東北大学 瀧 教授に聞く!
脳の健康が生活にもたらす影響とは?~前編~
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東北大学加齢医学研究所教授であり、BrainSuiteの開発者でもある瀧靖之教授に一問一答インタビュー。
脳の健康が生活にもたらす影響から認知症の理解、BrainSuiteを活用した効果的な対策方法まで細かく解説。
ベストパフォーマンスを発揮するために脳の健康維持は欠かせない
Q. BrainSuite(ブレインスイート)では「生涯健康脳」を目指していますが、なぜ脳の健康が大事になってくるのでしょうか?
筋肉や容姿の老化と同じく、脳も年齢を重ねることで記憶力や理解力、判断力といった認知機能が低下します。どれだけ身体を鍛えても、司令塔である脳が衰えていてはベストパフォーマンスを発揮することは出来ません。
Q. 仕事で成果を出すことにも繋がるのですね。ただ、年齢を重ねるにつれて「脳を鍛えるにはもう遅い」と感じる方も多いと思いますが、いかがでしょうか?
そんなことは決してありません。私たちの脳には“可塑性”という「変化する力」があります。つまり、刺激を与え続ければ、何歳になっても脳は成長することが出来るのです。
Q. 「脳に刺激を与える」とは、やはり脳トレなどのトレーニングが有効なのでしょうか?
もちろん楽しく続けられるなら脳トレは良い刺激になりますが、それよりも、自分の興味や関心のあることに、どんどんチャレンジしてみてください。運動や睡眠、食事に気を使うこともとても大切です。特に、ウォーキングなどの有酸素運動は脳内の血流を増やし、脳の可塑性を高めることにも繋がります。
Q. 運動が苦手な方も世の中には多いですが、簡単な趣味でも良いのでしょうか?
はい、難しい作業や負荷のかかる運動をやることも良いですが、なにより「知的好奇心」が湧くことに取り組むのが有効です。能動的に楽しみながら没頭することが、脳に良い影響を与えます。
Q. 「知的好奇心」が重要とのことですが、特にこれといった趣味がなく、新しいことを始めるのが億劫な方も多いと思います。
確かに、新しいことを始めるのはハードルが高いですよね。おすすめは、「昔していたけれど、今はしていないことです。例えば、ピアノ、囲碁、将棋、麻雀、あとは、子どもの頃にしていたことを再開するのもおすすめです。私自身、昔少しやっていたピアノを「えいっ!」と始めて10年以上続いています。
Q. 「知的好奇心」が湧けば、簡単な趣味でも良いのですね。
先ほど有酸素運動が効果的と言いましたが、ドラムやダンスのように、頭と身体を同時に使う活動は特に効果的です!なかなか難しいですが、楽しんで続けられることが一番です。
Q. 簡単なことでも日々の積み重ねが将来の脳健康に繋がるということでしょうか?
そうですね。脳が健康な人はそうではない人に比べて、歳をとっても身なりがしっかりしており見た目も健康的に見えることがあります。また、基本的な認知機能や判断力が高く保たれているので、いつまでも仕事でハイパフォーマンスを発揮されている方がとても多いです。
Q. 「仕事でまだまだ若手には負けたくない!」という人にとっても重要ですね。
はい。ポジティブな健康対策としても、とても重要です。また、BrainSuiteを受検された方にお配りしている予防行動BOOKには、脳の健康に有効な対策が載っていますので、参考にしていただけたらと思います。
脳の機能低下は気づかないうちに進行し、認知症などの症状につながっていく
Q. 高いパフォーマンスを発揮するためには脳健康の維持が大切な一方で、実際に認知症になったという話もよく聞きます。認知症とは、実際どのようなものなのでしょうか?
認知症とは、記憶力や判断力などの認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態を指し、その程度は様々です。ただ、認知機能の低下は急に起こるものではなく、徐々に進行していくことから、気が付きにくいとされています。
Q. 「認知症にはいつなるか分からない」というのはこわいです。なってしまった場合、有効な治療法はあるのでしょうか。
残念ながら、現在認知症に対する根本的な治療薬は見つかっていません。だからこそ、生活習慣の改善や脳への刺激によって脳の健康を維持し、しっかりと予防を行うことが大事です。
後編では、脳の健康状態を数値で可視化出来るBrainSuiteのサービスについて深掘りをしていきます。
東北大学加齢医学研究所教授であり、BrainSuiteの開発者でもある瀧靖之教授に一問一答インタビュー。
脳の健康が生活にもたらす影響から認知症の理解、BrainSuiteを活用した効果的な対策方法まで細かく解説。
インタビューの前編では、脳の健康を意識することがなぜ大事か、具体的な対処法を交えて解説。
後編では、BrainSuiteのサービスを深掘りしていきます。
Q. 脳の健康を維持する手段として、BrainSuiteにはどういった特徴がありますか?
BrainSuiteのプログラムには3本の柱があります。第1がMRIで撮影した「頭部MRI画像解析」、第2が「オンライン問診と脳のパフォーマンスチェック」、第3が生活改善のアドバイスを示す「結果レポート」です。これらを組み合わせて脳の健康状態を精緻に見える化し、脳の健康対策につなげることが出来ます。
第1の柱:MRI画像解析
Q. まず、第1の柱の「頭部MRI画像解析」とはどのようなことをするのでしょうか?
第1の柱である「頭部MRI画像解析」では、独自に開発したAI「Hippodeep(ヒポディープ)」を活用し、脳のMR画像を解析します。その中でも、脳内にある「海馬」という部位に、私たちは着目しました。
Q. 「海馬」とは一体どういった部位なのでしょうか?
海馬は記憶をつかさどる部位であり、脳の中で最も早く認知機能低下の兆候が現れます。また、海馬は神経の生まれ変わり(神経新生)が起きる、数少ない部位でもあります。神経新生の起きる海馬を分析することで、脳の認知機能の測定が出来るというわけです。
Q. 脳が健康かどうか、どのように判断しているのですか?
BrainSuiteは、健常者の脳画像データベースをもとにして、脳の健康状態を科学的に評価しています。若い世代を含めた(20〜80歳)約3,300例の健常者の頭部MRI画像を横断的に蓄積し、そこに約8年分(約400例)の同一被験者の縦断データを盛り込んでいます。
これにより、個人の属性や生活習慣が、どのように脳に変化をもたらすかをより客観的に見える化しています。
第2の柱:オンライン診断
第3の柱:結果レポート
Q. 続いて、第3の柱である「結果レポート」とはどういったものですか?
第3の柱である「結果レポート」では、同世代と比べた海馬の体積、認知機能への影響、脳健康活動の分析、生活習慣の改善による10年後の海馬体積の差(予測)といった詳細な解析結果を提供します。
レポートには、簡易的な生活習慣のアドバイスが記載されていますが、より自分に合った改善アドバイスが得られるようにMyPageへのご案内も記載されています。
そのため、結果を知るだけでなく「予防行動」という次のステップに繋げることが出来ます。
Q. MyPageとは何でしょうか。他に脳健康維持をサポートしてくれるようなサービスはありますか?
Web上に会員ページを設け、継続的にBrainSuiteを受検された方をフォローアップする仕組みも構築しています。過去のデータを時系列で見ることで脳の健康維持を実感することが出来ます。また、会員ページでしか見られない「脳健康の維持に役立つコンテンツ」も見ることが出来ます。
他にも、検査を受けた方に配られる予防行動BOOK(2023年発行)には、世界中の脳科学研究の学術論文をベースにしたアドバイス情報が載っています。
Q. 最後にBrainSuiteの検査を検討している方に一言お願いいたします。
人生100年時代と言われている今、脳の健康をいつまでも保つことは、幸せで充実した人生を歩んでいく上でとても有用です。また、脳は何歳になっても変化する力、つまり「可塑性」があります。
思い立ったその日から生活習慣をよりよく変えることは、確実に将来の脳の健康維持に寄与します。今の脳の健康状態を確認するためにも、そして生活習慣を変えるきっかけとしても、ぜひBrainSuiteを活用してくだされば嬉しく思います。
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40代後半から、年齢よりも若々しい印象を持つ人と、逆に老けて見える人の差が顕著になります。
「内面が大切だけど、外見も若く見えたら嬉しい」と思いませんか?
実は、見た目が若いと感じる人ほど、脳年齢も若い傾向があるという面白い研究結果が発表されました。
この研究は、韓国の研究チームによって行われ、59歳から84歳の被験者を対象にMRIで脳の灰白質を調査し、認知機能、主観年齢、健康状態、性格なども比較しました。
脳の灰白質は、神経細胞が集まる部分で、加齢による変化が顕著な領域です。
実際、この部位の検査は脳の年齢を知る上で重要です。
主観年齢は、自分が客観的に見たときの年齢のことを指します。
研究結果によれば、主観年齢が実年齢よりも若いと感じる人ほど、実際に脳の灰白質の密度が高い傾向がありました。彼らは記憶力が高く、うつの発症リスクも低かったそうです。
要するに、見た目が若いと感じる人の脳は、老化の兆候が少ないのです。
外見の若さは、趣味や好きなことに没頭していることなど、さまざまな要因が影響します。しかし、40代後半になると、忙しさにかまけて外見に気を使わなくなることがあります。脳の健康を維持するためにも、見た目の若さをキープする努力は重要なのかもしれません。
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