦争に勝ち、この国で何かいいもの、素晴らしいものを築かなければならない。最後には真実が人々に届くと確信している。1年後には真実が勝つ』と強調した。ピアニスト兼指揮者のラルス・フォークト氏はベレゾフスキー氏の発言を受け、『私の元友人、ボリス・ベレゾフスキーがこのような発言をしたことは信じられない。だが、私は彼の口からその言葉を聞いた。私たちの友情は正式に終わった』とツイッターに投稿した

ボリス・ベレゾフスキーといえば1990年の「チャイコフスキー国際コンクール」で優勝、その後 長年にわたり世界中で活躍し、日本人のわれわれには毎年5月の連休に東京国際フォーラムで開かれていた「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」の常連としてお馴染みのピアニストです その彼が人殺しプーチン政権を擁護するばかりか、ロシア軍の容赦ない攻撃で多数の死傷者を出しているウクライナの首都キエフの電力を遮断しろと主張しているのです とうてい正気の沙汰とは思えません。プーチンに余程甘い汁を吸わせてもらったのではないか、と勘繰ってしまいます それとも政権からの圧力で不本意ながら「言わされた」のか いずれにしてもあえて言葉として語ったことは事実として残ります 同じ「第1チャンネル」で生放送中にポスターで戦争反対を訴えたオフシャ二コワさんとは真逆の行動です ベレゾフスキー氏は「1年後には真実が勝つ」と語りましたが、その通りです ただし、真実は一つしかありません。彼は1年後に過ちを認めることになる 今回の発言により良心のあるクラシックファンは確実にベレゾフスキー離れを起こすでしょう 残念ですが、私は ベレゾフスキーは終わったな、と思います

ということで、わが家に来てから今日で2625日目を迎え、バイデン米大統領は17日、米議会内の会合で、ウクライナで軍事作戦を続けるロシアのプーチン大統領を「人道に反する戦争をしかけた人殺しの独裁者だ」と糾弾した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     何の罪もないウクライナの人々を殺し ロシアの若者を戦場に送って戦死させている

 

         

 

昨日の夕食は2週間に一度のローテにより「鶏の唐揚げ」を作りました いつも通り 外 カリカリ 中 ジューシーに仕上がり、とても美味しかったです

 

     

 

         

 

昨日の日経朝刊 文化欄のコラム「交遊抄」にヴァイオリニストの石上真由子さんが執筆していました 超略すると次の通りです

「数年前、大学を卒業したばかりの頃、京都の喫茶店でヴァイオリンを弾いていたが、ある日、東京藝大名誉教授でクラリネット奏者の村井祐児氏が来店した 演奏を聴いた後『打ち上げに』と1万円札を残していった 面識のない著名人からいただいたお金にビックリした 以後東京から京都まで泊りがけで毎回コンサートを聴きに来てくれた。『なんでそんなに来てくれるんですか』と聞くと、『石上真由子はおもしろい』と一言。一番の思い出は、渋る先生を説得して共演したブラームス 枯れた音に先生の内面の音楽がにじみ出ていて、気づくと涙がこぼれていた 自分はずっと、長生きはしたくないものと思ってきたが、年をとらねば出せない音があるのだ 一昨年京都から東京に引っ越したが、体調を崩された先生とお会いできずにいる。私は頑張っています、と伝えたい

石上真由子さんは5歳からヴァイオリンを始め、8歳の時にローマ国際音楽祭に招待されています 第7回ルーマニア国際音楽コンクール弦楽部門第1位をはじめ数多くのコンクールで入賞しています また、彼女は京都府立医科大学卒という異例の経歴の持ち主で、医師免許を持つヴァイオリニストとして全国的に活躍しています 彼女のツイッターを見ると、「この人、いつ休んでいるんだろう」と疑問に思うほど協奏曲に室内楽に全国を駆け巡っています

石上さんの演奏は昨年8月14日の「読響三大協奏曲」でメンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲  ホ短調」を、10月24日の「東京ハルモニア室内オーケストラ」定期演奏会でメンデルスゾーンの「ヴァイオリンと弦楽のための協奏曲  ニ短調」を聴きましたが、いずれも自然なヴィブラートが美しい素晴らしい演奏でした

現在も京都にお住まいかと思っていたら、東京に拠点を移されたようです どうりでツイッターに歌舞伎座が良く出てくると思いました 彼女は15代片岡仁左衛門ファンです これからのご活躍をお祈りしています

 

     

 

         

 

東京交響楽団の「第85回 川崎定期演奏会」のチケットを入手しました     4月24日(日)午後2時開演のコンサートで、プログラムは①サロネン「ヘリックス」、②ラヴェル「ピアノ協奏曲ト長調」、③同「高雅で感傷的なワルツ」、④ストラヴィンスキー「火の鳥」(1919年版)です   演奏は②のピアノ独奏=リーズ・ドゥ・ラ・サール、指揮=リオネル・ブランギエです

 

     

 

これは、先日の読響コンサートの休憩時間に、川崎市在住のS氏から、当日都合が悪くなったので日程が空いていたら代わりに行かないか、と声を掛けられ、実費で譲ってもらったものです 幸い リーズ・ドゥ・ラ・サールは一度ライブで聴いたことがあり、サイン入りCDも持っているので、もう一度聴いてみたいと思いました

 

     

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藤岡幸夫✕郷古廉✕東京シティ・フィルでシベリウス「ヴァイオリン協奏曲」「交響曲第2番」他を聴く ~ 都民芸術フェスティバル / ムター ✕ ミュンヘン・フィルのウクライナ支援コンサート

2022年03月18日 07時06分41秒 | 日記

18日(金)。「月刊音楽祭」はツイッターで次のようにツイートしています

「子どもの権利団体『セーブ・ザ・チルドレン』は16日、3月8日のミュンヘン・フィルを中心に行われたチャリティー・コンサートで、333,000ユーロ(約4332万円)の善意が寄せられたと発表した コンサートはヴァイオリニストのアンネ=ゾフィー・ムターの主導で行われた。このコンサートではウクライナ国歌、ムターをソリストに迎えたベートーヴェン『ヴァイオリン協奏曲』、同『交響曲第5番』などが演奏された ムターは2014年からウクライナの子どもたちとその家族に人道援助も提供している

アンネ=ゾフィー・ムターは人間的にも素晴らしいですね

ということで、わが家に来てから今日で2624日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は16日、ウクライナ侵攻後の欧米の対ロシア制裁強化に関し、欧米がロシアに仕掛けた「経済の電撃戦」は失敗したと強気の姿勢を示した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシアの経済破綻は時間の問題だということは プーチンが一番よく知っているだろ

 

         

 

昨日、夕食に「トンテキ」「生野菜とツナのサラダ」「白菜の味噌汁」を作りました トンテキは目玉焼きを乗せると一層美味しいです

 

     

     

         

 

昨夕、東京芸術劇場コンサートホールで「2022都民芸術フェスティバル」参加公演「東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 春を告げて」を聴きました オール・シベリウス・プログラムで、①交響詩「4つの伝説」作品22~第4曲「レンミンカイネンの帰郷」、②ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47、③交響曲第2番 ニ長調 作品43です 演奏は②のヴァイオリン独奏=郷古廉、指揮=藤岡幸夫です

指揮を執る藤岡幸夫は現在、関西フィル首席指揮者と東京シティ・フィル首席客演指揮者を務めています

 

     

 

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものシティ・フィルの並び。コンマスは戸澤哲夫です

1曲目はシベリウス「交響詩『4つの伝説』」作品22から第4曲「レンミンカイネンの帰郷」です    この交響詩はジャン・シベリウス(1865‐1957)が国民的民族叙事詩「カレワラ」の「レンミンカイネン神話」に基づいて作曲した連作交響詩で、第1曲「レンミンカイネンと鳥の乙女たち」、第2曲「トゥオネラの白鳥」、第3曲「トゥオネラのレンミンカイネン」、第4曲「レンミンカイネンの帰郷」の4曲で構成されています 1896年4月13日にヘルシンキで初演されました

藤岡の指揮で演奏に入ります キレのある弦楽器を中心に、上り坂にあるオーケストラを体現するような活気に満ちた演奏を展開しました

2曲目はシベリウス「ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47」です この曲は1903年に作曲され、1904年にヘルシンキで初演されました 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アダージョ・ディ・モルト」、第3楽章「アレグロ・マ・ノン・タント」の3楽章から成ります

真嶋雄大氏によるプログラム・ノートによると、シベリウスはヘルシンキ音楽院でヴァイオリンと作曲を学び、ヴァイオリニストを目指していましたが、極度の緊張症のため学内のコンサートで失敗、以降は作曲家を目指したということです

ヴァイオリン独奏の郷古廉(ごうこ  すなお)は1993年生まれ。2013年ティボール・ヴァルガ・シオン国際ヴァイオリン・コンクールで優勝、同時に聴衆賞・現代曲賞を受賞しています

弦楽器群の弱音に乗せて独奏ヴァイオリンが哀愁溢れるメロディーを奏でます 郷古のヴァイオリンは凛として繊細かつノーブルです 第2楽章では冒頭のクラリネット、オーボエ、フルートによる動機を受けて独奏ヴァイオリンが抒情的なメロディーを美しく歌い上げます 郷古の演奏は最弱音から最強音までの幅が広く、ダイナミックな演奏を展開します 第3楽章では、オケのリズムに乗せて躍動感あふれる演奏を繰り広げます 郷古は藤岡 ✕ 東京シティ・フィルの確かなサポートを受けて、技巧を凝らしたスケールの大きな演奏を展開しました

 

     

 

プログラム後半は「交響曲第2番 ニ長調 作品43」です この曲は1902年に作曲され、同年ヘルシンキで初演されました 第1楽章「アレグレット ~ ポコ・アレグロ ~ トランクィロ、マ・ポコ・ア・ポコ、ラヴィヴァンド・イル・テンポ・アル・アレグロ」、第2楽章「テンポ・アンダンテ、マ・ルバート ~ アンダンテ・ソステヌート」、第3楽章「ヴィヴァチッシモ ~ レント・エ・ソウブ ~ ラルガメンテ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・モデラート」の4楽章から成ります

全体を聴いた印象では、弦楽器群の渾身の演奏が光ります とくにチェロのトップの2人(長明、香月)などは躍動感に満ち溢れ、死に物狂いで演奏にのめり込んでいました また、フルートの竹山愛、オーボエの本多啓佑、ファゴットの石井野乃香(?)を中心とした木管楽器群の演奏が冴えわたり、ホルン、トロンボーン、トランペット、チューバといった管楽器が分厚いブラス・サウンドを繰り広げていました 藤岡はオケから最大限の力を引き出しスケールの大きな演奏を展開しました オーケストラ・シリーズの掉尾を飾るのに相応しい素晴らしい演奏でした

カーテンコールがありましたが、藤岡は腕時計を指さして「時間がありません。これでおしまい」と言わんばかりに戸澤コンマスを羽交い絞めして、ほとんど拉致状態で舞台袖に引き上げていきました 時計を見るとジャスト21時でした 前日の公演では「休憩時間は15分」としたところトイレの長蛇の列が解消できなかったことを反省して、「休憩時間は20分」とアナウンスしたようで、これが指揮者を慌てさせる間接的な原因になったのではないか、と想像します それにしても、なにも羽交い絞めしなくてもいいのに・・・戸澤さん大丈夫かな

 

     

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松本宗利音 ✕ 阪田知樹 ✕ 読売日響でベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番」、チャイコフスキー「交響曲第5番」他を聴く

2022年03月17日 07時10分02秒 | 日記

17日(木)。昨夜23時34分頃発生した宮城県、福島県を中心とした地震にはびっくりしました 現地で震度6強ということなので相当大きな地震です マンション9階のわが家も大きく揺れ、時間も長く揺れていました モコタロは耳を立ててオロオロしていました CDラックが前後に揺れたのでCDが落ちるかと思いましたが、何とか持ちこたえました 皆さんのお宅は大丈夫でしたか? 東北地方の皆さんが心配です。死傷者が出ないことを祈るばかりです

ということで、わが家に来てから今日で2623日目を迎え、中国の政府系政治学者がウクライナ情勢をめぐり、ロシアのプーチン大統領と「早急に手を切る」よう習近平指導部に進言する文章を15日までに国外のサイトで公開したが、政府の外交姿勢と異なる異例の主張で、この文章は中国国内で一時拡散されたが、現在は検閲対象になっているというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     相変わらず中国では 習近平政権の意に沿わない言論は 一方的に封殺されているな

     

         

 

昨日、夕食に「親子丼」「生野菜とアボカドとクリームチーズのサラダ」「もやしの味噌汁」を作りました 親子丼は多めに作ったので満腹です

 

     

 

         

 

昨夜、東京芸術劇場コンサートホールで「2022都民芸術フェスティバル」参加公演「読売日本交響楽団 ~ 珠玉の名曲」を聴きました プログラムは①モーツアルト:歌劇「後宮からの誘拐」序曲、②ベートーヴェン「ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 作品58」、チャイコフスキー「交響曲第5番 ホ短調 作品64」です 演奏は②のピアノ独奏=阪田知樹、指揮=松本宗利音です

松本宗利音・・・初めてこの名前に接した時は読み方が分かりませんでした そうりおと・・・しゅうりおと・・まさかシューリヒトと読むとは予想外でした ネット情報によると、クラシック愛好家のご両親がドイツの巨匠指揮者カール・シューリヒト(1880ー1967)の夫人の許可を得て命名したとのことです 同じ当て字でも「修理人」では台無しなので、音楽の「音」が入っている宗利音で良かったと思います

会場は9割近く入っていると思われます 良く入りました

 

     

 

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの読響の並び。コンマスは小森谷巧、その隣は林悠介というダブルコンマス態勢を敷きます

1曲目はモーツアルト:歌劇「後宮からの誘拐」K.384から「序曲」です このオペラはウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756‐1791)がオーストリア皇帝ヨーゼフ2世の依頼により1781年から翌82年にかけて作曲、1782年7月16日にウィーンのブルク劇場で初演されました モーツアルトはその直後に、このオペラのヒロインと同名のコンスタンツェ・ヴェーバーと結婚しており、「海賊に捕らわれた婚約者を助ける」という歌劇のストーリーは極めて暗示的です

松本の指揮で演奏に入ります 速めのテンポでメリハリをつけて進める音楽運びは、理想的なモーツアルトの演奏スタイルです。軽快そのものでした

2曲目はベートーヴェン「ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 作品58」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770‐1827)が1805年から翌06年にかけて作曲、1807年3月にウィーンのロブコヴィッツ侯爵邸で私演され、1808年12月22日にアン・デア・ウィーン劇場で公開初演されました この日は「交響曲第5番」、「同第6番」、「ピアノ協奏曲第4番」、「合唱幻想曲」ほかが初演され、この日の演奏会記録によると「暖房もない劇場で少数の観客が寒さに耐えながら聴いていたが、演奏時間は4時間を超えた」(Wikipediaより)とのことです 要するに大失敗だったようです 今でこそ名曲中の名曲ぞろいの記念すべき初演ですが、4時間も座って聴いていたらあなた、腰痛にもなります それに当時の聴衆でどれほどの人がベートーヴェンの”新作”を理解できたか非常に疑問です 蛇足ですが、「月刊音楽祭」のツイッターによると、アン・デア・ウィーン劇場が3月末から大規模改修工事に入ると発表したそうです ツイッターによると「1801年エマヌエル・シカネーダーによって建てられた建物が前身。大規模な改修工事は1962年以来で600万ユーロ(約7億8千万円)かけて2024年のリニューアルオープンを目指す」としています 冷暖房設備を充実してほしい(ベートーヴェンより)てか

ピアノ協奏曲第4番は第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アンダンテ・コン・モート」、第3楽章「ロンド:ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

ピアノ独奏の阪田知樹は2016年フランツ・リスト国際ピアノコンクール第1位、6つの特別賞を受賞したほをはじめ、数々の国際ピアノコンクールで入賞を果たしています 現在ハノーファー音楽演劇大学大学院ソリスト過程に在籍中です 阪田氏のツイッターによると、この曲は約10年前に「ウィーンの三羽烏」の一人、パウル・バドゥラ・スコダ(1927‐2019)に師事していた頃、2日間みっちり指導を受けたとのこと また、指揮者の松本宗利音は東京藝大時代の同期生とのことです

阪田のピアノ独奏により第1楽章が開始されます それまでのピアノ協奏曲は序奏部があって、あとから主役の独奏ピアノが入ってきますが、この曲は冒頭からピアノが登場するところが大きな特徴です 阪田特有の知的な演奏が続きますが、終盤のカデンツァは激しくも美しい演奏で魅了されました カデンツァはベートーヴェン自身が2種類作っていますが、阪田が演奏したのは師匠のパウル・バドゥラ・スコダが採用した方ではないかと推測します 第2楽章はオケとピアノとの対話が興味深く聴けます 強圧的なオケの呼びかけに対し、ピアノが訥々と諭すような物語性を持っているように思います 「この国は我が国の領土だ」「いや、違います。我が国は独立国です」「歴史的には我が国の領土だと解釈できるぞ」「それは一方的な解釈です」「つべこべ言うな。こうなったら力づくだ」・・・というような 切れ目なく入る第3楽章は、独奏ピアノとオケとの躍動感あふれる丁々発止のやり取りが展開し、晴れやかなフィナーレを飾ります

会場いっぱいの拍手に、阪田はアンコールに得意のリストを演奏するのかと思いきや、どうも違うようで、どうやらドビュッシーらしい曲を演奏しましたが曲名は分かりません 流麗そのものの演奏で聴衆を魅了しました

休憩時間には男女ともトイレに長蛇の列が出来ました 間違いなく阪田知樹人気現象です

 

     

 

プログラム後半はチャイコフスキー「交響曲第5番 ホ短調 作品64」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840‐1893)が1888年に作曲、同年ペテルブルクで初演されました 第1楽章「アンダンテ ~ アレグロ・コン・アニマ」、第2楽章「アンダンテ・カンタービレ・コン・アクルーナ・リセンツィア ~ モデラート・コン・アニマ ~ アンダンテ・モッソ ~ アレグロ・ノン・トロッポ」、第3楽章「ワルツ:アレグロ・モデラート」、第4楽章「フィナーレ:アンダンテ・マエストーソ ~ アレグロ・ヴィヴァーチェ ~ モデラート・アッサイ・エ・モルト・マエストーソ ~ プレスト」の4楽章から成ります

この曲の大きな特徴は、第1楽章冒頭でクラリネットによりほの暗く表れるメロディーが「運命の動機」となって、全楽章で表情を変えながら様々な形で登場し、最終楽章では勝利のテーマとして表れることです

第1楽章冒頭をはじめクラリネット首席の金子平の演奏が素晴らしかったです また、第2楽章冒頭はまるでホルン協奏曲のようにホルンが活躍しますが、首席の松坂隼の演奏が抜群の安定感で素晴らしい演奏を繰り広げました 第3楽章は弦楽器群を中心に流麗な演奏が展開しました 第4楽章は弦楽器の渾身の演奏に加え、トロンボーン、トランペット、ホルン、チューバといった金管楽器が咆哮し、打楽器が炸裂し、熱い演奏で若き指揮者を盛り立てました

 

     

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黒田祐次著「物語 ウクライナの歴史 ヨーロッパ最後の大国」を読む ~ ロシアのウクライナ侵攻を受けて今だからこそ読むべき必読書

2022年03月16日 07時22分07秒 | 日記

16日(水)。わが家に来てから今日で2622日目を迎え、ロシアの国営テレビ「第1チャンネル」で、14日夜の看板ニュース番組「ブレーミャ」の生放送中に、同テレビの編集者の女性が「戦争反対。プロパガンダを信じないで。あなたは騙されている」と書かれたポスターを掲げて映り込み、その後 警察に連行されたとAFP通信が伝えた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     厳罰覚悟の勇気ある決死の行動だ  ロシア人は彼女の行動を無駄にせず目を覚ませ! 

 

         

 

昨日の夕食は、娘が職場の同僚から仕入れてきた「馬刺し」を「ローストポークとモッツァレラチーズ」「生野菜とハムとクリームチーズのサラダ」「舞茸の味噌汁」と一緒にいただきました 馬刺しは大蒜醤油でいただきましたが、美味しかったです

 

     

 

          

 

黒田祐次著「物語  ウクライナの歴史 ヨーロッパ最後の大国」(ちくま新書)を読み終わりました 著者の黒川祐次氏は1944年愛知県生まれ。東京大学教養学部卒。外務省入省後、在モントリオール総領事、在ウクライナ大使・モルトバ大使(兼務)、衆議院外務調査室長、日本大学国際関係学部教授などを歴任 2004年に12月のウクライナ大統領選挙の際には日本監視団団長を務めた

 

     

 

本書は今から20年前の2002年に刊行され、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、2022年3月に第8版が出版されました

本書は次の8章から構成されています

第1章「スキタイ  ー  騎馬と黄金の民族」

第2章「キエフ・ルーシ  ー  ヨーロッパの大国」

第3章「リトアニア・ポーランドの時代」

第4章「コサックの栄光と挫折」

第5章「ロシア・オーストリア両帝国の支配」

第6章「中央ラーダ  ー  つかの間の独立」

第7章「ソ連の時代」

第8章「350年間待った独立」

上記の各章の見出しを見るだけでもウクライナが周辺諸国からの侵略を受けながら、やっと独立を勝ち取ったことが窺えます ウクライナがなぜ侵略を受けてきたかといえば①「ヨーロッパの穀倉」と言われるほど肥沃な大地に恵まれており、耕地面積は日本の全面積に匹敵するほど広大であること、②ロシア、アジアと西欧諸国を結ぶ通路にあり、ウクライナがどうなるかによって東西のバランス・オブ・パワーが変わるという地政学的な重要性を備えていること、が挙げられています こうしたことを反映して、ウクライナは20世紀だけで6回も「独立宣言」を発布しているといいます ①1918年1月=キエフでの中央ラーダの「ウクライナ国民共和国」、②同年11月=リヴィウでの「西ウクライナ国民共和国」、③1919年1月=キエフでのディレクトリア政府と西ウクライナ政府が合併した「ウクライナ国民共和国」、④1939年3月=フストでの「カルパト・ウクライナ共和国」、⑤1941年6月=リヴィウでのOUN(ウクライナ民族主義者組織)によるウクライナ独立宣言、そして⑥ソビエト連邦の崩壊に伴う1991年8月24日の「ウクライナ」独立宣言です

現在ウクライナに侵攻を続け、何の罪もない人々を殺し、世界を大混乱に貶めているロシアのプーチン大統領が、なぜウクライナ、とりわけキエフに固執しているのかについては、第2章「キエフ・ルーシ ヨーロッパの大国」にヒントがあります

ポイントを要約してご紹介すると次の通りです

「キエフ・ルーシ公国は10~12世紀に、当時のヨーロッパの大国として君臨し、その後のロシア、ウクライナ、ベラルーシの基礎を形作った しかし、その後モンゴルの侵攻などでキエフが衰退したのに対し、いわば分家筋のモスクワが台頭し、スラヴの中心はモスクワに移ってしまった ルーシ(ロシア)という名前さえモスクワに取っていかれた。そこで、ウクライナという名前を新しく作らなければならなかった。キエフ・ルーシ公国は、ウクライナの国というよりは、モスクワを中心とするロシア発祥の国として捉えられるようになった しかし、1991年にウクライナがソビエト連邦から独立したことによって、あらためてキエフ・ルーシは誰のものかという問題が浮上するようになった つまり、キエフ・ルーシ公国の直系の後継者はロシアかウクライナかという問題だ

「これはロシアにとっては解決済みの問題だ。ロシア側の言い分はこうである。キエフ公国の滅亡後、ウクライナの地はリトアニアやポーランドの領土となり、国そのものが消滅してしまい、継承しようにも継承者がいなくなってしまった これに対し、キエフ・ルーシ公国を構成していたモスクワ公国は断絶することなく存続して、キエフ・ルーシ公国の制度と文化を継承し、その後のロシア帝国に発展していった。これからみても、ロシアがキエフ・ルーシ公国の正当な継承者であることにはいまさら議論の余地はない

「しかし、ウクライナにとっては、キエフ・ルーシ公国の正当な継承者であるかどうかは、自国が1000年前からの栄光の歴史を持つ国か、またはこれまでロシアの一地方であった単なる新興国かどうかという国の格にも関係する重要な問題だ ウクライナのナショナリストの言い分はこうである。モスクワを含む当時のキエフ・ルーシ公国の東北地方は民族・言語も違い、ようやく16世紀になってフィン語に代わってスラブ語が使われるようになったほどだった。15世紀のモスクワは、キエフ・ルーシ公国の支配下にあった非スラブ諸部族の連合体であり、キエフ・ルーシ公国のシステムとはまったく異なり、別系統の国である

これを読むと、「キエフ・ルーシ公国」に対する両国の解釈の違いが現在も続いていることが分かります プーチン大統領が上記の考えに基づいてウクライナのキエフを重要視していることも分かります

本書では、キエフに残る街の門(キエフの大門)がムソルグスキー「展覧会の絵」の中に取り入れられていることや、キエフ・ルーシ文化史の中に「イーゴリ軍記」(12世紀後半)が残されているが、これをもとにボロディンが歌劇「イーゴリ公」を作曲したことなども紹介されています

また、本書ではウクライナ出身の芸術家を紹介しています 音楽家ではピアニストのウラディミール・ホロヴィッツ、エミール・ギレリス、スヴトスラフ・リヒテル、チェリストのグレゴール・ピアティゴルスキー、ヴァイオリニストのアイザック・スターン、ダヴィッド・オイストラフ、ナタン・ミルシテインといった巨匠たちが名を連ねていて、音楽界だけを取ってみてもウクライナが優秀な民族で成り立っていることが窺えます

著者は最後に、ウクライナと日本の関係について次のように書いています

「ウクライナと日本は、お互いに古い歴史と文化を持ち それを大切に守ってきたこと、とくにコサックと侍は勇気・名誉・潔さなどの共通の価値観を持っており、これが現代にも受け継がれていること、両国とも農業を基礎とした社会であったこと、両国とも石油・天然ガス資源に恵まれていないこと、しかし教育には熱心で教育水準が高いこと、両国が世界で核の悲劇の被害者であったこと、お互いに共通の隣人があり、問題を抱えていること、など共通点がある

最後の「お互いに共通の隣人があり、問題を抱えていること」とは、言うまでもなく、日本ではロシアとの北方領土問題であり、ウクライナではロシアとの政治的な問題です 本書の初版は20年前なので、今の時代に置き換えれば、2014年のロシアによるクリミア半島併合と現在のウクライナへの侵略です

ロシアのプーチン大統領がこれからどうしようと考えているのかまったく分からないので、今後のウクライナ情勢の行方が読めませんが、何の罪もない人々が不条理にも殺されていく事態がいつまでも許されるわけがありません ウクライナ国民だけでなく、ロシア国民を騙し、世界の政治・経済を大混乱に陥れたプーチンは、いつか必ず断罪されることは間違いないと思いますが、それまでわれわれはウクライナのために出来ることをしなければならないと思います そのためにはウクライナの国と歴史を正しく理解することも大切だと思います 本書はその手引きとして相応しい本だと思います。今だからこそ読みたい本です。お薦めします

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「エリーナ・ガランチャ メゾ ソプラノ・リサイタル」抽選申し込み / 北村紗衣著「批評の教室 ~ チョウのように読み、ハチのように書く」を読む ~ 精読する ⇒ 分析する ⇒ 書く

2022年03月15日 07時18分22秒 | 日記

15日(火)。テイト・コーポレーションから「エリーナ・ガランチャ  リサイタル2022開催のお知らせ」メールが届きました 本公演は2020年5月23日、24日の2日間 すみだトリフォニーホールで開かれる予定でしたが、新型コロナ禍の影響で中止となり、1年後に延期となりました しかし、それもコロナ禍が長引きさらに延期となっていました 私は一旦払い戻しをしたので、新たにチケットを取る必要がありますが、払い戻しをせずチケットを持っている人はそれが有効とのことです METライブビューイング「カルメン」「サムソンとデリラ」などでお馴染みのエリーナ・ガランチャは何が何でもライブで聴きたいと思っていたので、抽選に申し込むことにしました 公演日程は①6月28日(火)19時開演、②6月29日(水)19時開演の2日間で、会場はいずれも すみだトリフォニーホールです     全席指定でS席=17,000円、A席=15,000円、B席=13,000円、C席=11,000円です。抽選日は4月8日(金)となっています    どうか28日の公演に当選しますように

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2621日目を迎え、ロシアのシルアノフ財務相は13日、同国のウクライナ侵攻に対する米欧などの制裁で、ロシアが保有する金と外貨準備のうち約3000億ドル(約35兆2千億円)相当が凍結されたが、打撃の緩和へ中国に期待していることを国営テレビで明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     今度は中国の習近平政権が 人殺しプーチン政権に加担するかどうかが 注目される

 

         

 

昨日の夕食は久ぶりに「ビーフカレー」を作りました いつものようにわが家のビーフカレーはブロック肉でなく牛バラ肉を使います

 

     

 

         

 

北村紗衣著「批評の教室 ~ チョウのように読み、ハチのように書く」(ちくま新書)を読み終わりました 北村紗衣は1983年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科修了。武蔵大学人文学部英語英米文化学科准教授。専門はシェイクスピア、舞台芸術史、フェミニスト批評

 

     

 

本書は次の4章から構成されています

第1章「精読する」 ~ 精読とは? 精読のためにすべきこと・すべきでないこと

第2章「分析する」 ~ 批評理論とは? タイムラインに起こしてみる とりあえず図に描いてみる 価値づけする

第3章「書く」 ~ 書き始める 切り口を提示し分析する 書くためのテクニック

第4章「コミュニティをつくるー実践編」 ~ 「あの夜、マイアミで」「華麗なるギャツビー」

著者は「批評は作品を楽しむためにある」として、上記の章立てに沿って、批評を「精読する」「分析する」「書く」の3つのステップに分けて、その方法を解説していきます サブタイトルの「チョウのように読み、ハチのように書く」は言うまでもなく、ボクシングチャンピオンだったモハメド・アリの有名な決まり文句「俺はチョウのように舞い、ハチのように刺す」をもじった言葉です 著者は「批評するにはある程度フットワークの軽さが必要だ」と語ります 「ある作品に触れたら、その作品に関連するいろんなものに飛び移って背景を調べたり、比較したりすることにより、作品自体について深く知ることができるようになる」としていますが、それが「チョウのように読み」の意味です そして、「軽いフットワークで作品の背景を理解したら、次は突っ込まないといけない 作品を批評しながら楽しむ時は何か1か所、突っ込むポイントを決めてそこを刺すのがやりやすい方法だ」として、「羽を生やした後には針を身に着ける必要がある」と書いていますが、それが「ハチのように刺す」という意味です

「批評とは何をするものなのか?」という問いに、著者は「作品の中から一見したところではよく分からないかもしれない隠れた意味を引き出すこと(解釈)と、その作品の位置づけや質がどういうものなのかを判断すること(価値づけ)が、批評をすべき大きな役割としてよく挙げられる」と解説しています

これに関連して著者は美学の専門家で批評の哲学を研究しているノエル・キャロルの次の言葉を紹介しています

「批評というのは記述、解明、分類、文脈付け、解釈、分析に『価値づけ』をプラスしたもので、価値づけは批評にとって不可欠である

著者は「解釈と価値づけのどちらがより重要な批評の役割かというと、どちらも批評がすべきことだと思う」として、「私が一番大事だと思っていて、繰り返しいろんなところで言っているのは、批評に触れた人が、読む前よりも対象とする作品や作者についてもっと興味深いと思ってくれればそれは良い批評だ、ということだ」と語っています

これはよく理解できます 私は毎日のようにコンサートを聴いたり、映画を観たり、本を読んだりした感想をブログに書いていますが、一番気をつけているのが北村さんの言う「読む前よりも対象とする作品や作者についてもっと興味をもってくれる」ように書くことです 他人様の書いたコンサートに関するブログを拝見していると、たまに プロのオーケストラやソリストの演奏をケチョンケチョンに貶している文章に接することがありますが、果たして、そういう批評や感想を読んだ人がその作品や演奏家を好きになれるだろうか、もっと言えば、クラシック音楽を好きになれるだろうか、と疑問に思ってしまいます 私は余程のことがない限り演奏を貶さないようにしています 出来るだけ良い面を取り上げて紹介し、クラシック音楽の素晴らしさを知ってくれる人が増えれば良いと思っています そのために、ブログを書くにあたっては作曲家の情報(生年・死亡年など)や作品の内容(楽章構成、時代背景など)を調べ、コンサート前にCDを聴いて予習し、コンサートでは事前にプログラム冊子に目を通し、目で見た舞台が再現できるように楽器配置、客入り状況などをメモします 演奏中は集中して聴き、休憩時間には演奏で気がついた点をメモします そして家に帰ってブログを書くわけですが、一つでも誰も書かないことを書くように心がけています もし、私が書いたブログの中に「ああ、そうだったのか!」とか「そういう視点もあったのか!」と、初めて気がついたことがあれば、それが「誰も書かないこと」です

また 最近 映画館に行かなくなってしまいましたが、映画館やNetflixで映画を観る時にいつも注意を傾けているのはクラシック音楽が使われているか、使われていれば、どういう場面で誰の何という曲が使われているかです 曲名が分からない場合は後で CD や YouTube で調べます 北村さんの言う「突っ込むポイントを1か所決めて、そこを刺す」に当てはまるのが私の場合は「映画で流れるクラシック音楽」ということになります

こうしてみると、どうやら私は(成果は別として)「チョウのように読み、ハチのように書く」を すでに実践していると考えていいんでしょうか

北村さんはシェイクスピアの専門家ということで、本書は文学作品の批評を中心に扱っているので、音楽を聴いた感想を書く場合には若干ズレを感じますが、それでも参考になる点が少なくありません   それらを個々にご紹介するわけにもいかないので、興味のある方は本書を手に取ってご覧ください

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マキシム・パスカル ✕ 前橋汀子 ✕ 読売日響でショーソン「詩曲」、ラヴェル「ツィガーヌ」「ダフニスとクロエ」第2組曲他を聴く ~ 読響マチネーシリーズ

2022年03月14日 07時07分42秒 | 日記

14日(月)。今日はなぜか全国的にホワイトデーということで、私も1か月前を思い出して、昨日コンサート帰りに、娘にチョコを買ってきました     夕方の池袋東武のデパ地下はチョコ目当ての買い物客でごった返していました     左は SAISON  DE  SETSUKO の「ショコラの調べ  春」、右は RUYS DAEL の「クリーミーショコラ  ミカドコーヒー」です

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2620日目を迎え、ウクライナのゼレンスキー大統領が俳優時代に主演したコメディードラマ「国民の奉仕者」の放映権を求め、スウェーデンのストックホルムにある「エコー・ライツ」社に世界から問い合わせが殺到している  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     放映権料はウクライナに寄付されるそうだけど 現実はコメディでなくトラジディだ

 

         

 

昨日、東京芸術劇場コンサートホールで読売日響の土日マチネーシリーズ公演を聴きました 前日の土曜マチネーを日曜マチネーに振り替えました プログラムは土日共通で、①ベルリオーズ:劇的物語「ファウストの劫罰」から「妖精の踊り」「鬼火のメヌエット」「ハンガリー行進曲」、②ショーソン「詩曲」、③ラヴェル「ツィガーヌ」、④ルベル:バレエ音楽「四大元素」、⑤ラヴェル:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲というオール・フランス音楽です 演奏は②と③のヴァイオリン独奏=前橋汀子、指揮=マキシム・パスカルです

マキシム・パスカルは1985年生まれ。パリ国立高等音楽院でフランソワ=グザヴィエ・ロトに師事、2014年にフランス人として初めてネスレ・ザルツブルク音楽祭ヤング・コンダクターズ・アワードを受賞し、欧州で活躍しています

振り替え後の自席は2階M列32番、センターブロック右から3つ目です。会場は8割くらいは入っていると思われます

 

     

 

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの読響の編成。コンマスは小森谷巧、その隣は林悠介というダブル・コンマス態勢を敷きます

最初の曲はベルリオーズの劇的物語「ファウストの劫罰」から「妖精の踊り」「鬼火のメヌエット」「ハンガリー行進曲」です 「ファウストの劫罰」はエクトル・ベルリオーズ(1803‐1869)がゲーテの「ファウスト」に触発されて1845年から翌46年にかけて作曲、1846年12月6日にパリのオペラ・コミック座で初演されました

長身スマートでオダギリジョー似のマキシム・パスカルの指揮で演奏に入ります     ホルン、トランペット、トロンボーンといった金管楽器が素晴らしい演奏を展開していました 3曲目の「ハンガリー行進曲」を聴きながら、1999年9月3日に開催された「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」で上演された小澤征爾指揮サイトウ・キネン・オーケストラによる「ファウストの劫罰」公演を思い出しました。職場の同僚の車に同乗し松本まで日帰りで往復しました マルグリットをスーザン・グラハムが歌い、ロベール・ルパージュによるアクロバティックな演出が印象に残りました

次の曲はショーソン「詩曲  作品25」です この曲はエルネスト・ショーソン(1855‐1899)がヴァイオリニストの友人ウジェーヌ・イザイのために1896年に作曲、同年12月27日に初演され、イザイに献呈されました

ソリストの前橋汀子は、あの巨匠ヨーゼフ・シゲティやナタン・ミルシテインにも師事したという、いわば日本の音楽界のレジェンド的存在です 真っ赤なドレスで登場した前橋の姿は、「真っ赤な太陽」を歌って一世を風靡した歌謡界のレジェンド・美空ひばりがヴァイオリンを持って立っているように見えます

前橋は序奏に続いて、瞑想的な主題を奏で、詩情豊かな演奏を繰り広げました マキシム・パスカル ✕ 読響はしっかりとソリストを盛り立てました

続いてラヴェル「ツィガーヌ」が演奏されます この曲はモーリス・ラヴェル(1875‐1937)がハンガリーの女性ヴァイオリン奏者イェリー・ダラー二が弾くロマの演奏を聴いたことをきっかけに1924年に作曲、同年4月26日にロンドンで初演されました ツィガーヌとはロマ(ジプシー)のことです

重音、ピッツィカートなどの技巧を凝らしたヴァイオリン独奏による演奏が続き、中盤でハープが幻想的な演奏を繰り広げます 自称”フリーランスの手酌系ハーピスト”高野麗音のハープは、それまでの重い空気を一変し、別世界の到来を告げる素晴らしい演奏でした 後半は前橋によるハンガリー舞曲風の音楽が展開し、熱狂のうちにフィナーレを飾りました

終演後、指揮者から立つように促されたのはハープの高野麗音ただ一人でした 彼女のツイッターによると、マキシム・パスカルとはパリ音楽院2005年入学同士の同級生だそうです ということはピアニストの萩原麻未も同級生ということか こういう3人を巡る偶然を「パスカルの原理」といいます(本気にしないでね

 

     

 

プログラム後半の1曲目はルベル:バレエ音楽「四大元素」です この曲はジャン=フェリ・ルベル(1666‐1747)が1737年に作曲した作品です 「四大元素」とは地、水、火、大気(風)のことだそうです 飯尾洋一氏の「プログラム・ノート」によると、ルベル家は3代にわたってフランス国王に仕えた音楽一族で、特にジャン=フェリは8歳で巧みにヴァイオリンを弾き、国王とリュリを驚かせたという逸話があるそうです この曲は第1曲「カオス」、第2曲「ルール1 地と水」、第3曲「シャコンヌ 火」、第4曲「さえずり 大気」、第5曲「夜鳴きうぐいす」、第6曲「ルール2 狩」、第7曲「タンブラン 1&2」、第8曲「シシリエンヌ」、第9曲「ロンドー 愛の神のエール」、第10曲「カプリス」の10曲から成ります

第1曲「カオス」は「まだ四大元素が自然の秩序に従う以前の混沌を示す音楽」とのことで、演奏を聴くと 確かに混沌とした動きが感じられますが、そこは18世紀の音楽です 当時としては最先端を行っていたのかもしれませんが、カオスに成り切っていない感じがします また、最後の第10曲「カプリス」はヘンデルみたいな華やかな曲想でした 全体を通じてフルート首席のフリスト・ドブリノヴ、オーボエ主席の金子亜未を中心とする木管楽器が素晴らしい演奏を展開していました

最後の曲はラヴェルのバレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲です この曲は1909年から1912年にわたり作曲、1913年に第3場から編曲したものです 第1曲「夜明け」、第2曲「パントマイム」、第3曲「全員の踊り」から成ります

この曲でもフルート首席のフリスト・ドブリノヴ、オーボエ主席の金子亜未が素晴らしい演奏を繰り広げていました 最後の「全員の踊り」ではマキシム・パスカルが、ほとんどエア・ボクシングのように中空を殴りつけて指揮をしていましたが、打楽器群がそれに負けじと会場が割れんばかりの大音響で”芸術を爆発”させていました

前日は「ダフニスとクロエ」全曲を沼尻竜典 ✕ 東響で聴き、この日は「第2組曲」をマキシム・パスカル ✕ 読響で聴きましたが、両者ともメリハリの効いた色彩感豊かな演奏ということでは、曲に対するアプローチはそれほど変わらないように思いました

先週は火曜日から日曜日まで6日間連続コンサートだったので、いささか疲れました 腰痛のため毎日コルセット着用でコンサート会場に通いましたが、胴周りが圧迫されて苦しかったです しかし外すと腰に良くないのでジッと我慢の毎日でした ということで、疲れたので しばらく実家に帰らせてもらい・・・もとい、読書しておとなしく過ごそうと思います

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沼尻竜典 ✕ 中村恵理 ✕ 新国立劇場合唱団 ✕ 東京交響楽団でラヴェル:組曲「マ・メール・ロワ」、歌曲集「シェエラザード」、「ダフニスとクロエ」(全曲)を聴く

2022年03月13日 07時20分32秒 | 日記

13日(日)。わが家に来てから今日で2619日目を迎え、国連安全保障理事会は11日、ロシアのネベンジャ大使の要請により緊急会合を開いたが、同大使がウクライナ国内で米国が生物化学兵器の研究に携わっているという根拠のない主張を展開したのに対し、欧米の理事国から「プロパガンダだ」という非難が相次いだ  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     プーチン政権のフェイクは トランプ元米大統領に負けないくらい 規模が巨大だな

 

         

 

昨夕、サントリーホールで東京交響楽団第698回定期演奏会を聴きました プログラムはラヴェル①組曲「マ・メール・ロワ」、②歌曲集「シェエラザード」、③「ダフニスとクロエ」(全曲)です 演奏は②のソプラノ独唱=中村恵理、③の合唱=新国立劇場合唱団、指揮=沼尻竜典です

 

     

 

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの東響の並び。コンマスはグレブ・ニキティンです

1曲目はラヴェル:組曲「マ・メール・ロワ」です この曲はモーリス・ラヴェル(1875‐1937)が、1908年から1910年にかけてゴデブスキ家の2人の子どものために作曲したピアノ連弾のための作品です ラヴェルは翌年の1911年に管弦楽用に編曲しました 「マ・メール・ロワ」とは「マザー・グース」のことです。第1曲「眠りの森の美女のパヴァーヌ」、第2曲「親指小僧」、第3曲「パゴダの女王レドロネット」、第4曲「美女と野獣」、第5曲「妖精の庭」の5曲から成ります

遠山菜穂美さんによる「プログラム・ノート」によると、ラヴェルは子どもたちに会うとお話を聞かせたり、ピアノを弾いたり、ロバになって背中に乗せたりして遊び、夫婦の旅行中には子守役をすることもあったそうです 演奏はそんなラヴェルの人柄が表れた優しく楽し気なものでした 特に第1曲における相澤政宏のフルート、第2曲における荒木奏美のオーボエ、最上峰行のイングリッシュホルンが冴え渡っていました

2曲目はラヴェル:歌曲集「シェエラザード」です この曲はラヴェルが1903年にトリスタン・クリングソールの詩に基づいて作曲、1904年5月17日にパリで初演されました 第1曲「アジア」、第2曲「魔法の笛」、第3曲「つれない人」の3曲から成ります

中村恵理の前には譜面台がありません。彼女の独唱で第1曲「アジア」が歌われます 中村はアジアに対する夢と憧れを表情豊かに歌い上げました 第2曲「魔法の笛」では、相澤政宏のフルートに乗せて若い奴隷女の恋の歌をロマン豊かに歌いました 第3曲「つれない人」では声をかけても誘いに乗らずに行ってしまう人に対する寂しさを朗唱風に歌いました

3曲を通じて感じたのは「美しいフランス語」です 私は大学で第2外国語として1年間フランス語を選択したに過ぎないので「ジュ・ヌ・パルル・パ・フランセ」なのですが、中村恵理の歌うフランス語の歌を聴いていると、意味が分からなくても「いいなあ」と思います

客席から大きな拍手が送られますが、演奏する楽団員からも惜しみない拍手が送られました 中村恵理は2日前に新国立オペラ「椿姫」でヒロインのヴィオレッタを歌いましたが、オーケストラピットで彼女を支えていたのが東京交響楽団でした 全5回のオペラ公演(10日、13日=本日!、16日、19日、21日)でヴィオレッタを歌う合間に「シェエラザード」を歌うのがいかに大変であるか、楽団員は分かっているから なおさら拍手に力が入るのだと思います

 

     

 

プログラム後半は「ダフニスとクロエ」(全曲)です この曲はラヴェルがロシア・バレエ団の主宰者セルゲイ・ディアギレフの依頼により1909年から1912年にかけて作曲、1912年6月5日にパリのシャトレ座で初演されました この作品は古代ギリシャの物語を題材にしたバレエ音楽で、エーゲ海に浮かぶレスポス島を舞台に、羊飼いの若い男女、ダフニスとクロエの愛を描いたものです

金管楽器を中心にオケが拡大し、フルオーケストラ態勢となります    P席に新国立劇場合唱団(男声16名、女声24名)がスタンバイします    そういえば、新国立劇場合唱団も「椿姫」チームの一員です    しかし、合唱指揮は「椿姫」が三浦洋史で、「ダフニスとクロエ」が冨平恭平なので、合唱メンバーは2グループに分かれているのかもしれません

「ダフニスとクロエ」は第2組曲(夜明け、パントマイム、全員の踊り)に慣れている身にとっては、全曲演奏(約1時間)はすごく長く感じます それでも、相澤政宏のフルート、荒木奏美のオーボエをはじめとする素晴らしい演奏や、とても40人とは思えない迫力ある新国立劇場合唱団のコーラスを聴くと、眠気も吹き飛びます 聴きごたえ十分の演奏でした

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