みつとみ俊郎のダイアリー

音楽家みつとみ俊郎の日記です。伊豆高原の自宅で、脳出血で半身麻痺の妻の介護をしながら暮らしています。

どっぷり主夫

2012-06-18 08:55:51 | Weblog
もともと家事が嫌いではない。
大学時代、クラスの友人二人が駆け落ちして(古いことばだナ)子供を作ってしまった時、彼女が産婦人科に入院したのでその間私が彼らの家に同居して主夫をやってあげた。
私はまだ学生。彼は仕事をしていた。
彼が朝仕事に出かける時、普通の主婦のように「行ってらっしゃい」と私は見送り(かなり変な風景だナ)、家の中の掃除をやったりゴミを出したり、買い物をして彼の帰りを待った。
まるで普通の主婦(普通の主婦がどうなのかは私にもよくわからないが)のような生活をまだ二十歳そこそこの時に一ヶ月ほど体験した。
けっこうこれって楽しいじゃん、とその時は思ったし、今も恵子の介護をしながら毎日主夫をやっている生活もわりと楽しい。
床にゴミが落ちているのがすぐ目に入るし、家の中の汚れはすぐに掃除したくなる(多分、これはきれい好きだからでもあるし、きっと「主婦目線」というものがあるのかもしれない)。
晴れた日には「今日は布団干して洗濯もしなきゃ。アイロンがけもやらなきゃ」とすぐに思い、実行する。
スーパーでの買い物も、当然買い物袋を持参して「今日は××円で収まった」とか安い買い物をした時にはかなりの満足感が襲ってくる(だから、主婦はチラシを見るのかナ)。
いわゆる「やりくり上手」というスタンスに精神的な充足感を覚えるのが主婦脳だとすれば私の脳はまさしくソレだ(私はやりくり上手であることにかなりの快感を覚える)。
電気やガスをこまめに消し、洗剤もあまり使わず、家や近所で採れた木の実や野菜でジャムやおかずを作ることがたまらなく快感だ(これってケチとは違うと思うのだが)。
私は、きっと主夫が本来好きなのかもしれないナと思ってしまう。
昔、ジョン・レノンが主夫宣言をしたことがあったけど(あの時はアーティスト活動を休止したのかナ)、音楽家はもともと中性的な人種が多いので、こういうことがわりと素直にできるのかもしれない。
そして、そんな「主夫業」の合間に仕事をしたり楽器の練習をしたりするのだが、この切り替えスイッチもそう苦労せずに切り替わる。
これを柔軟性というのか何と言うのか私にはよくわからないけれど、これはこれで「楽しくてイイじゃん」という感じ。
でも、最近は恵子にも少しずつ家事仕事を分担してもらうようにしている。
それがリハビリでもあり普通の生活に戻るための準備でもあるので、「ああ、これなら多分できるかも」という仕事はどんどん彼女にふっている。
退院した当時、いきなり「皿洗いやる」と恵子が言いだした時はさすがに反対したけれど(まだ無理だと思ったから)、まあ、少しずつ家事の分担はしていかなければとは思っている。